社会+ゲーム+こころの話ー。
例えば自分なりの「正義(せいぎ)」*1を通すために強くなったはずなのに、
その結果疑われて「戦争」*2が起きちゃうパターンがあるのでは?という話です。
「マンガ」とかの話を入り口に。
※本文は思い付きであり、内容的にまとまっていません。あと長文です。
特にバトルマンガを批判したい訳でありません。筆者もそれらは大好きです。
ただ、その気持ちなどを通じて、ある現実のことを考えよう、という試みではあります。
※本文は人によってワルい、おぞましい、面倒くさいと感じる考えを含む可能性があります。ご注意を。
前置き。
マンガやアニメ、あるいは現実ではしばしば
世の中をおびやかす「悪いやつ」というのが出てきたりします。
それに対し、漫画などの「主人公(しゅじんこう)」はそれを止めようと立ち向かったりするわけです。
その姿は魅力的ですが、そこからまた違ったものを考えることもできます。
今回はそんな話です、
※
主人公が悪いやつを止める時、あっさり成功するとは限りません。
残念なことに、漫画の悪いやつなどは、強くて、中々止められなかったりします。
この時、主人公たちが「正義」にこだわるほど、相手を止めにくいということもありえます。
例えば、どこかの町で悪い奴との戦いになった時に、
主人公たちは町に被害が出ないように戦ったりします。でも気を使っている分戦いづらそうですね。
普段の力を「100%」とすると、「80%」くらいしか出せないかもしれません。
ところが悪い奴はそんなこと気にせず、自由に戦ったりできます。
普段通りの「100%」の力を出せるかもしれません。
このことはつまり、「主人公と同じくらいの強さの敵」が現れた時、
「町での戦い」では、主人公は敵に勝てないかもしれない、ということにもつながります。
(強さが「80」:「100」になってしまう)
元の強さが同じなら、存分に力を出せる「悪」の相手の方が強いですからね。
で 、ここで「自分の側も悪いことをする」という方法もあります。
例えば主人公も周りを気にしないで戦えば、悪の相手は倒せるかもしれません。
でも被害が出てしまいますし、マンガ作品としては主人公っぽさや「正義」っぽさが減ってしまう、というデメリットがあります。
今回はこのパターンは選ばない、ということにしてみましょう。
では、あくまで「正義」を求めつつ相手を倒すためには、どうすればいいのか?
ここで方法の一つに、「単純に強くなる」ということがあります。
例えば主人公の方が敵より圧倒的に強ければ、80%の力でも、100%の敵を倒せるかもしれません。
極端な話、主人公が1億位のパワーを持っていれば、80%でも大体の敵は倒せるでしょう。
そのため、主人公も悪いことをするよりは、「修行」などで、自身のパワーアップを計ったりします。
このことはとても建設的ですし、魅力的ですが、問題もあります。
それは「とても強い主人公は周囲から見て、危険人物に見えてしまう」という可能性です。
ここが今回のメインテーマですね。
例えば「悪党を一撃で倒せる、世界最強の主人公」というのは魅力的です。
悪党を倒した時には、みんな主人公にお礼を言うでしょう。
ですが、例えばその国の王様が、その主人公をあまり知らなかった場合、
王様は「アイツが暴れ出したら、とても危険なのでは?」ということを主人公に思うかもしれません。
何しろ世界最強ですからね。一対一なら誰も勝てない。
そうしたら、王様としては国や国民を守るのも義務ですから、
「主人公が暴れたときに抑えられる軍隊(ぐんたい)*3」を作っておいたり、どこかに罠(わな)を用意しておいたりするかもしれません。
でもそんなことしてると、主人公としても怖いですので、
王様を疑ったり、戦ったり、
場合によってはエスカレートして、国相手の「戦争」になってしまう、なんてこともあるかもしれません。
(国相手に戦争ができる主人公というのもすごいですが。まあ一人で立ち向かわなくとも、主人公の味方をするために、他国が介入する可能性はあります)
つまり主人公は正義を求めたのに、(結果として)戦争が起こるということが起こりえるわけです。
(だからといって悪いことしときゃよかった、という訳ではないので注意)
マンガの読者である我々は、「主人公は悪いことしないよ!」とわかっているかもしれませんが、
そんなに主人公を知らない人(上の場合は「王様」)にとっては、めっちゃ強い人というのは怖いかもしれません。
まあ我々の現実生活でも、自分の隣に「銃(じゅう)」とか「戦車」とかあったり、「ライオン」とかがいたりしたら
例え「暴発しないよ!」「噛まないよ!」と言われても「マジかよ…」みたいな気分になるかもしれません。
で、ここまでは主にマンガの話でありましたが、
これは現実の「軍拡(ぐんかく)」*4(「軍備拡張競争(ぐんびかくちょうきょうそう)」)と似ているところもあると言えるかもしれません。
「軍拡」というのは要は「いろんな国が、他の国に負けないように軍備を強くする、その競争が止まらない」というような話です。
そして、別にこれは悪い考えから起こるとは限りません。
もしかしたらある国Aは「隣に強い国Bがあるから、万が一のために自分の国を守る用意をせねば」という思いから、軍隊を強化しているかもしれません。
ただ、それを他の国Bが見ると「あの国はあんなに強くなって、怖い」と思うかもしれません。
そしてある国Aを越えるために、対抗して軍隊を強化しようとするかもしれません。
そしてそんなことをやっているうちに、「あんなに軍隊を強化してる…戦争を起こす気なんだ」とか、
「やられる前にやらなきゃ」ということを思って、いつしか戦争が起きてしまうかもしれません。
要は「自分より強いやつがいることは、不安の原因になりうる」ということです。
(もちろんみんながそう思うというわけではありません)
ここら辺は過去の「核兵器」や「核抑止」についての記事でも書きましたね。
核兵器を持つ国に対抗するために、みんなが核兵器を持とうとしやすい、ということです。
※
さて、日常でも「軍隊」、日本だと「自衛隊」の装備に関するニュースはよくあります。
それに対して「軍隊を強くするって、悪いことをしようとしているの?」という意見もあるかもしれません。
ですが、今回の話を考えてみるとそうとも限りません。
その根っこには、「正義」や「安全」的な物を求めるものがあるかもしれません。
反対に「軍隊の強化は必要だよ。どんどんやらなきゃ」という意見もあるかもしれません。
しかし、今回の話を考えてみると、
その強化によって、誰かから「強くて怖い」と思われ、「あの国に対抗しなきゃ」と思われているかもしれません。
まあどちらが正しい、と言いたいわけではなく、
「軍備の拡張」という一つの動きにも、色んな気持ちや反応がありうるかもしれない、という話ですね。
そしてそれが「バトルマンガ」とかと共通する気持ちがあるのでは?という話でした。
別にマンガを読むたびにこういうことを考える必要はないのですが、
「力(ちから)」というのは、周囲に影響を与える可能性があり、
それを持っていることで、ややこしいことを引き起こしうる…というのは、意識しておくと、
世の中の色んな事が、ちょっとわかりやすくなるかもしれません。
まあそんな感じで~。
関連用語:「BMD(弾道ミサイル防衛)」*5、「シビリアン・コントロール」*6
追記
本文で書いた「悪い奴の方が100%の実力出せる問題」はけっこう重要&深刻で、
しばしばマンガとかでも「闇に堕ちた方が実力が出せるぞー」という感じで、主人公サイドが敵から勧誘されたりします。
主人公側も普段気を使ったりしてストレス*7が溜まってることもあり、たまに誘惑に乗ってしまう人もいます。
追記2
そもそも「悪い奴を倒すためなら悪いことをしてもいいのでは?」という考え方もあります。
それに関しては過去記事で書いた「戦争を止めるためなら、暗殺してもいいのか?」という話につながるところもあり、なかなか難しいですね。
あとここら辺は「イメージ」の問題も大きく絡む気もします。
例えば「敵を倒すために剣に毒を塗る」というのは、悪っぽいですし、主人公っぽくない、という人が多いかもしれません。
しかし「敵を倒すために剣に炎をまとわせる」というのは、あんまり批判されない気もします。
持続的に相手にダメージを与える、という意味では毒も炎も似ているかもしれないのに、です。
さらに「敵を倒すために剣に聖なるオーラをまとわせる」という行為は、もうむしろ主人公っぽい気もします。
それが敵に持続的なダメージを与えて、相手がそれで苦しんでいてもむしろ「ざまあみろ!」という気分になりそうです。
それらが本当に違うか同じかはさておいて、言葉やイメージによって色々反応が変わる、みたいなことはありそうですね。
追記3
ちなみに、バトルマンガでは主人公も敵も強くなることを「強さのインフレ」と言ったりします。
「インフレ」*8(インフレーション)というのは、経済(けいざい)の用語で、ものの値段などが上がることですね。反対語は「デフレ」です。
そんな感じで、例えばバトルマンガの最初は「俺のパワーは100!」、「俺は120だ!」とやっていたのを、
やがて「俺のパワーは1億!」、「いや、俺は2億だ!」みたいになるという感じです。
どうしてこうなるか、というと「展開(てんかい)」とか「盛り上がり」上の問題ですね。
バトルマンガでは「自分より強い敵」に挑むのが盛り上がりの一つなので、
出てくる敵は自然とドンドン強くなってしまうわけです。
追記4
最近のライトノベル*9などでは「チート系」など、「最初から強い」主人公も多かったりします。
例えば最初から「レベル99」とか「無限に○○を作れる」みたいな感じですね。
便利で楽そうですが、その能力が他の人から見えたら怖がられそうですね。
例えばゲームで言うと「レベル5」くらいの人々の村に、いきなり「レベル99」の主人公が現れたら、
主人公は仲良くしたくても、「ひ、ひい!お助けー!」みたいな感じで逃げられるかもしれません。逆に情報収集が進まないかも。
…なんか「災害(さいがい)」*10が急に降ってわいた、みたいな感じですね。平和な村に凶悪なドラゴン来たぞ、みたいな。
◆用語集
・主人公(しゅじんこう):
今回色々な例で取り上げられているが、筆者は別に主人公に恨みがあるわけではない。
なお、ファンタジー的な世界で王様と争わない・疑い合わない方法としては、
「あらかじめ、よく話をして仲良くなっておく」という方法などがある。
例えば部下から「なんかよくわからん奴がすごい勢いでモンスターを倒してます!」と報告されるより、
事前に主人公が「あそこら辺のモンスターに挑もうと思うんですが…許可をいただけませんか?」と話を通しておくと、
王様としても顔や人柄がわかっていて安心だろうと思われる。「土地を荒らされている感」が少ないし。
ただしそこら辺を突き詰めると「新しい国に入ったらまず王様と仲良くなる」みたいな感じになり、
「可愛い姫とかを放っておいてまず王様にまっしぐら」とかになり、
結果「あの主人公、ギャルゲーみたいにすごい勢いで王様たちと仲良くなるぞ!」みたいな噂が流される可能性もある。まず最速で王様たちを攻略するRPG
半分ギャグで書いたが、割とこれは真面目な「外交(がいこう)」*11などに関わる話であったりもする。
・レベル99の主人公と村人の会話例
主人公:「あの、すみません、村長の家はどこでしょう?」
村人:「はいは……ん!?ひ、ひい!レベル99だー!あんたレベル99じゃないか!」
主人公:「あ、はい、それで、村長の…」
村人:「もうダメだ……この村はもうおしまいだぁ!」
主人公:「あの!頼むから落ち着いて!俺は悪いレベル99じゃないですよ!」
・俺は悪いレベル99じゃないです:
ゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズの名台詞「ボク わるいスライムじゃないよ。」のオマージュ。
ちなみに『ドラゴンクエストビルダーズ』には、自ら「わるいスライム」を名乗るキャラクターもいるようだ。
*1:「正義(せいぎ)」については 2/15 社会:「罰(ばつ)」と「やる気」の話 ~叱ることは気分がいい!?~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「戦争(せんそう)」については 11/2 社会+国+こころ:愛と平和、と戦争 ~言葉の食い違いから考える~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「軍隊(ぐんたい)」については 5/1 社会:「軍隊(ぐんたい)」に関しての二つの立場(ざっくり) - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「軍拡(ぐんかく)」や「軍備拡張競争(ぐんびかくちょうきょうそう)」については 5/3 社会:軍隊(ぐんたい)・軍事費(ぐんじひ)・維持費(いじひ)の話 ~その砥石(といし)はどれくらい必要ですか?~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「BMD」こと「弾道ミサイル防衛」については 7/31 社+生英:新イージス艦「まや」の話 ~「BMD」に「CECシステム」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:「シビリアン・コントロール」については 4/7 歴+英:その力は誰が「コントロール」するの? ~「シビリアン・コントロール」と「悪用」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:「ストレス」については 2/7 こころの話:「怠惰(たいだ)」に見えるもの、そこに広がるもの - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「インフレ」や「インフレーション」については 2/4 社+ゲーム:並べかえ問題と、RPGのイベント! ~まず復活して、それから暴れます~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「ライトノベル」については 7/7 社+英:色んな「ライト」の話! ~「権利(けんり)」と「光(ひかり)」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「災害(さいがい)」については 5/6 社+英:災害(さいがい)関係の英語 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:「外交(がいこう)」については 9/25 理科:「笹(ささ)」と「パンダ」と「パンダケーキ」! - のっぽさんの勉強メモ を参照。