英語+国語+こころの話ー。
恐怖(きょうふ)*1などで混乱(こんらん)*2した状態の「パニック(Panic)」と、
その語源に関わると言われる、ギリシャ神話の神「パーン(Pan)」の話です。
※本文中、神名等敬称略
前置き。
国語辞典を読んでいると、「パニック」についての説明が面白かったので、
そこから色々調べてみました。
※
改めて、「パニック(panic)」とは、恐怖(きょうふ)などで人が混乱(こんらん)することですね。
自分でもよくわからない行動をしてしまったり、身体が勝手に動いてしまったりする感じです。
現代でも「パニック障害」という言葉はよく使われたりするので、
「現代的」というイメージがあったりするかもですが。
でも、その語源は遠く放慣れた古代ギリシャ・しかもギリシャ神話にあったりするようです。
Wikipediaによれば、牧神「パーン(Pan)」(パン)という神様が関わっているらしいです。
なんでもギリシャ神話によれば神々の住む場所、「オリュンポス」というところがありまして。
そこに「テューポーン」(テュポーン)*3という魔神(まじん)が攻めてきた時、
そこにいた神々は動物に姿を変えながら逃げたらしいです。
しかし上記の神様「パーン(Pan)」は上半身が山羊、下半身が魚という「ちぐはぐ」な姿に化けてしまったようです(とても逃げにくいですね)。
で、これが「パニック」の語源となったのだとか。
パーンの混乱っぷり…まさに「パニック」を表しているわけです。
また、これとどちらが先か分かりませんが、
古代ギリシャの人々が、動物がいきなり騒いで逃げ出す現象を、「パーンに関係するもの(Panic)」と呼んだという話もあるようです、
もっともこちらは、上記の逃げる時の話関係というより、「パーンが動物の感情を動かした」という感じのようで。
パーンは芸術関係(つまり感情を動かすもの関係)や、お祭り騒ぎの神とみなされたりもするらしいので、そちらの側面に関わっているかもしれません。
※
いずれにせよ、古代ギリシャから「パニック」という概念があったのは興味深いですね。
「昔からそんな困った問題があったのか…」とげんなりするかもですが、
逆に言えば、それだけ昔から「パニック」という言葉が研究されてきた可能性もあります。
現代でもパニック(Panic)になりやすくて、イヤだなあと思う方はおられるかもしれません。
でも現代の知識では、どうもうまくいかない場合もあるかも。
そんな時は、意外と昔や歴史や、他の国のことを調べてみるのもいいかもしれませんね。
案外、違う国や時代には、視点や考え方の違った、いい知恵があるかもしれません。
それで上手くいったら パーンのように騒いで(Panic)お祝いができる…なんてこともあるかも?
(※もちろん騒ぎ過ぎにはご注意を)
まあそんな感じで~。
追記
ちなみにギリシャ語には「Pan(パン)/全ての、汎(はん)」という接頭語があるのですが、
Wikipediaによれば、これと牧神「パーン」が関わっているという話もあるようです。
その場合はパーンが「パンテオン」、「パンデモニウム」、「パンクラチオン」、「パンデミック」*4等に関わっている、と言えるかもしれません。
あと英語の方で「パンパシフィック」という言葉もありますが、そちらにも関わっているかもです。要追加調査ですね。
追記2
ちなみに話はズレますが、
手元の辞典によれば、色の「紅(くれない)」の語源は、「呉(くれ)の藍(あい)」…呉の国から伝わった藍、という説がありました。
ただ、Wikipediaによれば、その真偽や詳細は不明らしいですが…。
ともあれ「紅」に関してこの説を知っている方も少なそうなので、
「紅」も「パニック」も、有名な割に語源が知られていない言葉といえるかもしれません。
あとアニメなどの影響もあって、赤さの表現の「紅蓮(ぐれん)」と言った言葉もよく聞く印象ですが。
これは字のごとく「紅(くれない)の蓮(はす)*5」…つまり真っ赤なハスのことだそうです。
でも「紅蓮」という言葉自体を聞き慣れてしまい、あまりハスのイメージはないかもですね。
◆用語集
・パニック:
関連用語:「アガる」*6、「ハードボイルド」*7、「テロ/テロリズム」*8、「慌てる(あわてる)」*9、「狼狽える(うろたえる)」、「狼狽(ろうばい)」、「危険(きけん)」*10
・パーン/パン(Pan)【ギリシャ神話】:
関連用語:「パンの会」*11、
似ている用語:「パン/bread(ブレッド)」*12
・pan(パン):
「全ての」、「汎(はん)」などの意味を持つ接頭語(せっとうご)。
・紅蓮(ぐれん):
*1:「恐怖(きょうふ)」については 2/12 学習:楽しいものにつなげるゲーム! - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「混乱(こんらん)」については 10/3 英語:ゲームの「ステータス異常」についての英語 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:ギリシャ神話の神「テューポーン」(テュポーン)については 9/7 国+ゲーム:「合成獣(キメラ)」を元に戻すゲーム!? ~「分け分け・キメラゲーム」~ - のっぽさんの勉強メモを参照。
*4:「pandemic(パンデミック)」については 7/15 社会:シリアスゲーム追記:カード&ボードゲーム紹介 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:植物の「ハス(蓮)」については 6/6 理+美他:「スイレン」は「ヒツジ」の「草(くさ)」ですか? ~「スイレン(睡蓮)」、「ヒツジグサ(未草)」、「未の刻(ひつじのこく)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:緊張で「アガる」ことについては 1/16 国+こころ他:「アガる」は「緊張(きんちょう)」で「楽しみ」ですか? ~色んな「アガる」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:ある意味パニックの反対語っぽい語「ハードボイルド」については 6/20 英+生他:「ハードボイルド」は「固ゆで(hard-boiled)」ですか? ~卵(たまご)と探偵(たんてい)の関係~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「テロ/テロリズム」については 9/11 社+英他:「テロ」と「恐怖(きょうふ)」の話 ~「テロリズム(terrorism)」と「terror(テラー)/恐怖」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「慌てる(あわてる)」や「狼狽える(うろたえる)」、「狼狽(ろうばい)」については 5/11 国+こころ他:「慌(あわ)て」たら「狼(おおかみ)」になりますか? ~「狼狽(ろうばい)」、「狼」、「狽(ばい)/狼の一種」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「危険(きけん)」については 7/28 生+諸外:「危険(きけん)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:明治期の青年文芸・美術家の懇親会「パンの会」については 6/27 歴+国他:「パン」は「パン」でも「パン(Pan)の会」! ~青年文芸・美術家の懇親会(こんしんかい)の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*12:食品の「パン/bread(ブレッド)」については 5/18 英+社:パンはパンでも「ソルトパン」!? ~パンの話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。