国語+諸言語(英語+中国語*1+韓国語*2+インドネシア語*3)+理科の話ー。
「水(みず)」*4と「氷(こおり)」*5という二つの言葉について、
各国の言葉から見てみる話です。
※思い付きの長文で雑文なので注意です
前置き。
さて、まず簡単なクイズなのですが。
皆様は、「水(みず)」という漢字を「氷(こおり)」という漢字にできますか?
…というと、できる方が多いのではないかと思います。
見た目が似ているので、左上に「`(てん)」を付ければいいですね。
もちろん、できなくても大丈夫です。
さて、話は変わりますが、先日、筆者がインドネシア語を調べていると、
「水(みず)」の訳が「air(アイル)」で、
「氷(こおり)」の訳が「es batu(エス・バトゥ)」となっておりまして。
現代の常識で言うと、「氷」は「水」が凍ったもの…仲間とも言えそうですが。
「air」と「es batu」ではかなり見た目が違いますね。共通点がありません。
なので、「air」という言葉を変化させて「es batu」にすることは、
「水」に「`」をつけて「氷」にするようには、簡単でなさそうです。
…まあ、後でネットで調べてみたら「es(エス)」自体が「氷(こおり)」だとか、
氷を「air batu(アイル・バトゥ)」と呼んだりもする、と見つかったので、
当初思ったよりは遠くないのかもしれませんが…。
でもそこからふと、各言語の「水」と「氷」が気になりまして。
日本語だと「水」と「氷」は似ている気がしますが、他の言語だとどうなのか?
言葉の上で、「水」から「氷」にたどり着くことはできるのか?
どれくらい簡単なのか、あるいは難しいのか?
というわけで調べてみました。
◆英語
・水(みず):「water(ウォーター)」
・凍る(こおる):「freeze(フリーズ)」
・氷(こおり):「ice(アイス)」
◆中国語
・水(みず):「水(シュイ)」
・凍る(こおる):「上冻(シャンドン)」、「冰冻(ビンドン)」など
・氷(こおり):「冰(ビン)」
◆韓国語
・水(みず):「물(ムル)」*6
・凍る(こおる):「얼다(オルダ)」
・氷(こおり):「얼음(オルム)」
◆インドネシア語(改めて)
・水(みず):「air(アイル)」
・凍る(こおる):「membeku(ムンブク)」
・氷(こおり):「es(エス)」、「es batu(エス・バトゥ)」、「air batu(アイル・バトゥ)」など
…って感じですかね。
ざっくり言うと、それぞれ「水」と「氷」は、また違った言葉にも見えます。
一方で、「凍る」と「氷」は似ている言葉を使っていることがあるようです。
例えば中国語の「凍る/冰冻(ビンドン)」、「氷(こおり)/冰(ビン)」や、
韓国語の「凍る/얼다(オルダ)」、「氷(こおり)/얼음(オルム)」ですね。
ただ、それらは「水(みず)」とはまた違う言葉であったりもするようです。
これらのことから、ざっくり仮説を立ててみるならば、
「それぞれの言葉ができた時、『水』と『氷』は別のものとみなされたのでは?」
という感じですね。
そうすると「凍る=氷のようになる」ということで、「凍る」と「氷」が似ている理由にはなる気がしますし、
それらが「水」とはまた違った言葉になっていることも説明できます。
グループとしては
①「水」
②「氷」、「凍る」
(※ただし「凍る」と「氷」がまた違う場合もある)
という感じでしょうか。
ただなんとなくの仮説なので、穴だらけなのですが。
※
まあ筆者のざっくり仮説は置いておいても、
それぞれの国で「水」や「氷」をどう見ていたのかは気になりますね。
今は理科の授業などで物質(ぶっしつ)の三態(さんたい)…固体(こたい)、液体(えきたい)、気体(きたい)などを習いますので、
「氷は水が凍ったもの」、「特に不思議はない」という風に思うかもですが。
しかし「同じようなもの」とだけ思っていると、
「ではなぜ、『水』と『氷』という言葉が、けっこう違うのか?」は、説明しづらい気もしますし、そもそも疑問も持ちにくいですね。
何故昔の人は、「現代」からすると似ているように見えるものに対し、
雰囲気の違う言葉を用意したのか?
当時とは知識が違うとして、では当時の知識や常識はどうだったのか?
もちろん、知らなくても言葉は使えるのですが。
たまにそういったことを考えてみるのも、面白いかもしれませんね。
まあそんな感じで~。
関連用語:「凍結(とうけつ)/freeze(フリーズ)」*7、「属性(ぞくせい)」*8、「言語学(げんごがく)」*9
追記
よく考えると日本語の発音(はつおん)でも、「みず(mizu)」と「こおり(koori)」は共通点があまり無かったりします。
しかし漢字の「水」と「氷」が似ている様子を見てしまうと、
つい「二つは同じようなもの」とか、「関係があって当たり前」と思ってしまうかもしれませんね。
◆用語集
・es(エス)【インドネシア語】:
インドネシア語で「氷(こおり)」という意味の言葉。
関連用語:「api(アピ)/火」*10、
・es batu(エス・バトゥ)【インドネシア語】:
インドネシア語で「氷(こおり)」という意味の言葉。
ちなみに「batu(バトゥ)」は「石(いし)」や「岩(いわ)」という意味のようだ。
そう考えると「es batu(エス・バトゥ)」の感覚は、英語で氷の塊のことを「rock ice(ロック・アイス)」というのにも似ている気がする。
・air batu(アイル・バトゥ)【インドネシア語】:
インドネシア語で「氷(こおり)」という意味の言葉。
「batu(バトゥ)」が「石(いし)」などを表すが、こちらは「水(air)のかたまり(batu)」位の意味だろうか?
・batu(バトゥ)【インドネシア語】:
インドネシア語では「石(いし)」や「岩(いわ)」という意味を持つ言葉。
関係ないが、名前の響きから筆者はマンガ・アニメ『攻殻機動隊(こうかくきどうたい)』のキャラ「バト―」や、楽器の「馬頭琴(ばとうきん)」を連想したりする。
関連記事:『石を表す外国語セブン』*11
・冰(ビン)【中国語】:
中国語で「氷(こおり)」という意味の言葉。
ちなみに「製氷(せいひょう)」は中国語では「制冰(ジービン)」と言ったりするようだ。
関連用語:「火(huǒ/フゥオ)」
・上冻(シャンドン)、冰冻(ビンドン)【中国語】:
中国語で「凍る」という意味の言葉。
・얼음(オルム)【韓国語】:
韓国語で「氷(こおり)」という意味の言葉。
関係ないが、名前の響きから筆者は北欧神話の蛇「ミドガルズオルム」を連想したりする。
関連用語:「수(ス)」、「불(プル)/火」
・얼다(オルダ)【韓国語】:
韓国語で「凍る」という意味の言葉。
*1:「中国語(ちゅうごくご)」については 12/16 英語:中国はなんで「China(チャイナ)」って言うの? - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「韓国語(かんこくご)」については 4/21 社+生:とりま「トッポギ」で「トッポギ」!? ~韓国料理と若者言葉~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「インドネシア語」については 2/20 社会:悪→善チェンジ ~魔女ランダは白魔術を覚えた!~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「水(みず)」については 12/16 地理:都市運営ゲーム/「水(みず)」編ですよ、市長(しちょう)! - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「氷(こおり)」や「固体(こたい)」、「液体(えきたい)」、「気体(きたい)」については 1/16 英語:「氷(こおり)」関係の英単語~氷魔法アイスクリーム~ - のっぽさんの勉強メモを参照。
*6:韓国語の「물(ムル)/水(みず)」や「수(ス)」については 3/22 韓+理他:「猫(ねこ)」と「虎(とら)」は「仲間」ですか? ~「고양이(コヤンイ/猫)」と「호랑이(ホランイ)/虎」などの話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:「凍結(とうけつ)」については 5/4 理+家:「コラーゲン」は「6億歳」ですか!? ~コラーゲン誕生の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「属性(ぞくせい)」については 1/19 理科:理科の領域(りょういき)と「属性魔法(ぞくせいまほう)」の話! - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「言語学(げんごがく)」については 1/15 国+社他:ネット用語/「草(くさ)」は「草」だけど「草」じゃない!? ~「(笑)」、「w」、「草」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「api(アピ)/火」【インドネシア語】や「火(huǒ/フゥオ)」【中国語】、「불(プル)/火」【韓国語】については 3/2 国+英他:「火(ひ)」をいろんな言語から調べてみる話 ~英語、韓国語、中国語、インドネシア語~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:記事『石を表す外国語セブン』については 10/7 理+諸外他:「石(いし)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。