社会+国語の話ー。
「殿下は、階段*1の下の秘密部屋がお好きで…」的な話ではありません。
敬称(けいしょう)の1つである「殿下(でんか)」と、
その由来らしき意味、「階段(かいだん)の下(した)」についての話を。
(※途中「陛下(へいか)」という言葉についてのデータを参照しているので、
こちらをメインテーマの言葉についても良かったのですが。
でも昨日の「関白(かんぱく)」とつながりがあるのが「殿下」のため、こちらをメインにしました。ご了承を)
前置き。
昨日は「関白(かんぱく)」について書きましたが、
そこから「関白」に対する敬称、
「殿下(でんか)」について興味が湧いたので調べてみました。
※
まず「殿下(でんか)」とは、敬称(けいしょう)の1つですね。
(「敬称(けいしょう)」は、尊敬(そんけい)を込めた呼び方のことです)
Wikipediaによれば、中国では皇族(こうぞく)・王族(おうぞく)等の方々に対して用いられたようですが、
日本では範囲が広くなり、「摂政(せっしょう)」*2や「関白(かんぱく)」*3職に対しても用いられたそうです。
そういえば、現代日本でも皇族の方々についてのニュースでは。
よく「○○殿下」という呼び方を聞く印象ですね。
また昔の時代がテーマのマンガ等には、身分の高い人も多く出たりするので、
「○○殿下」という言葉をよく目にするイメージもあります。
ところで、そんな「殿下」について漢和辞典を調べてみると、
もちろん敬称としての意味も載っていたのですが、
「宮殿(きゅうでん)、または大きな建物の階段の下」という意味もありました。
またWikipediaには、殿下は「殿舎(でんしゃ)の階下(かいか)」とも載っていました。
(「殿舎(でんしゃ)」とは御殿(ごてん)、つまり建物のことですね)
どういうことか?と調べてみると。
どうも身分の高い人を、直接的に呼ぶことを避ける習慣があるようです。
軽く調査した範囲では、「殿下」の直接的な由来は見当たらなかったのですが、
同じく「○下」という呼び方、「陛下(へいか)」についての話を見つけました。
(「陛下(へいか)」は君主に対する尊称(そんしょう)…基本的に国のトップに対する呼び方ですね)
Wikipediaによれば、「陛下(へいか)」の「陛」とは宮殿の階段のことで、
「陛下(へいか)」とは「階段の下」を意味し、
尊敬の対象に直接呼び掛けることを忌(い)むことで敬意(けいい)を示す…という話が載っていました。
(「忌(い)む」とは、「避(さ)ける」ことですね)
つまり、遠回しな呼び方で尊敬を表す、といいうことですね。
これは「陛下」についての話ですが、
似た言葉の「殿下」も同様の由来と思われます。
(上記のように、「殿下」も「宮殿、または大きな建物の階段の下」という意味を持っていますし。
ただ筆者の仮説も多少入っているとも言えるので、ご注意を)
…なので「『殿下』といえば『階段の下(殿下)』!」とも言えそうですが…。
…「下(した)」は身分的に低いイメージもあったりするので、
(由来の話抜きで)ここだけ偉い人に聞かれたら、怒られそうですね。
※
ところで、上では「階段」について多く書きましたが。
今は「バリアフリー」等の関係で、「階段」が無くされることも多い気もします。
例えば「ノンステップバス」…出入り口の段差をなくしたバスもありますし。
まあそれで、「殿下」や「陛下」という呼び方が無くなる訳でもないですが。
でももし「階段」が無い世界で、敬称・尊称を考え直すなら、
「殿下」や「陛下」などは、また違う呼び方になるのかもですね。
「階段」は、「身分(みぶん)の上下」等も表しそうで分かりやすいですが。
(わざわざ「階段の下」に呼びかけるのは、相手が「階段の上」にいるということになりますし)
もしそれが無ければ、例えばあなたはどうやって尊敬を表しますか?
ちょっと考えてみるのも面白いかもですね。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに「殿」のつく言葉は他にも色々ありまして。
例えば「殿上人(てんじょうびと)」や「殿中(でんちゅう)」などの語もあります。
「殿上人(てんじょうびと)」は「殿上の間」に上ることを許された、ある位(くらい)以上の人々のことであり、
「殿中(でんちゅう)」は、御殿(ごてん)の中や宮中(きゅうちゅう)…つまり朝廷(ちょうてい)などの「中」を表す言葉ですね。
普段「上」と「下」というと「上」の方が偉かったりしますが、
「殿上人(てんじょうびと)」がある程度以上の位からなれるのに対し、
Wikipediaによれば「殿下(でんか)」は「実質上の公家の最高位」らしいので、
ざっくり言うと「殿上人」は「殿下」は偉くない人も多い…ということになりそうです。
一部分だけ式にすると「下>上」となりそうて、なかなかシュールですね。
(実際は、むしろ「殿下」と呼ばれる人も殿上人に含まれていたりしますが)
そして「上・中・下」というと、普段「上>中>下」という感じですが、
「殿上人」は「殿下」より偉いわけではなく、
しかも「殿中」は人のことではなく「場所」のことなので、並べると逆に混乱しそうですね。
◆用語集(※人名・役職等敬称略)
・殿下(でんか):
関連記事:『王を表す外国語セブン』*4
*1:「階段(かいだん)」については 4/20 学習:自作ゲーム『教科書(きょうかしょ)ゲームブック』 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「摂政(せっしょう)」については 6/12 社+英他:「摂政(せっしょう)」の髪型(かみがた)は「リーゼント」ですか? ~「リーゼント」と「resent(リ-ゼント)/摂政」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「関白(かんぱく)」については 6/13 社+英他:「秀吉(ひでよし)」は「チーフ・アドバイザー」になりましたか? ~「関白(かんぱく)」と、その英訳の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:記事『王を表す外国語セブン』については 10/6 社+諸外他:「王(おう)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「天皇(てんのう)」については 3/18 社+国:天皇(てんのう)さんと五穀(ごこく)の祭り! ~祈年祭(としごいのまつり)、新嘗祭(にいなめのまつり)~ - のっぽさんの勉強メモを参照。