国語+英語の話ー。
別に「オクシモロン」とかいう怪獣に地球が支配された…とかではありません。
「急がば回れ」など、一見、矛盾(むじゅん)*1しているっぽい言葉を表す言い方、
「撞着語法(どうちゃくごほう)/oxymoron(オクシモロン)」というものについての話です。
前置き。
筆者はちょっとゲーム(『アイドルマスター』*2系)の曲を聴いていたんですが、
その歌詞(かし)の中で「oxymoron(オクシモロン)」という言葉が出てきたので、
気になって調べてみました。
※
まずこの「oxymoron(オクシモロン)」――
――日本語にすると「撞着語法(どうちゃくごほう)」と呼ばれるものについての話ですが。
Wikipediaによればこの「撞着語法(どうちゃくごほう)」とは、
通常は互いに矛盾(むじゅん)していると考えられる複数の表現を含む表現のことを指す、とのことらしいです。
辞書によれば「撞着(どうちゃく)」というのは、前に言ったことと後に言ったことが食い違ってたりすること、つじつまが合わないことであり、
「語法(ごほう)」とは、言葉の使い方のことらしいです。
なので「撞着語法」とは、そんな感じで「意味が反対なものが、同じ表現の中にある言い方」ということですね。
例えば、上にも書いた「急がば回れ」ということわざ*3も「撞着語法」らしいです。
急いでいる時は近道を通りたくなるところを、あえて遠回りすると。そういうあたりが矛盾しているわけですね。
他にも「負けるが勝ち」、「小さな巨人」、「無知の知」とかがあるようです。
これらはただ意味が矛盾しているようにも見えますが、意外と筋が通っていることもあります。
例えば「急がば回れ」について考えてみますと。
急いでいる時は近道をしたくなるものですが、その道が渋滞(じゅうたい)していたとします。
そのまま通ろうとすると、時間がかかりそうですね。
なのでその道を避けてあえて「遠回り」をすると、逆に早く着く…、ということがありえるわけです。
そんな風に「撞着語法」には「複雑なことをシンプルに表せる」とか、
「聞いた人にあえて違和感を抱かせて、興味を引ける(かも)」といった機能もあったりするようです。
※
ちなみにこれらの手法は、ゲームやマンガ、ライトノベル*4等でも見る気がします。
例えば最近、『○○なのに世界最強』といったラノベ作品が多い印象ですが。
これは「○○なら、普通、世界最強にはなれねーだろ!」という前提(ぜんてい)・イメージを利用して、
「いや、○○なのに世界最強になったぜ…」ということに、驚きやドラマ性を持たせているわけですね。
その意味では「不利な状況から逆転する」ことは、色んな作品で行われているので、
実は色んな所に「撞着語法」的な要素はあるのかもしれません。
言ってみれば、ここにもそこにも、「oxymoron(オクシモロン)/撞着語法」が。
なので、あなたが触れた作品の中で、
誰かが「○○なのに」何かを成し遂げた時。
絶対無理だ、と思ったピンチが切り開かれた時。
そこに実は「撞着語法(オクシモロン)」的なものが、あるかもしれませんね。
まあそんな感じで~。
追記
マンガなどの作品で「○○なのに」頑張る、ということは、
あるいは「ジレンマ」や「ハンディキャップ」を克服する、といった方が正しいかもしれません。
または「コンプレックス」を克服するって感じですね。
以前「弱点(じゃくてん)」についての記事でも書きましたが、
主人公があまりにも完璧だと、逆に物語を動かしづらかったりもします。
逆に主人公にある弱点を持たせ、「弱点を持っているのに」頑張らせたり、
あるいはその弱点を克服させてみると、それだけでちょっとした物語になりそうですね。
あと恋愛ゲームとかでは特に「ギャップ萌え」というものもあります。
例えば「クールなのに、実は可愛いところがある」とか。
そういう意味では「○○なのに△△」というものは、かなり色んな所に関わっているかもしれません。
追記2
記事を書いていて、なんか「撞着語法」の書き方に見覚えがあるなあ…と思っていたのですが。
よく考えたら先日も「『暖簾(のれん)』なのに(「暖」という字が入っているのに)『涼しい』物がある」ことをネタにしてました。
なのでこのブログのタイトルの書き方は、割と「撞着語法」的なものが多いかもしれません。
ウケを取ろうとすると、そうなりやすいのかもしれませんね。
追記3
ちなみに冒頭で書いた、「oxymoron」が歌詞に入っている曲というのは、
『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』の「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」という曲のことです。
「久川凪 (ひさかわ・なぎ)」さんと「久川颯 (ひさかわ・はやて)」さんという、双子*5のユニットが歌っている曲ですね。
◆用語集(人名敬称略)
・撞着語法(どうちゃくごほう):
Wikipediaによれば、修辞技法(しゅうじぎほう)の一つ。
通常は互いに矛盾(むじゅん)していると考えられる複数の表現を含む表現のことを指す、とのことらしい。
ちなみにこれに関係しそうな哲学の用語に「弁証法(べんしょうほう)」というものもある。
またWikipediaのページには撞着語法に関して「見えざるピンクのユニコーン」という存在の話もあった。
関連用語:「パラドックス」*6、「ダブルスタンダード/二重基準(にじゅうきじゅん)」、「空集合(くうしゅうごう)」*7、「ゼノンのパラドックス」*8
関連人名等:「ブロントさん」*9
・小さな巨人:
巨人(きょじん)*10というのは大きい人のことだが、なのに「小さい」あたりが「撞着語法」。
以前ドラマで『小さな巨人』というものもあった。
またアニメで『小さな巨人 ミクロマン』という作品があったようだ。
ちなみにマンガ『ハイキュー!!』にも、この「小さな巨人」という名前で呼ばれる人物がいたりする。
・修辞技法(しゅうじぎほう):
Wikipediaによれば、、文章やスピーチなどに豊かな表現を与えるための一連の技法のこと。
これは英語やフランス語から輸入した概念で、
かつての日本語では「文彩(ぶんさい)」、また単に「彩(あや)」と言ってたらしい。綺麗な表現である。
擬態語(ぎたいご)・擬声語(ぎせいご)などの「オノマトペ」などもこれに含まれるようだ。
関連用語:「抑揚(よくよう)」*11、「イントネーション」、「清音(せいおん)」*12、「濁音(だくおん)」、「半濁音(はんだくおん)」
・オノマトペ/擬態語(ぎたいご)/擬音語(ぎおんご)/擬声語(ぎせいご):
何かの様子や音、声*13などを言葉で表したもの。
例えば「ワンワン」や「ガタガタ」など。
関連自作ゲーム:『オノマトペ・クエスト』*14
・見えざるピンクのユニコーン:
Wikipediaによれば有神論(ゆうしんろん)を風刺(ふうし)したパロディカルトにおける女神らしい。
「見えないのにピンク色」という逆説的なユニコーン*15の形をとっている、とのこと。
英語では「Invisible Pink Unicorn(インヴィジブル・ピンク・ユニコーン)」。略称は「IPU」。
ざっくり言うと有神論…つまり「神は存在する」と言う人の説得の中の「神」という言葉を「見えざるピンクのユニコーン」に変えると、説けば説くほどなんか逆効果じゃない?みたいな感じのシミュレーションらしい。ちょっと説明が難しいが。
ちなみにこれに関連するものに「ラッセルのティーポット」や「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」などもあるようだ。
ちなみに筆者は略称の「IPU」をビールの名前で聞いたことあるな…と思ったが、それは「インディア・ペールエール (India pale ale) /IPA」の勘違いであった。
関連用語:「証明(しょうめい)」*16
・「インディア・ペールエール (India pale ale) 」:
関連用語:「エール(ale)」*17
・弁証法(べんしょうほう):
哲学の考え方の一つ。
「ヘーゲル」*18や「マルクス」によるものが特に有名。
・「カール・マルクス」: 1818 - 1883。
ドイツ・プロイセン王国出身の哲学者。
「社会主義(しゃかいしゅぎ)」の運動などに大きな影響を与えた。
・社会主義(しゃかいしゅぎ):
関連用語:「社会(しゃかい)」*19、「共有(きょうゆう)」*20、「主義(しゅぎ)」*21、「思想(しそう)」、「イデオロギー」、「資本主義(しほんしゅぎ)」*22、「システム」*23、「権利(けんり)」
・「久川凪 (ひさかわ・なぎ)」【デレステ】:
関連用語:「凪(なぎ)」*24、「マンションポエム」*25
・「久川颯 (ひさかわ・はやて)」【デレステ】:
*1:「矛盾(むじゅん)」については 7/13 国語:「黒」い「白」地図、「白」い「赤」ん坊!? ~色とさまざまな表現の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:ゲーム『アイドルマスター』シリーズについては 4/24 英語:お遊び/中二病的な英文例 ~あいつは魔王で魔眼使い~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「ことわざ」については 12/24 国語:「ことわざ」は「言葉(ことば)」の「技(わざ)」ですか? - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「ライトノベル」や「権利(けんり)」については 7/7 社+英:色んな「ライト」の話! ~「権利(けんり)」と「光(ひかり)」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「双子(ふたご)」や、「ダブルスタンダード」または「二重基準(にじゅうきじゅん)」については 2/6 数+国:数字の「2」から考える話 ~双子、ペア、対立~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:「パラドックス」については 5/28 英語:色んな「パラ」の話! ~パラオ・パラソル・パラダイス~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:数学の「空集合(くうしゅうごう)」については 1/22 数学:「集合(しゅうごう)」なのに「何もない」!? ~「空集合(くうしゅうごう)」の話(※未完メモ)~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「飛んでいる矢は止まっている」という話も含む「ゼノンのパラドックス」については 10/3 社+国他:「飛んでいる矢(や)」は「止まって」ますか? ~「ゼノンのパラドックス」と、現代の文明(ぶんめい)の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「黄金の鉄の塊」という名言がある人物「ブロントさん」については 1/11 地理:「暖流(だんりゅう)」+「寒流(かんりゅう)」=「魚フィーバー」! - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「巨人(きょじん)」については 3/2 社会:ウサギの話(を少し) - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:「抑揚(よくよう)」や「イントネーション」については 2/24 英+ゲーム他:「イントネーション(intonation)」は呪文(じゅもん)の詠唱(えいしょう)ですか? - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*12:「清音(せいおん)」や「濁音(だくおん)」、「半濁音(はんだくおん)」については 1/26 国語:重さのイメージと音の話 ~清音(せいおん)、濁音(だくおん)、半濁音(はんだくおん)~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*13:「声(こえ)」については 5/20 理科+こころ:すべての「声(こえ)」には「ズレ」がある!? ~「声(こえ)」と「音速(おんそく)」、伝わる時間~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*14:筆者の自作ゲーム『オノマトペ・クエスト』については 6/27 国+ゲーム他:問題文に「オノマトペ」を入れるゲーム!? ~自作ゲーム『オノマトペ・クエスト』の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*15:一つ角を持った馬「ユニコーン」については 3/21 社+国:「ユニコーン」の色は白、水色、ピンク? ~「ゆめかわいい」という言葉の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*16:「証明(しょうめい)」については 3/14 数学:逆に証明を作ってみるゲーム!? ~ヒント量と「解けない問題」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*17:お酒の「エール(ale)」については 7/20 体+英他:「エール(yell)」は「叫び(さけび)」で「応援(おうえん)」ですか? - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*18:哲学者「ヘーゲル」については 1/25 理科:電気/ペルティエ効果・追記 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*19:「社会(しゃかい)」や「女神(めがみ)」については 3/3 国語:運命(うんめい)、神(かみ)、そして社会(しゃかい) - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*20:「共有(きょうゆう)」については 2/19 英語:特別(special)もまた嬉し、楽し - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*21:「主義(しゅぎ)」や「思想(しそう)」、「イデオロギー」については 9/6 社+英:政治(せいじ)とかの「主義(しゅぎ)」に関する英語+α! ~今週の英語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*22:「資本主義(しほんしゅぎ)」については 4/21 数+社:売買ゲーム ~儲け(もうけ)と借金(しゃっきん)のシステム(軽く)~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*23:「システム」については 2/19 社+こころ:自信のなさを力に変える!? ~システムの話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*24:風が止まった状態を指す「凪(なぎ)」については 7/16 生+国他:「アジ」の「刺身(さしみ)」は「鳥(とり)」ですか? ~魚の「アジ(鯵)」と、鳥の「アジサシ(鯵刺)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*25:「マンションポエム」については 1/14 理+社他:あの「巣(す)」の「価値(かち)」はどれくらい? ~テレビ番組『鑑定!どうぶつ不動産』の紹介記事~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。