国語+社会+ゲームの話ー。
一応、ホラーな記事ではありません。
あと思考実験(シミュレーション)なので筆者的にはゲームジャンルで。
「言葉(ことば)」という語には、「口(くち)」という漢字(かんじ)が含まれているけど、
「じゃあもし、人間に口が無かったら?」と考えてみた話です。
※ややこしい長文なので注意
※以下では思考実験のやりやすさ上「人間に口がある」ことを前提としてますが、
これは特に障害・身体的特徴を持つ方への攻撃の意図ではなく、
また人間としての基準決めの意味でもありません。
あくまで一部の漢字の成立過程などについて考えてみる試みです。
しかしご不快に感じることがあればすみません。ご容赦を。
前置き。
昨日の記事で『ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~』*1というマンガや
「言語学(げんごがく)」…言葉(ことば)についての学問を紹介していて思いついたのですが。
「言葉(ことば)」という語の「言」には、
「口(くち)」という字が含まれていますね。
では、仮にもし、人間(にんげん)という種族にもともと「口(くち)」がなかったら、どうでしょう?
そこでは『言葉』という語は、そもそも使われないのではないか?
または違う形になるのではないか?と思いまして。
ちょっと考えてみました。
(※以後、「人間に口のない世界」を、「口のない世界」と呼ぶことあり)
※
例えば、人間にもともと「口(くち)」というものがなかったら。
まず、漢字の「口」を使う回数は今より減るかと思います。
また、口から出る「声(こえ)」についても同じです。
それらは(その世界の人間にとって)「自分にない器官(きかん)や現象(げんしょう)、手段」ですからね。
なので、「口のない世界」では普段のコミュニケーションに使う手段…
…仮にそれを「ことば」とすると(※「言葉」と書くと「口」が入ってしまうのでひらがな)、
その「ことば」に、「口」という漢字が含まれる確率は、低いかと思います。
「口のない世界」ではそもそも人間には口がないですし、コミュニケーションにも使いませんしね。
では、どうやってお互いにコミュニケーションするかというと。
例えば「文字(もじ)」や「ジェスチャー」(身振り手振り)が使われそうですね。
また口から声が出なくても、物を叩く「音(おと)」も使われるかもしれません。
よって「人間に口がない世界」では、今使われている『言葉』という語の代わりに、
「身振り手振り」や「ジェスチャー」など、また違う動作の名前が使われるのではないかと思われます、
仮にメインのコミュニケーション手段を「ことば」と呼ぶならば、
ちょっとルビっぽくなりますが、「動作(ことば)」、「字(ことば)」みたいな。
あるいは現在の世界の言葉と入れ替えていくなら
・書くことの「字(じ)」をメインにする世界
「語」→「字」、「単語」→「単字」、「会話」→「会字」、あるいは「表字」?
・動作、「動」をメインにする世界
「語」→「動」、「単語」→「単動」、「会話」→「会動」、あるいは「表動」?
…って感じでしょうか。
逆に言えば、現在のように「口」を使った漢字が多いのは、
少なくとも漢字を作った時代に、「人間の間で口を使った会話ができること」が重要視されていたのではないかと思います。
だからか今でも、「言う」ことを表す字の「言」は、
漢字の「ごんべん」になり、いろんな言葉に含まれています。
「語(ご)」という字は、口から出る言葉に限らないのに、「言」という字を含んでいます。
例えばノートとかに書いたものは、口を使っていないのに、
「単語(たんご)」と呼ばれ、ほぼ自動的に「口」を含むわけですね。
というか冒頭で紹介したように「言葉(ことば)」という時点で「口」を含むわけです。
別にそれらを悪いと言いたいわけではないのですが、
普段自然だと思っていることでも、少し条件が違うと、全く違った形になるかもしれない、ということを思いました。
(口の有無は少しではないかもですが)
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに言葉や言語(げんご)を表す英語に「tongue(タン)」というものもあるのですが、
これは「舌(した)」*2という意味も持つ英語でもあります。
舌は言葉の発音(はつおん)に関してとても重要な役割をするので、
それがよく表れている、という感じですね。
逆に言えば、本文で確認した「人間に口のない世界」では、口も舌もないと思われるので、
この「tongue」という言葉が「言葉」を指すことはないと思われます。
追記2
本文ではあまり触れませんでしたが、「書き言葉」と「話し言葉」がいつも同じとは限りません。
例えば日本には「文語体(ぶんごたい)」、「口語体(こうごたい)」というものもあるようです。
説明が難しいのですが、Wikipediaによれば「文語(ぶんご)」というのが文章(ぶんしょう)の上で使われる言葉遣いであり、
「口語(こうご)」が日常で使われる言葉遣いのようですね。
で、「文語体」と「口語体」はそれぞれに対応した「文体(ぶんたい)」のようです。
ただしWikipediaによればかつての「言文一致運動(げんぶんいっちうんどう)」というもので、今は口語体がメインで使われているようですね。
ちなみにこの「言文一致運動」に関して有名な作品に「二葉亭四迷(ふたばてい・しめい)」氏の『浮雲(うきぐも)』という小説があったりします。
国語や歴史の教科書でも名前を見る作品ですね。
◆用語集
・口(くち)【部位・器官】
英語では「mouth(マウス)」。
関連用語:「唇(くちびる)」*3、「口紅(くちべに)」、「舌(した)」、「歯(は)」*4、「くちばし(嘴)」、「食感(しょっかん)/mouthfeel」*5、、「アクセント」*6、「歯ブラシ」*7、「ほくろ(黒子)」*8、「鼻(はな)」*9、「噛む(かむ)」*10
関連記事:『口を表す外国語セブン』*11、『鼻を表す外国語セブン』、『言語を表す外国語セブン』*12
*1:マンガ『ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~』や「言語学(げんごがく)」については 1/15 国+社他:ネット用語/「草(くさ)」は「草」だけど「草」じゃない!? ~「(笑)」、「w」、「草」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「舌(した)」については 7/10 英+体:「体(からだ)」に関する英語7つ+α! ~今週の英語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「唇(くちびる)」や「口紅(くちべに)」については 5/18 英+生:「髪(かみ)」関係の英語7つ+α! ~今週の英語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「歯(は)」や「くちばし(嘴)」については 1/9 英語:素材(そざい)/生物(せいぶつ)系あれこれ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「mouthfeel」とも言う言葉「食感(しょっかん)」については 6/10 英+音:「アウトロ」、「ビントロ」、「トロットロ」!? ~色んな「~トロ」という言葉~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:「アクセント」については 6/9 生活:女性用ファッション用語メモ2!(『ヒルナンデス!』を参考に) - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:「歯ブラシ」については 5/25 生+英他:「ブラシ」と言ったら「やぶ(藪)」ですか? ~2つの「brush(ブラッシュ)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:肌にできる黒い点、「ほくろ(黒子)」については 1/10 生+国他:「ほくろ」を漢字(かんじ)で書けますか? ~「ほくろ」の3つの漢字表記の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「鼻(はな)」や、記事『鼻を表す外国語セブン』については 3/10 理+諸外他:「鼻(はな)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「噛む(かむ)」については 4/9 国+英他:「噛む(かむ)」と「噛む」は違いますか? ~①「bite(バイト)/一口噛む」と②「chew(チュー)/よく噛む」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:記事『口を表す外国語セブン』については 3/24 理+諸外他:「口(くち)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*12:記事『言語を表す外国語セブン』については 11/10 国+諸外他:「言語(げんご)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。