社会+英語の話ー。
船を右や左に向ける、「面舵(おもかじ)」・「取舵(とりかじ)」といった語と。
それらとの対応関係が、実は歴史の中で入れ替わったりもしたらしい、
英語「starboard(スターボード)」や「port(ポート)」の話を。
前置き。
調べものをしていて目にした「面舵(おもかじ)」等の言葉と、
「左右(さゆう)」の対応関係が面白かったので、その話を。
※
まず「面舵(おもかじ)」とは、船(ふね)を右(みぎ)に向けること…操作(そうさ)ですね。
正確には舵(かじ)…船の方向を変えるハンドル部分を、動かす感じです。
船首(せんしゅ)…船の先の向きを変えて、進む方向を変えて行くわけですね。
逆に、船を左に向ける操作は「取舵(とりかじ)」というようです。
船系のマンガ等でも、「面舵いっぱい」や「取舵!」などと聞く印象ですね。
で、これら「面舵」(右への舵)と「取舵」(左への舵)は、
船の方向に関わる大事なことなので、
間違えたり逆(ぎゃく)にしたり、「入れ替わったり」してはいけない気がするのですが…。
…しかし実際には、昔これらは「入れ替わったり」していたらしいです。
まず「面舵(おもかじ)」(右への舵)に対応する英語は
「starboard(スターボード)」らしいのですが。
Wikipediaによれば①1928年まで、
「帆船(はんせん)用の指示」では、「starboard」が「左への舵」、
「蒸気船(じょうきせん)用の指示」では、「starboard」が「右への舵」と、混ざったり逆だったりしたようです。
また「取舵(とりかじ)」(左への舵)は、英語で「port(ポート)」というらしいのですが。
英和辞典によれば、「port」は②1930年以前、逆に「おもかじ」の意味だったようです。
上記の①「1928年」と、②「1930年以前」の対応が不明ですが、
ともあれ調べた限りでは、「面舵」(右への舵)と「取舵」(左への舵)が、
「starboard」と「port」の両方において、どっちの意味もあったり入れ替わったりしている…という感じなので。
これらを見ていると、
「『右(面舵)』と『左(取舵)』(に対応する語)はけっこう『入れ替わる』のか…?」って感じもしますね。
※
まあ、現在ではそういうことはあまり無いかもですが。
でも「右」と「左」といった、当たり前で「変わらない」ように思える語さえ、
結構(対応する言葉が)変わる…というのは興味深いですね。
「面舵」や「取舵」も知っていればお馴染みなので、余計に油断しそうです。
なので、もしあなたが古い時代…、
…それこそ1928年以前とかの英語小説を読むことがあり、
船に関して、「starboard」や「port」といった言葉が出てきたら。
「これは『面舵(おもかじ)』と『取舵(とりかじ)』のどっちだ…!?」とか、
「この件に関しては、『右』と『左』の『入れ替わり』がありえるからな…」
なんて、気をつけながら読んでもいいかも?
まあそんな感じで~。
◆用語集
・面舵(おもかじ):
・取舵(とりかじ):
・舵(かじ):
関連用語:「操舵(そうだ)」*1、「操舵室(そうだしつ)」、「handle(ハンドル)」*2、「取っ手(とって)」
*1:「操舵(そうだ)」や「操舵室(そうだしつ)」については 10/8 社+英:「操舵室(そうだしつ)」はパイロットの「家(いえ)」ですか? ~「pilothouse(パイロットハウス)/操舵室」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「handle(ハンドル)」や「取っ手(とって)」については 7/12 生+英:「カップ」に「ハンドル」はついてますか? ~「取っ手(とって)/handle(ハンドル)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。