国語+社会の話ー。
「必ずそうなるって、法則で決まってるんだ…!」的な話ではありません。
兄(あに)*1のお嫁さんを意味する語「兄嫁(あによめ)」と、
その兄嫁の意味もある語「長婦(ちょうふ)」、
そして長婦のもう一つの意味、「背(せ)の高い嫁(よめ)*2」の話を。
(※テーマ的に、年齢・身長・性別に関する話を含みます。
筆者としては特に何か差別・攻撃、また理想を押しつける意図はありませんが、
もしお読みになって何か不快なことがありましたら、すみません)
前置き。
調べ物をしていたら見つけた語、
「長婦(ちょうふ)」や「兄嫁(あによめ)」周りが面白かったので、その話を。
※
まず「兄嫁(あによめ)」とは、兄(あに)の嫁(よめ)…お嫁さんのことですね。
例えば自分の兄のお嫁さんなら、
自分にとって「義理(ぎり)の姉(あね)」に当たる人だったりします。
で、加えて漢和辞典では、
「長婦(ちょうふ)」という語が、
上記①「あによめ(兄嫁)」の意味を持つ、と書いてありました。
漢和辞典によれば「長(ちょう)」は「年長(ねんちょう)」、
「婦(ふ)」は「よめ(嫁)」などの意味を持つらしいので、
「自分より『年長』の存在である兄の、『婦(嫁)』」→「長婦(兄嫁)」って感じですかね。
まあここまではわりとストレートな感じですが。
実は「長婦(ちょうふ)」にはもう一つ、
②「背(せ)の高い嫁」という意味もあるようです。
同じ「長」の字でも、こちらは「『背/身長(しんちょう)』が高い『婦(嫁)』」→「長婦(背の高い嫁)」って感じですかね。
なので①「長婦(兄嫁)」も②「長婦(背の高い嫁)」も、
おそらく成立過程が違うのですが。
しかし外見は同じ漢字*3なので、
ちょっと「『兄嫁(長婦)』は『背の高い嫁(長婦)』…!?」みたいな感じもしますね。
…お兄さんがたくさんいたら、「兄嫁(長婦)」も多くなり、なかなかすごい光景になりそうです。バトルマンガの強さランキングみたい
※
まあ実際には、背の高さは人によってもまちまちですし。
そもそも昔より「背は高く/低くなきゃ~」とか、
「男性/女性の方が背が高く/低くなきゃ~」という感じは薄いかとも思いますが。
でももし「兄」が「お嫁さん」を連れてきて、
その人の「背が高く」、
そして本人がそのことを別に嫌がっていなかったら(※ここが一番重要ですね)。
「まさに『長婦(兄嫁)』で『長婦(背の高い嫁)』な方だ…!」
と心の中でちょっと思ってみても、面白いかもですね。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに漢和辞典によれば、
「長」の字には「深い」、「大きい」という意味もあるようです。
なので「あの『兄嫁(長婦)』さんの心は、本当に『深くて』『大きい』…」と思うことがあれば、
その意味で「この人こそ、まさに『長婦(心が深くて大きいお嫁さん)』!」と思うこともありえるかもですね。
…何か戦国アクションゲームの「お主こそ、一騎当千の強者よ!」みたいなノリになってしまいましたが
追記2
ちなみに「嫂(あによめ)」という漢字もあるようです。
専用の漢字があるということは、必要性・重要性が高い語だったのかもしれませんね。
しかし一方で「おとうとよめ(弟の嫁)」的な単語は、
筆者の手元の国語辞典・漢和辞典、また和英辞典には載っておりませんでした。
理由は不明ですが、そちらの語はあまり必要ない…と思われたのかも?要追加調査ですね。
追記3
ちなみに本文で書いた「長婦(ちょうふ)」の字の話ですが。
もちろん「兄嫁(長婦)」自身が「自分より年長」→「長婦」という線も考えられます。
しかし①兄が必ずしも『私』より年上の人と結婚するとは限らないですし、
(例:兄が30歳、『私』が29歳で、兄嫁が28歳という場合は十分にありえるかと思います)
また②昔の時代は、どちらかというと年下・かなり若いお嫁さんをもらう風習もあったようです。
(20年前とかじゃなく、もっと古代中国とか戦国時代とかのイメージですが)
そのため「長婦」の長の字は、やはり自分より年上の『兄』にかかっているか、
あるいは③年功序列(ねんこうじょれつ)、つまり長男や年長の方、そのパートナー*4の方が偉いという思想で、
「(長男の嫁なので)自分より立場が上のお嫁さん」→「長婦」という感じかなと、個人的には考えます。
(※ただしあくまで筆者の仮説なので注意です)
追記4
ちなみに漢和辞典・国語辞典で、
「長」の反対語として「短(たん)」、「短い(みじかい)」、また「小(しょう)」や「低(てい)」周りを調べてみましたが、
「背の低い嫁」を表す語は見つかりませんでした。
ということは、「長婦(背の高い嫁)」と「背の低い嫁」等の語がセットで生まれた訳ではなさそうなので、
「長婦」…「背の高い嫁」であることを表す言葉だけが、特別に必要だったということでしょうか?要追加調査ですね。
(昔のそれぞれの時代の男女平均身長データ、結婚年齢と比較してみても面白そうですね)
追記5
そういえば同性婚(どうせいこん)などがある国のことを考えると、
「兄嫁」と同じ感じで「兄夫(あにおっと)」や「姉嫁(あねよめ)」などの言葉があったりするかもですね。
『弟の夫』*5というマンガタイトルは知っていますが、一般的な言葉としてもあるのかはまた別の話かもです。
…でも「弟夫(おとうとおっと)」というと、なんか早口言葉みたいですね。
(そもそも今の時代、縮めて呼ぶ必要もあまりないかもですが)
◆用語集
・兄嫁(あによめ):
関連用語:「夫婦(ふうふ)」、「姻戚(いんせき)」*6、「家族(かぞく)」、「家庭(かてい)」、「結婚(けっこん)」*7、「戸籍(こせき)」*8、「同性パートナーシップ制度」、「LGBT(エルジービーティー)/LGBTQ(エルジービーティーキュー)」*9、
関連記事:『家族についての英語セブン』、『結婚を表す外国語セブン』*10、『人間関係に関する英語セブン』*11、『兄弟を表す外国語セブン』
・嫂(あによめ):
・長婦(ちょうふ)【兄嫁】:
・長婦(ちょうふ)【背の高い嫁】:
*1:「兄(あに)」や「弟(おとうと)」、「兄弟(きょうだい)」、また記事『兄弟を表す外国語セブン』については 2/10 生+諸外他:「兄弟(きょうだい)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「嫁(よめ)」については 11/9 国+生他:「責任(せきにん)」を「お嫁(およめ)」に出しますか? ~「責任転嫁(せきにんてんか)」と「転嫁(てんか)/再びの嫁入り」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「漢字(かんじ)」については 6/6 国語:まとめ・システムとしての漢字 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「パートナー」については 8/1 歴史+ゲーム:自分から一族を作っていくゲーム!? ~ゲーム「ファミリー・ヒストリー」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:マンガ『弟の夫』や、「夫婦(ふうふ)」については 4/22 国+社:22日は「ふ~ふ」の日? ~同性、あるいはLGBTパートナーの呼び名~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:結婚による親戚関係「姻戚(いんせき)」、「家族(かぞく)」、「家庭(かてい)」、また記事『家族についての英語セブン』については 9/14 英+生:「家族(かぞく)」についての英語7つ+α! ~今週の英語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:「結婚(けっこん)」については 11/12 歴史:「結婚(けっこん)」「させる」側の気持ち!? ~ゲームを通して~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「戸籍(こせき)」や「同性パートナーシップ制度」については 7/14 社+国:「戸籍(こせき)」の「戸」は「扉(とびら)」ですか? ~「戸籍」と「戸」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「LGBT(エルジービーティー)/LGBTQ(エルジービーティーキュー)」については 1/31 国語:言葉と色(いろ)のイメージ ~赤っ恥、青二才~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:記事『結婚を表す外国語セブン』については 6/4 生+諸外:「結婚(けっこん)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:記事『人間関係に関する英語セブン』については 11/22 英+こころ:「人間関係(にんげんかんけい)」に関する英語7つ+α! ~今週の英語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。