国語+歴史の話ー。
その当時の移動手段に関わっているので、一応歴史ジャンルも。
「乗り物」(のりもの)という言葉、
そしてその語源に関わった「駕籠(かご)」についての話です。
前置き。
先日の記事で「駕籠(かご)」というものについて少し書きましたが、
その時に「乗り物」という言葉に関する話を見つけたので、その話を。
※
「乗り物」というと、一般に広く「人を乗せるもの」を表すかと思います。
自動車(じどうしゃ)とかバス、バイクなども乗り物ですし、
電車(でんしゃ)や飛行機(ひこうき)なども乗り物、という感じですが。
ですが、この「乗り物」という言葉は、昔はある特定のものを指していたようです。
それが上にも書いた「駕籠(かご)」ですね。
「駕籠(かご)」とは、人を乗せて人力(じんりき)で運ぶ乗り物のことであり、棒に座る部分を付けたようなものです。
前後にいる人が棒を担いて、持ち上げて運ぶ感じですね。
お客さんが座る胴体部分は「籠(かご)」*1で覆われていたり、なかったりしますが。
Wikipediaによれば、この駕籠の座る部分に「引き戸」…扉(とびら)*2をつけたものを昔は「乗物(のりもの)」と呼んでいたようです。
手元の国語辞典でも確認してみましたが、こちらも「乗り物」の所に「昔は駕籠を指した」と書いてありました(『新明解 国語辞典 第5版』)
時代劇(じだいげき)*3などでも、駕籠の中から戸を開いて降りてきたりするシーンがあったりしますが、ああいうものを「乗物」(乗り物)というのかもしれません。
つまり昔は「乗り物」と言えば(引き戸のついた)駕籠のことであり、人力で動いていた…
略して「乗り物はすべて人力」であった、と言えるかもしれません。
今の「乗り物」というと電力(でんりょく)で動いているものが多いので、ちょっと不思議な感じですね。
まあ今「何か乗り物を用意して!」と言って、
「駕籠」の方を用意される可能性はあまりないかもしれませんが。
あなたが昔の時代にタイムスリップしたときは、要注意かもしれません。
おそらく、人力の「乗り物」が出てくると思われますので。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに「駕籠(かご)」と言っても色々あったようで、
Wikipediaの画像を見るに、棒に席をぶらさげたような簡単なものもあったようです。
対して上に挙げたような「乗物」は公家(くげ)や武家(ぶけ)、つまり貴族(きぞく)や武士(ぶし)の家が使うものであり、
豪華な装飾(そうしょく)が施され、引き戸もついていた、ということのようです。
庶民(しょみん)との格差(かくさ)を感じますね…。
追記2
ちなみに理科の「仕事(しごと)」の部分を習った方は分かりやすいかと思いますが、
道具や機械を使っても、全体としてかかるエネルギーは変わらなかったりします。
なので「人力」より「電力」を使った方がたぶん人間は楽ですが、
その分…人間が楽をした分のエネルギーはどこかで消費されているということですね。あるいは、どこかでツケが帰ってくると。
これが今の「環境問題」とか「エネルギー問題」、「気候変動」などにつながっているという部分もあるようです。
このように「理科」と「現代社会」とかの教科書はかぶっている・問題が直につながっているところも多いので、
読み合わせをしてみると、どちらも理解が進んでいいかもしれません。
◆用語集
・乗り物【一般名詞】:
人や何かを乗せて運ぶもの。
英語では「vehicle(ヴィークル)」など。
Wikipediaによればその一部だけでも、「馬車、籠、汽車、電車、自動車、船、飛行機、人力車」などなど、色んな種類がある。
あと英語の「vehicle」は人の乗れない「無人機(むじんき)」を指すこともあるらしい。
関連用語:「救急車(きゅうきゅうしゃ)」*4、「牛車(ぎっしゃ)」*5
関連ゲーム:『トーキョーN◎VA』*6、『ダブルクロス』*7、
・乗り物【駕籠】:
引き戸がついた駕籠。豪華な装飾が施されていたりもする。
・人力(じんりき):
人の力。または、人が動かすもの、システム。
関連用語:「馬力(ばりき)」*8、「仕事率(しごとりつ)」*9
・駕籠(かご):
人を乗せて人力で運ぶ乗り物。
Wikipediaによれば、人が座る部分を一本の棒に吊し、複数人で棒を前後から担いで運ぶ、とのこと。
英語では「palanquin(パランクイン)」。不思議な響きでちょっとカッコいい。
ちなみに同じく人間を持ち上げて運ぶものに「輿(こし)」というものもある。
また少し違うが、病院などで使う「担架(たんか)」も人を持ち上げて運ぶものとは言える。
・輿(こし):
Wikipediaによれば、人間を乗せ人力で持ち上げて移動するための乗用具。
英語では「litter(リッター)」。
Wikipediaによれば昔は天皇家や貴族など、偉い人が使っていたらしい。
また婚礼(こんれい)…結婚の時に、妻*10を実家から夫の家へ輿に乗せて運ぶ風習があったとか。
いわゆる「玉の輿」(たまのこし)という言葉は、これに由来しているらしい。
また葬儀(そうぎ)の時に棺を載せる者も「輿」というらしい。
あと「祭神の乗り物として担ぎ、神幸(みゆき)を行うもの」を「神輿(みこし)」*11というらしい。
神の輿で「神輿」、なるほど納得である。
・玉の輿:
*1:「籠(かご)」については 10/30 英+国:「籠(かご)」と「鳥籠(とりかご)」の話 ~「basket」と「cage」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「扉(とびら)」については 4/20 学習:自作ゲーム『教科書(きょうかしょ)ゲームブック』 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「時代劇(じだいげき)」については 12/7 英語:「I am」でたらめ翻訳(ほんやく)のお遊び - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「救急車(きゅうきゅうしゃ)」については 9/9 英+国他:「ambulance/救急車」はどこから来るの? ~「ambulance(アンビュランス)」と「救急車(きゅうきゅうしゃ)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:牛が引いて進む車「牛車(ぎっしゃ)」については 6/28 社+英:「牛車(ぎっしゃ)」は「牛(うし)が乗る車(くるま)」ですか? ~「牛車/ox carriage」と「ベビーカー/baby carriage」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:TRPGシステム『トーキョーN◎VA』については 9/2 国+英社:「不動産(ふどうさん)」はリアル(real)に動かないですか? ~「real estate」と「immovables」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:TRPGシステム『ダブルクロス』については 7/2 英語:ゾンビ物で出てきそうな英単語! - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「馬力(ばりき)」については 11/19 理科:「馬(うま)の力(ちから)」って「何ワット」ですか? ~「馬力(ばりき)」、「ワット」、「仕事率(しごとりつ)」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「仕事率(しごとりつ)」については 11/23 理+英他:「滑車(かっしゃ)」の「パワー」は求(もと)められますか? ~「仕事率(しごとりつ)/power(パワー)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「妻(つま)」については 12/7 生+歴他:「湯たんぽ(ゆたんぽ)」は「妻(つま)」の代わりですか? ~「湯湯婆(ゆたんぽ)」と「湯婆(タンポー)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:「神輿(みこし)」については 5/8 英語:「神輿(みこし)」はポータブルですか?――はい、神輿はポータブルです - のっぽさんの勉強メモ を参照。