国語+歴史の話ー。
日本の鎧(よろい)の形式の一つ、
「縅(おどし)」とその語源についての話です、
前置き。
普段なかなか見ることはありませんが、
日本の古い「鎧(よろい)」には色んな部位(ぶい)…パーツがあります。
例えば「兜(かぶと)」とか、「籠手(こて)」とかですね。
で、こういった鎧に関して、歴史マンガとかを読んでいると「赤糸縅(あかいとおどし)の鎧」とか「黒糸縅(くろいとおどし)の鎧」といった言葉も目にしたりすることがあります。
筆者は「おどし」というと「脅し」を思い浮かべますので、
色んな「縅(おどし)」というものがあるのは「ああ、カラーリングで強く見せようとしているのかな?」となんとなく思っていたのですが。
先日調べたら違ったので、そこら辺の話を。
※
まず、「縅(おどし)」とは、
小さな板(「小札(こざね)」)とかに糸を通してつなぎ合わせ、鎧の一部を作る形式ですね、
日本の鎧は、肩とか腰のあたりに段になってるところがあるので、そこをイメージすると分かりやすいかもです。
で、先日読んだ資料によると、
「縅(おどし)」の語源は「緒(お)を通す」ということみたいですね。
つまり「緒通し(おとおし)」ということです。
ざっくり言うと単に「紐(ひも)を通して作るよ」みたいな感じです。
で、Wikipediaによれば、それにあとから「威し」という字を当てたと。
…「脅し」とか深読みしたのは外れていましたね。
Wikipediaによればこの「縅」は、「平安時代」以前は「貫(つら、ぬき)」とか「連」と読んでたようです。
こっちの方が「糸が板を貫通しているよー」とか「糸でつないだ板が連続しているよー」という意味では分かりやすいかもしれません。
…というわけで「縅(おどし)」(の語源)は意外と「脅し」ではなかったという話でした。
まあすごい綺麗な鎧だったら敵は恐れたかもしれませんが、それはそれ。
字が同じでもまた違う言葉、という意味では、
昨日書いた「金平糖(こんぺいとう)」と「金平(きんぴら)」はまた別、というネタに少し似てますね。
新しい言葉を調べる時は、漢字だけにこだわらぬよう、少し注意した方が良いかもしれません。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに「縅(おどし)」から連想したのですが、
料理屋などで注文の前に出てくるサービス料理のことを、「お通し(おとおし)」と言ったりします。
追記2
鎧(よろい)については「なんでわざわざ板をつなぐの?全部鉄で作った方が強くない?」と思う方もいるかもしれません。
それについては多分「動きやすいように余裕を作ってある」のが理由かと思います。
例えば、鎧を全部一枚の鉄で作ったら、強いは強いかもしれませんが、重くなってしまいます。
それに関節とかの曲がる部分も鉄で作っちゃうと、曲がりにくくて動きにくくなるわけですね。
例えば「曲がらない鉄製のズボン」とかを想像してもらえば分かりやすいかもです。
なので鉄の部分が多い「西洋鎧(せいようよろい)」、「プレートメイル」とかでも関節の部分はわざと開けてあったりします。
で、日本の鎧はさらに隙間が多く、細かいパーツをつないて曲がるようにしてあるところが多かったりします。
◆用語集
・縅(おどし):