理科+数学の話ー。
重さ*1と質量(しつりょう)に関するところを、数学の等式*2と絡めて理解してみようって話です。
理科の参考書で、重さと質量のところを読んでいたのですが、なかなか面白いですね。
(『くわしい理科中1』p179)
「重さ」は重力のことであり、
「質量(しつりょう)」というのは「場所によって変化しない物体そのものの量」ということでした。
こういう書き方をしているのは、場所によって重力が違うからですね。
月*3の重力が地球の約6分の1というのは知られていますが、地球*4内でも場所によって重力は違ったりします。
上記『くわしい理科中1』によれば例えば南極と日本でさえ重力は違うので
計る場所が違えばその結果も違ったものになります。
自分の体重の数値が場所だけで増減する、というのはなかなか不思議な感じです。
一方質量は変わらないものとされていますが。
ではその「質量」をどうやって知るのか?というと参考書には「てんびん」「上皿天秤」を使う方法が載ってますね。
つまり「これが100g」という物体を定め、それの反対側に計りたい物体をおくと。
(この定められた物体が「国際キログラム原器」などです)
この時、その場所の重力は右にも左にもかかっているので、片側だけの影響でいえばゼロ。
地球上でも月面でも同じ結果が出るそうです
(とても正確に言うと右側と左側でごくわずかに重力が違うかもですが、たぶん無視していいレベルです)
で、その話を知った時に数学の「等式」「方程式」*5の話を思い出しました。
つまり「移項(いこう)」の時などに右辺・左辺に同じ数字をかけたり引いたりするあれです。
「3x=16」という式があったとしても、これを解くときに両方いっぺんに操作するなら、
釣り合いを保ったまま、数字をわかりやすいものにすることができるわけです。
これを重さについて考えてみると。
もし単純な「体重計」で物体Aの重さをはかろうと思った場合、その重さには「見えない重力のパワー(ここでは「G」とします)」かかっています。
だから地球上で「A=100g」という結果が出ても、実は「A(×地球のG)=100」ということになります。
一方で月面ではかった物体Bは「100g」だったとします。
一見AとBは同じ重さに見えますね。
でも月面の重力が6分の1なら、Bの重さは小さくされた末の結果(×月面のGで1/6された結果)なので
地球上でいうところの「600g」にあたるわけです。
だから実際には「A<B」なわけです。
逆にAを月面にもっていくと、示される重さは「100×(1/6)」で「16.666……g」になります。
一方で釣り合い、という形なら左辺と右辺に同じパワーGがかかります。
左辺が「A(×地球のG)」であっても、右に置いたものも「?(×地球のG)」となります。
だから右に100gを示す分銅を置いて、それが釣り合っているようなら
「A(×地球のG)」=「100g分銅(×地球のG)」
ということになり、
両辺から「×地球のG」を除くことができるので
(「3」などの数字で割る時のように、「地球のG」という言葉の式で割って消す)
A=100g分銅
となります。つまりAの質量は100Gであるといえるわけです。
これを月面にもっていっても
「A(×月面のG)」=「100g分銅(×月面のG)」
となりますので、同じように両辺から「×月面のG」を除くと
A=100g分銅
となります。だから重力によって変わらず、質量を計ることができるわけですね。
ぶっちゃけると筆者は
小学校での上皿天秤とかの実験はあまり意味が分かっていませんでしたが、
結構大事なことをやっていたんだなあ、と改めて思います。
まあそんな感じで~。
追記
これを利用すると例えば「金塊*6100kg」を渡す約束をしていても、
「おいおい、俺は『月面での重さ100kg』の話をしていたんだぜ!?」と言い張ることもできるかもですが。
相手に「いや、質量としての100kgは変わらんから」と言われると結構詰まります。
あと割と突拍子もないので白い目で見られる可能性が大です。気を付けましょう。
追記2
詳しく調べたわけではないですが、
「無重力状態(むじゅうりょくじょうたい)」まっで行ってしまうと、いくら「てんびん」でも質量を計れないと思われます。
ふわふわしてちゃんとてんびんの「皿」に乗ってくれないと思うので。
重力が少ない、言うなれば「微重力(びじゅうりょく)」状態くらいだったら何とか……?
◆用語集
・質量(しつりょう):
物体そのものの量。
英語では「mass(マス)」。
ちなみに「質量」を分解すると「質(しつ)」や「量(りょう)」といったまた違う言葉になるが、たぶんそんなに関係はないと思われる。
蛇足だが、それぞれ英語で「quality(クオリティ)/質」「quantity(クオンティティ)/量」という。
あと分類としては質量は「量」に属すると思われる。
関連用語:「質量保存の法則(しつりょうほぞんのほうそく)」*7、「大きさ(おおきさ)」*8、「圧縮(あっしゅく)」*9
*1:「重さ」については 6/10 理科:武器(ぶき)と筋肉(きんにく)と位置エネルギー - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「等式(とうしき)」や「移項(いこう)」、「てんびん」については 1/6 数学:等式(とうしき)/つり合いをとるゲーム! - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「月(つき)」については 2/29 国語?:月(つき)の話 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「地球(ちきゅう)」については 12/22 理科:地磁気(ちじき)の話 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「方程式(ほうていしき)」については 1/26 数学:方程式/言葉からのアプローチ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:「金塊(きんかい)」については 3/9 生+英:「ナゲット」といえば「金塊(きんかい)」ですか? ~「chicken nugget(チキン・ナゲット)」と「gold nugget(ゴールド・ナゲット)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:「質量保存の法則(しつりょうほぞんのほうそく)」については 12/6 理科→英語・社会:専門用語を調べてみると(in英語) - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「大きさ(おおきさ)」については 8/14 数+ゲーム:大きさを適当に比べるゲーム! ~自作ゲーム『てきとう不等式(ふとうしき)』~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「圧縮(あっしゅく)」については 1/23 情+生他:「データ」も「布団(ふとん)」も「圧縮(あっしゅく)」できる! ~色んな「圧縮(あっしゅく)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。