英語+社会の話ー。
「パンデモニウム」や「伏魔殿(ふくまでん)」と言った言葉に関してのメモです。
前置き。
以前、「パンはパンでもソルトパン(塩田)」といった記事を書きました。
「パン」という語が入ってても食べれない(ある意味当然な)わけですが、
「パン」という字が入ってても、他にも食べられないものはあったりします。
その一つが「パンデモニウム(pandemonium)」ですね。
「パンデモニウム」というのは作家「ミルトン」の小説『失楽園(しつらくえん)』に出てくる建物の名前です。
Wikipediaによると地獄(じごく)*1の首都(しゅと)みたいですね。
「パン」とついてますが、食べられる気がしません。
ちなみにこのパンデモニウムは「伏魔殿(ふくまでん)」や「万魔殿(ばんまでん)」と訳すようなのですが、
「伏魔殿(ふくまでん)」の方にはまたちょっと違う由来があって、物語の『水滸伝(すいこでん)』*2からとられた言葉だったりします。
Wikipediaによれば「魔王」が封じられた建物なのだとか。
つまりある作品『失楽園』に「パンデモニウム」という言葉があって、
その日本訳語に別の作品にからもってきた「伏魔殿(ふくまでん)」という言葉が当てられたと。
なかなか大胆ですね。
ちなみにこの「伏魔殿」という言葉自体は日常でも使えるらしく、
その時には「陰謀(いんぼう)や悪事(あくじ)などがいっぱい企まれている場所」という意味になるそうです。怖いですね。
Wikipediaのページにも、政治家の「田中眞紀子(たなか・まきこ)」氏や「石原慎太郎(いしはら・しんたろう)」氏がこの言葉を使ったりされたようです。
「パンデモニウム」は「パン」として「食えない」だけでなく、
それどころかうかつに関われば「取って食われる」位の危険な「パン」であるのかもしれません。
みなさまもどうぞ、物を選ぶときは名前だけでなく、中身にもお気を付けくださいませ。
まあそんな感じで~。
追記
パンデモニウムの意味を知っていれば「そんなやべーもんにはかかわらないよ!」と思うかもしれませんが、
世の中には「パン・オ・ショコラ」というものもありますので、
「パン・デ・モ・ニウム」と言ったら食べ物っぽくなってしまう気もします。
◆用語集
・パンデモニウム:
悪魔(あくま)*3がたくさんいるとされるところ。ミルトンの『失楽園』に出てくる。
日本語では「伏魔殿(ふくまでん)」、「万魔殿(ばんまでん)」など。
逆に、神々を祭った「万神殿(ばんしんでん)」という物も存在する。
ちなみにカードゲーム『遊戯王』には《伏魔殿-悪魔の迷宮-》と、《万魔殿-悪魔の巣窟-》というカードがそれぞれ存在する。
またゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズには、召喚獣(しょうかんじゅう)などとして登場する。
関連用語:「煉獄(れんごく)」*4
・伏魔殿(ふくまでん):
中国の物語『水滸伝(すいこでん)』に出てくる建物。
また上記の「パンデモニウム」の訳語ともなっている。
・万神殿(ばんしんでん)/パンテオン:
色んな神々を祭った神殿*5。
Wikipediaによれば「パンテオン」とは「すべての神々」という意味らしい。それが転じて、神殿の名前になったとか。
古代ギリシア、古代ローマには多くあったようだ。
現在でもギリシャとフランスの「パリ」にあるようである。
ちなみにカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』には《万神殿の兵士/Soldier of the Pantheon》や《万神殿の伝令/Herald of the Pantheon》などのカードが存在する。
*1:「地獄(じごく)」については 7/29 英+学+ゲーム:「エリクサー(elixir)」は辞書に載ってますか? ~「ゲーム用語辞典」的な辞書の使い方~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:『水滸伝(すいこでん)』については 6/17 歴史:「47」、「72」、「56億」!? ~色んな物語、桁のでかい数字~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「悪魔(あくま)」については 12/10 世界史:正義(せいぎ)は変わるし、性別(せいべつ)も変わる。…え、性別? - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「煉獄(れんごく)」については 11/24 国+歴:「レンガ(煉瓦)」と「煉獄(れんごく)」、「救い」と「努力」 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「神殿(しんでん)」については 2/20 生+英他:ものを食べると「寺(てら)」が動きますか? ~頭の「こめかみ」と「temple(テンプル)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。