国語+社会+こころの話ー。
「これはもう、全世界共通の心理だから…」的な話ではありません。
無い物はどうしようもできない、的な語「無い袖は振れぬ(ないそではふれぬ)」、
そして「袖(そで)」*1を「振る(ふる)」文化について、
「振袖(ふりそで)」*2などを参考に調べてみた話です。
遅くなってしまったので簡単に。
前置き。
昨日「滅相もない」について調べた流れで、
「無い袖は振れぬ」という語を思い出したので、その話を。
※
まず「無い袖は振れぬ(ないそではふれぬ)」とは、ことわざの一種ですね。
無い物はどうしようもできない、的な意味合いです。
個人的には、「お金が無くて何かを買えない」時に聞く印象もあります。
まあ今は日本でも洋服(ようふく)が多く、
袖(そで)も短めで、あまり「振る」という感じもしませんが。
昔の服*3の、着物(きもの)や和服(わふく)は袖が長く大きかったりするので、
袖の有る無し、またそれを振る/振れない様子はかなり目立つかもですね。
しかしそう思う一方で、
「何故わざわざ『袖』を『振る』例えにしたのだろう…?」と疑問に思いまして。
直接的に「無い金は払えぬ」とか「無い薬は飲めぬ」とかでいい気もしますし。
「袖ってそこまで振る機会あるかな…あっても重要かな…?」などと思いました。
という訳で、色々調べてみたのですが、
どうも昔は「袖を振る」ことに関して文化があったようですね。
というのも、Wikipediaの「振袖(ふりそで)」のページには、
「古来、布などを振る行為には呪術的な意味があり、神に仕える女性たちは長い布や長い袖を振る魂振り(たまふり)を行ったといわれる」とか、
「未婚女性が振袖の袖を振る事は、求愛(きゅうあい)の意思表示として使われることもあった」などと載っておりました。
そして、この辺りが恋愛用語の「振った/振られた」(お付き合いを断る/断られた)の由来だったりもするようです。
なので、上記だけでも呪術・神事・恋愛関係において、
「袖を振る」(そして「袖を振れない」)ことは重要な意味を持っているわけですね。
筆者は初め、「『無い』袖は『振れぬ』」の反対語は、
単に「『ある』袖は『振れる』」くらいかと思っていたのですが。
しかし上記のような、袖を振る・活用する文化を見ると、
むしろ昔は「『袖』があったら『振りたい』!色々活用したい!」くらいの積極的な気分だったかもですね。
…海外の方からは「日本人ってそんなに『袖』が好きなの…?」って思われそうですが。
※
まあ、上にも書いたように今の服(洋服)は袖が短いので、
あまり「袖を振る」という動きや、
また「袖を振れない」ことの意味はピンときにくいかもですが。
でも来月の3月は卒業式(そつぎょうしき)などがあるので、
それこそ「振袖」や、「袖」の長い服を着る方もおられるかもですね。
その時には少し「袖を振って」みて、
「『袖を振る』や『無い袖は振れぬ』ってこんな感じか~」と、確認しても面白いかも?
まあそんな感じで~。
追記
筆者は「振袖」について過去記事でも調べていましたが、
今回の本文内容のように積極的に袖を振ったり、活用する文化(ぶんか)があることまでは調べられていませんでした。反省ですね。
◆用語集
・「無い袖は振れぬ(ないそではふれぬ)」:
関連用語:「鎧袖一触(がいしゅういっしょく)」*4
関連記事:『服を表す外国語セブン』*5
*1:「袖(そで)」については 10/31 英+生:服の「スリーブ」(袖/そで)と、カードの「スリーブ」の話 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「振袖(ふりそで)」については 9/26 国語:「振替(ふりかえ)」休日の「振り(ふり)」って何? ~割り当て、振動(しんどう)、あと色んな「ふり」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「服(ふく)」については 4/19 家+社:色んな「服(ふく)」と「重さ」の話! - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「鎧袖一触(がいしゅういっしょく)」については 7/3 国語:「鎧袖一触(がいしゅういっしょく)」は無敵状態ですか? - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:記事『服を表す外国語セブン』については 12/11 生+諸外:「服(ふく)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。