こころ*1+国語の話ー。
「このマンガは痛快だから、読んでると痛い…!」的な話ではありません。
胸(むね)がすくような愉快(ゆかい)なこと、「痛快(つうかい)」と、
「ひどく」、「はげしく」などの意味がある漢字の「痛(つう)」、
そして「とても」などに似た意味を持つ語、「いたく(痛く)」の話を。
前置き。
まず「痛快(つうかい)」とは、胸がすっきりするような、愉快(ゆかい)なことですね。
特にストレスが解消された時などに使う語で、
例えばマンガとかだと「人々を苦しめる悪役が倒された」時などに使う気がします。
でも「痛快」は微妙に世代(せだい)を感じる語の気もするので、若い方達はあまり使わないかもですね。
その場合、似た言葉に「爽快(そうかい)」もあるので、そちらをイメージして頂くと分かりやすいかもです。
で、筆者自身はなんとなく知っていた「痛快」ですが。
しかし字を見ている内にふと、
「何で『痛い』*2って字が入っているんだ…?」などと思い、調べてみました。
まず漢和辞典を調べてみますと、
「痛(つう)」という字は「ひどく」、「激しく」等の意味を持っているようです。
なので物事の程度(ていど)や、様子(ようす)を表す語にもなる訳ですね。
さらに、程度を表す「とても」に似た語で、「いたく」という語があるのですが。
(例文:「いたく感激(かんげき)する」、「いたく後悔しているようで~」)
国語辞典でこの「いたく」を調べてみると。
説明に「雅語の形容詞『痛し』の連用形」と書いてありました。
(「雅語(がご)」とは、丁寧(ていねい)な言葉のことですね)
でも「いたく感激する」と言った場合は、別に苦痛(くつう)としての「痛み」は起こっていないと思われるので、
この場合は「程度としての『痛し』・『痛』」と考えられるかもですね。
そう考えると「痛快」も「痛く(とても)快い」意味と思われるので、
「『痛快』は(苦痛的には)『痛くない』!」と言えそうですが。
でも上記の「痛し」的には、「『痛快』は『痛い(とてもスッキリする)』!」とも言えそうですね。
ちょっと矛盾(むじゅん)っぽくて面白いです。
※
ところでマンガやドラマ、ゲームなどの、
「悪役が倒されるシーン」はなかなか気分がいい物でもありますが。
ただ現実で同じ事をやろうとすると、えらいことになる可能性もあります。
ゲームみたいに「モンスターを倒した!」とはいきませんしね。犯罪者ルート
そう考えると、「現実」はなかなか複雑で難しい物かもですが。
でもそんな世界で上手く立ち回り、
「話し合いで、悪い人を改心(かいしん)させたぜ!」とか、
「心底分かり合えないと思ってたけど、話してみたら少し分かったぜ」とできたら。
それはなかなかにストレス解消な、「痛快」な話と言えるかもです。
戦いで相手に「痛み」を与え、降参(こうさん)させるのが方法の一つとしても。
一方で余計な「痛み」を与えず、でも問題を解決する…、
そんな方法がとれたら、それは「いたく(痛く)」素晴らしいことかもですね。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに「イタい」という言葉もあります。
これは「痛々(いたいた)しい」的な意味で、
例えば「あいつ、すごい自慢してるけど周りが見えてなくて、ちょっとイタいな…」的な感じですね。
マンガ等だとよく「勘違いしたうぬぼれキャラ」や「ニセ勇者」とかが出てきて、
弱めや無害(むがい)なモンスターをやっつけて「痛快!」みたいな様子になっていたりしますが。
でもそれも周りから見ると、実は「イタい」ことになっているかも…と考えると、
「イタい」と「痛快」も、また関係が深いのかもしれません。
◆用語集
・痛快(つうかい):
関連用語:「曖昧(あいまい)」*3
関連記事:『感動を表す外国語セブン』*4
*1:「心(こころ)」については 9/7 英語+こころ:「心(こころ)」に関する英語7つ+α! ~今週の英語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「痛い(いたい)」や「痛み(いたみ)」、「痛(つう)」、「苦痛(くつう)」については 5/9 英語:「腹痛(ふくつう)」などに関する英語 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:痛快の反対語っぽい語「曖昧(あいまい)」については 10/31 こころ+国:「曖昧(あいまい)」に「愛(あい)」はありますか? ~「曖昧」と「曖(あい)」と「愛」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:記事『感動を表す外国語セブン』については 8/12 こころ+諸外:「感動(かんどう)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。