歴史+英語+国語の話ー。
番傘自体が別に粗悪というわけではありません。悪しからず。
台風(たいふう)が来て雨が降っているので、
日本的な傘(かさ)*1の一つ、「番傘(ばんがさ)」についての話を。
今日は用事がある予定なので、早めに。
前置き。
筆者はちょっと和英辞典で調べものをしていると、
「番傘(ばんがさ)」というものの英訳が、「coarse oilpaper umbrella(コアース・オイルペーパー・アンブレラ)」になっているのを見つけまして。
なんだかすごそうなので、調べてみました。
※
まず「番傘(ばんがさ)」というと、日本の傘の一種ですね。
辞書などを見ると、実用向きで骨(ほね)が太いものをいうようです。
ちなみにWikipediaによれば日本の傘を「和傘(わがさ)」というらしいのですが、
「番傘」は「和傘」の中の一種類のようです。
そして「番傘」の英訳の「coarse oilpaper umbrella(コアース・オイルペーパー・アンブレラ)」ですが。
それぞれの単語を見ていくと、
「coarse(コアース)」が「粗悪(そあく)な」(質の悪い)とか「きめの荒い」・「硬い」、
「oil(オイル)」は「油(あぶら)」、「paper(ペーパー)」は「紙(かみ)」、
そして「umbrella(アンブレラ)」が「傘(かさ)」という意味ですね。
なので直訳すると、「粗悪(そあく)な油紙(あぶらがみ)の傘」ということになるでしょうか。
(ちなみに「和傘」の英訳は「Japanese umbrella(ジャパニーズ・アンブレラ)」でした)
これを見ると「傘に油や紙を使うの?」と思われる方もおられるかもしれませんが、
昔の日本では傘に「油をしみこませた紙」を使ったりしていたようです。
油が水をはじく性質を利用していたわけですね(ここらへんを深めると理科的な話で面白そうですね)。
結構防水性能が高かったようです。
この「番傘」に対して何故「coarse(コアース)」(「粗悪(そあく)な」など)という形容詞が使われたかは不明ですが、
想像するに、割と傘が硬い(coarse)ものだったのか、安い粗悪な(coarse)油紙を使っていたりした、ということがあるのかもしれません。
まあ時代劇でも、お金のない人が「傘貼り(かさはり)」…つまり傘を作るお仕事をやっていたりしますし、
ブランド品というよりは、安めで割と出回っているものだったのかもしれません。
※
今の街中で「番傘(ばんがさ)」はなかなか見ることはありませんが、
ネットで検索してみると「コスプレ用の番傘」などもあるようですね。
またマンガやアニメでは番傘や和傘(わがさ)を使っているキャラクターもいるので、
それっぽいものを見たら、ちょっと調べてみると面白いかもしれません。
好きな方にとっては粗悪(coarse)どころか、とても上等(high level)な傘に感じられるかも?
まあそんな感じで~。
追記
ちなみにWikipediaによれば、日本に傘が入ってきたのは、元々は中国からだそうです。
そのため、入ってきた当初から「唐傘(からかさ)」という名前で呼ばれていたようですね。
(「唐(とう)」は中国の王朝の一つですね)
筆者の手元の国語辞典でも、番傘は「実用向きの、骨の太いからかさ」と説明されていたりします。
追記2
ちなみに和傘は「骨(ほね)」が多いのですが、現代の傘でもこれを真似て「骨」を多くしたものがあったりします。
重くなるようですが、耐久性が上がるようですね。
ただ近年は変わった形の最新傘も開発されていたりするので、どれがいいかは使ってみないと分からないかもしれません。
*1:「傘(かさ)」については 6/15 英語:「雨の日(あめのひ)」に関する英単語7つ! ~今週の英語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。