国語+社会(礼儀)+こころの話―。
「その呪われた才能、今すぐ捨てた方が良いぞ…!」的な話ではありません。
才能(さいのう)*1などを表す語「才(さい)」と、
相手の気持ち等を察して上手く対処できる様子、「如才ない(じょさいない)」、
そして元の語から意味が逆転したっぽい語、「如才(じょさい)」の話を。
遅くなってしまったので簡単に。
前置き。
まず「才(さい)」とは、よく「才能(さいのう)」の略としても使われる言葉ですね。
例えば「生まれつきの才」とか、「軍師(ぐんし)としての才」という感じです。
(「才能(さいのう)」とは、その人の得意(とくい)なこと、人より伸びやすい所などを差す言葉ですね)
で、「才能はあった方がいい」とされることが多い気がするので、
「才」に関しても、同じように思えるのですが。
しかし中には、「ない」方が良い「才」もあったりするようです。
というのも「如才ない(じょさいない)」という言葉があるからですね。
国語辞典によれば「如才ない(じょさいない)」とは、
「(相手の気持ち・立場などを敏感(びんかん)に察し)その場を上手く対処(たいしょ)できる様子」らしいです。
言い換えると「要領(ようりょう)が良い」とか「気づかいが出来る」、「世渡り(よわたり)上手」、「抜け目がない」って感じですかね。
でも「才」の字が入っているなら、むしろ気づかいが出来そうでは…?と思ったのですが。
何でも国語辞典によれば、
「如才」の元になった古語は「如在(じょざい)」といい、
最初は「手落ちなく神様を祭(まつ)る」…つまりミスや抜けなく、神様を祭る的な、プラスの意味だったらしいのです。
でも後に何故か、その意味が「逆転(ぎゃくてん)」して、
「礼儀(れいぎ)を知らない」とか「不作法(ぶさほう)な」という、マイナスの意味になってしまったらしいです。
(あと、元々無かった「才」の字にあまり意味は無さそうですね)
なので「如才(不作法)」が「気づかいができない」感じになり、
それが「ない」こと…「如才ない」は、「気づかいができる」意味になったようですね。
なかなか不思議(ふしぎ)な話です。
まあ元の意味はともあれ、
現在は「如才ない」がプラスで、「如才(じょさい)」がマイナスっぽいので、
如才に関しては、「この『才(如才)』は『ない』方が良い!」と言えるかもですね。
…「才能がいらないとは贅沢(ぜいたく)な…!」って思われそうな字面ですが。
※
まあ「如才ない」などは難しい言葉なので、
普段出てくることは、あまりなさそうですが。
でも、普段でも「空気が読める」とか「気づかいができる」ことは、
よく重要とされる気がします。
なので呼び方はともかく、「如才ない」行動は褒(ほ)められたりするかもですね。
なので、もしあなたが空気を読めたり、人に気づかいできた時は。
「私って『如才ない(気づかいができる)』わ~」とか、
「あ~でも気づかいの『才(才能)』は『ある』かもだわ~」なんて思ってみると、
ちょっと矛盾(むじゅん)っぽくて面白いかも?
まあそんな感じで~。
◆用語集
・如才ない(じょさいない):
関連用語:「粋(いき)」*2
・如才(じょさい):
関連用語:「無骨(ぶこつ)/礼儀知らず」*3、「生意気(なまいき)」、「なれなれしい」*4、「無闇(むやみ)」*5
*1:「才能(さいのう)」については 12/27 学習:「天才(てんさい)」タイプと「教師(きょうし)」タイプ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「粋(いき)」や「生意気(なまいき)」については 12/27 こころ+国:「なまいき」は「粋(いき)」じゃないですか? ~「生意気(なまいき)」と「粋(いき)」と「意気(いき)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:礼儀知らず的な意味がある語「無骨(ぶこつ)」については 6/22 生+国:これは「無骨(ぶこつ)」な「ハム」ですか? ~「ボンレスハム」と「無骨(ぶこつ、むこつ)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「なれなれしい」については 1/5 国+英他:「なれなれしい」ことは「必殺技(ひっさつわざ)」ですか? ~「なれなれしい/over-familiar(オーバー・ファミリア)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「無闇(むやみ)」については 10/23 国+理他:「闇(やみ)」が「無い(ない)」方が「失敗(しっぱい)」しますか? ~「闇」と「無闇(むやみ)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。