国語+英語+生活+美術+社会の話―。
「今なら高級肉セットに、特製はんこがついてくる!」的な話ではありません。
印を押すための道具「はんこ/印鑑(いんかん)」*1や、
それにインク*2をつけるための道具「印肉(いんにく)」や「朱肉(しゅにく)」、
そして英語の「pad(パッド)/印肉、肉球(にくきゅう)」の話を。
前置き。
まず「はんこ(判子)/印鑑(いんかん)」とは、印(しるし)を押すための道具ですね。
今は昔ほど使わないかもですが、
書類(しょるい)に押したり、荷物(にもつ)を受け取ったりする時に押したりする感じです。
そして「はんこ」と一緒に使う道具に、「印肉(いんにく)」と言う物もあります。
といってもこの名前より、これの赤い*3物である「朱肉(しゅにく)」の方が有名かもですね。
これらは、ざっくり言うと「柔(やわ)らかくてインク(墨/すみ)が染み込んだもの」という感じです。
「インク台」や「スタンプ台」(あるいはその中身)と呼ばれたりもするようですね。
ちなみに何故こういう物が必要なのか?というと。
はんこ自体にインクは付いていなかったりするので*4、
この「印肉・朱肉(のインク)にはんこをつける」ことで、
「はんこを押せるようになる」(はんこの「印/インク跡」が残るようになる)という訳ですね。
で、そんなことを色々考えている内に、
ふと「何で印肉・朱肉には『肉(にく)』という字が入っているんだ…?」とか、
「食べものの『肉』と関係あるの…?」などと思いまして。
気になって調べてみました。
まず国語辞典によれば「肉(にく)」には、「(動物などの)肉に似て、厚み(あつみ)・ふくらみのあるもの」という意味がありまして。
またそれの例語として、上記の「印肉」が載っていたりしました。
(また漢和辞典によれば「肉」には「厚み」という意味もありました)
なので「動物・生物の肉(の厚み)っぽいよね~」ということで、
はんこの「印肉」や「朱肉」にも、「肉」の字が使われているようですね。
そのため、食べ物の「肉」とは関係は無さそうです。
ちなみに、和英辞典・漢和辞典においても、
「肉」という語には上記の「印肉」の意味があったりしました。
なので「印肉」や「朱肉」と書かずとも、
「肉」と書くだけで(印肉などを)表せることになりそうですね。
そう考えると普通に、
「『はんこ』を『肉(印肉・朱肉)』につける!」とも言えそうなのですが。
…筆者はつい食べ物の肉を想像してしまうため、ちょっとシュールな感じもしますね。牛肉につけてからはんこを押す的な
※
ちなみに、和英辞典で「印肉」を調べてみると、
英訳として「ink pad(インク・パッド)」、「stamp pad(スタンプ・パッド)」などが出てきたのですが。
(また英和辞典では、「pad(パッド)」自体にインク台、スタンプ台という意味がありました。そのため「印肉」も指すと考えても良いかと思います)
実は英和辞典によれば、英語「pad(パッド)」は動物の足の裏側…、
いわゆる「肉趾(にくし)」とか「肉球(にくきゅう)」と呼ばれる所を、表したりもするようです。
他にも「詰め物(つめもの)」などの意味があるので、柔らかい物を広く指すようですね。
なので英語圏の方に、
「『はんこ』関係に『肉(印肉)』という語を使うなんて、日本語は変わってるね」と言われたら。
そこで「英語で言う『pad(パッド)/肉球』に似た感じかもです」と返したら、
意外と分かってもらえたりするかも?
まあこれは筆者の想像に過ぎませんが、
英語圏の方と話すことでもあれば、試してみるのも面白いかもですね。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに「朱肉(しゅにく)」は赤い・またはオレンジ系の(朱色(しゅいろ)の)印肉のことですが、
ネット等によれば、黒い*5(インクの)印肉は①「黒肉(くろにく)」と呼ばれるようです。
…なんか(ダーク系の)ゲームっぽくて格好いい気もしますね。
またそれとは別に、食べもののお肉でも②「黒肉」と呼ばれるものがあるようです。
なので、仮に誰かに「黒肉買ってきて~」と頼むと、
自分が期待していた方と違う「黒肉」を渡される可能性もあるので、要注意かもですね。
追記2
ちなみに国語辞典によれば、
「印肉」を入れる入れ物は「肉入れ(にくいれ)」や「肉池(にくち)」と呼ばれたりするようです。
…別に生物や食べ物の肉じゃないと分かってても、名前のインパクトが結構すごいですね。
「肉入れ」は食べ物のお肉を保管する場所や袋(ふくろ)っぽいですし、「肉池」は何か「酒池肉林(しゅちにくりん)」関係の語っぽくも見えます。
追記3
ちなみに動物に関係無くても、
「厚み」に関係していれば、割と「肉」という語が使われたりするようです。
例えば果物(くだもの)の「果肉(かにく)」などは日常でもよく使いますし、
物語(ものがたり)を作る時などには「肉付け(にくづけ)」という語が、
またプラモデル・ミニ四駆関係などでは「肉抜き(にくぬき)」という語が使われたりするようです。
◆用語集
・印肉(いんにく):
和英辞典によれば、英語では「ink pad(インク・パッド)」や「stamp pad(スタンプ・パッド)」というらしい。
ちなみに「ink pad」は頭文字が「i(アイ)」なので、略して「アイパッド」と呼べるかもしれないが、登録商標の「iPad(アイパッド)」と混ざってややこしいので避けた方が良いと思われる。
関連用語:「封印(ふういん)」、「金印(きんいん)」*6、「国璽(こくじ)」*7、「印刷(いんさつ)」*8、「印刷機(いんさつき)」、「活版印刷(かっぱんいんさつ)」、「印刷所(いんさつじょ)」、
逆(?)っぽい語:「サイン」*9、「署名(しょめい)」*10
・朱肉(しゅにく):
関連用語:「朱印(しゅいん)」*11、「御朱印(ごしゅいん)」
・黒肉(くろにく):
関連用語:「黒印(こくいん)」
関連記事:『黒を表す外国語セブン』
・pad(パッド):
・肉趾(にくし):
・肉球(にくきゅう):
ネット上では「paw pad(ポー・パッド)」などの訳も見られたが、Wikipediaによれば個々の肉球を「pad(パッド)」という、という話も載っていた。
ちなみにWikipediaによれば、肉球のいくつか(前足の「指球」や後ろ足の「趾球」)は「digital pad(デジタル・パッド)」という名前で呼ばれたりするようだ。…何か生物の部位と言うよりは、パソコンやスマホ関係の単語にも見える名前である。
*1:「はんこ(判子)/印鑑(いんかん)」や「封印(ふういん)」については 7/13 英語:「封印(ふういん)」はそこらに溢れてる!? ~「封印」と「シール(seal)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「インク」や「墨(すみ)」については 9/8 国+体+英:色んな「stroke(ストローク)」/漢字の「一書き(ひとかき)」、水泳の「一掻き(ひとかき)」!? - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「赤(あか)」や「朱色(しゅいろ)」、また「色(いろ)」については 5/3 英+国他:色(いろ)/赤(あか)の表現 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:インクが自動的に染み出てきて、印肉・インク台につける必要が無いはんこもあります。
*5:「黒(くろ)」や、記事『黒を表す外国語セブン』については 11/26 美+諸外:「黒(くろ)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:「金印(きんいん)」については 8/16 歴+英:そのスタンプはゴールデン! ~「金印(きんいん)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:「国璽(こくじ)」については 3/24 歴史:「ベーコン」が今の世界を作った!? ~ロジャーとフランシス、二人の「ベーコン」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「印刷(いんさつ)」や「印刷機(いんさつき)」、「活版印刷(かっぱんいんさつ)」、「印刷所(いんさつじょ)」については 3/27 国+歴:そういえば「活字(かつじ)」って何ですか? ~「活字(かつじ)」と「活版印刷(かっぱんいんさつ)」と「無限ループ」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:はんこは使わないので印肉はいらなさそうな「サイン(sign)」については 11/16 英語:「サイン」、「シグナル」、「シグネチャー」! ~意味のつながりで英単語覚える話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:はんこは使わないので印肉はいらなさそうな「署名(しょめい)」については 5/29 英+生:「サブスクライブ(subscribe)」と「スクラブ(scrub)」洗顔の話! ~あとお風呂場とかカビの話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:「朱印(しゅいん)」、「御朱印(ごしゅいん)」、「黒印(こくいん)」については 6/20 社+国:「朱印(しゅいん)」は「生活(せいかつ)」に必要ですか? ~「朱印状(しゅいんじょう)」、「朱印船(しゅいんせん)」、「朱印地(しゅいんち)」等の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。