国語+社会+音楽(芸能)+こころの話ー。
現代だと「にわかファン」や「にわか知識」など、
「浅(あさ)い」というイメージで使われたりもする印象の語、「にわか」と。
昔あったらしい即興(そっきょう)の芝居(しばい)、「俄(にわか)」の話を。
前置き。
まず現代で「にわか」というと、知識(ちしき)などが浅(あさ)い、というイメージもある語ですね。
例えば「にわかファン」というと、「なりたて」でまだ知識(や気持ち)の浅いファン、
「にわか知識(ちしき)」というと、身につけたての浅い知識…みたいな印象です。
まあネットで調べると、上記の「にわか」は俗語…スラングであり、
元々(もともと)の使い方とは違うようなのですが。
でも、現代で「にわか」というと、「悪口(わるぐち)」のイメージもあることが多い気がします。
そんな訳で、誰かをこう呼ぶにしても/呼ばれるにしても、
あまり喜(よろこ)ばれることは無さそうな「にわか」ですが。
しかし一方で昔(むかし)の「にわか」は、「喜ばれる」ものだったかもしれません。
というのも、昔「俄(にわか)」という芝居(しばい)があったらしいからですね。
国語辞典やWikipediaによれば、
上記の「俄(にわか)」とは、即興(そっきょう)の芝居(しばい)…つまり、その場でアドリブで行う芝居だったようです。
Wikpediaによれば、江戸時代~明治時代に行われていたようですね。
(国語辞典では「俄(にわか)」=「にわか狂言」という感じの解説でしたが、Wikipediaでは「にわか狂言は俄(にわか)の由来という説もある」くらいの解説でした)
この「俄(にわか)」が、具体的にどれくらい人気だったのかは不明ですが。
しかしWikipediaには、「大阪俄(おおさかにわか)」や「九州俄(きゅうしゅうにわか)」などの言葉が載っていました。
なので、そういう用語・バリエーションが出来るくらい、「俄」は人気だったと思われます。
そう考えると昔の「俄(にわか)」については、
「(芝居の)『にわか(俄)』は『喜ばれる』ものだった(かも)!」と言えたりするかもですが。
しかし今「にわか」と聞くと、冒頭に書いたようなイメージもあるので、
「『にわかファン』や『にわか知識』が喜ばれるの…?」と、疑問に思う人が多くなるかもですね。
※
ところで、上ではイメージの紹介のために、
「にわかファン」や「にわか知識」といった語の、マイナスっぽい印象について書きましたが。
一方で、筆者がネットなどを見ていると、
ある作品などについて「新しい人が、興味を持ってくれるだけで嬉しい」とか、
「一時的な興味でもかまわない」といった(元からのファンの方の)意見も、時に見る気がします。
その意味では、「にわか(ファンや知識)でも、結構喜ばれる」場合もあるかもですね。
(※この場合「新規(しんき)」という語が使われる気がします)
ファンのあり方や雰囲気(ふんいき)はそれぞれ(の業界で)違うでしょうし、
筆者に具体的なことは言えないのですが。
でも例えば、「ある作品に興味があるけど、『にわか』と言われたくないなー」という方は、
上記の様な、「新しい人が喜ばれそうな場所」(サイトとかSNS、コミュニティとか)を、探してみるのもいいかも?
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに「俄(にわか)」という芝居があると言うことは、
それのファンに最近なったばかりだけど、知識が全然無い…という人は、
「『にわか(俄)』について『にわか知識』の『にわかファン』」なんて呼ばれたりするかもですね。
我ながらややこしいですが。
◆用語集
・にわか【現代的・俗語】:
関連用語:「付け焼き刃(つけやきば)」*1
・にわか(俄)【芝居】:
ちなみに国語辞典やWikipediaによれば、「仁輪加(にわか)」や「仁和歌(にわか)」、「二和加(にわか)」と書いたりもするらしい。なんだかカッコいい気がする。
・にわか(俄)【一般】:
関連用語:「にわか雨(にわかあめ)/俄雨」*2
似てる語:「にかわ(膠)」*3
*1:「付け焼き刃(つけやきば)」については 6/7 国+生:「付け焼き刃(つけやきば)」に「醤油(しょうゆ)」はついてますか? ~「付け焼き刃」と「付け焼き(つけやき)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「にわか雨(にわかあめ)/俄雨」については 5/5 生+英他:「シャワー」と言えば「にわか雨」ですか? ~「shower(シャワー)」の色んな意味の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:接着剤として使われたりもする物質「にかわ(膠)」については 7/5 英語:「土嚢(どのう)」 is 「サンドバッグ」!? - のっぽさんの勉強メモ を参照。