国語+学習の話―。
要点(ようてん)をおさえる、といった意味の言葉「正鵠を射(い)る」と、
その複数あるらしい読み方、
①「正鵠(せいこく)を射る」と、②「正鵠(せいこう)を射る」の話を。
前置き。
調べ物をしているときに見つけた語、
「正鵠を射る」周りが面白かったので、その話を。
※
まず「正鵠を射(い)る」とは、言い回しの一つですね。
急所(きゅうしょ)をつく、要点(ようてん)をおさえる、みたいな意味です。
ざっくり言うと、大事なことをおさえるってことですね。
(急所をつく、の方はちょっと攻撃的な意味合いでですが)
ちなみに国語辞典では「正鵠を得(え)る」などの語も乗っていたので、
いわゆる「的(まと)を射る」や「的を得(え)る」に似た感じっぽいですね。
(ちなみに漢和辞典によれば、「正鵠」は弓(ゆみ)の的のまんなかの、黒い部分らしいです)
で、「正鵠を射(い)る」にしろ「正鵠を得(え)る」にしろ、
問題は「正鵠」の部分をどう読むかですね。
これについては大きく、
①「正鵠(せいこく)」と②「正鵠(せいこう)」の二つの呼び方があるようなのですが。
この辺りが個人的にちょっと面白かったりしました。
というのも、(手元の)辞典によって意見が分かれたりしたからですね。
まず手元の国語辞典では、
「正鵠」は①「正鵠(せいこく)」の欄(らん)で解説されておりまして。
で、「正鵠(せいこう)」の欄に意味は載っておらず、「→正鵠(せいこく)」とだけ書かれていたので、
メインらしき「正鵠(せいこく)」に誘導(ゆうどう)される感じでした。
ところが手元の和英辞典では、
逆に「正鵠」は②「正鵠(せいこう)」として載っており、
その上こちらでは、「正鵠(せいこく)」読みについての説明自体がありませんでした。
どちらかが間違っているのか…?などと思いつつ、
最後に漢和辞典で調べてみると。
なんと「正鵠」の欄には、①「正鵠(せいこく)」と②「正鵠(せいこう)」、どちらも載っていました。
また「鵠」の字自体にも、「鵠(こく)」と「鵠(こう)」の読み方が両方あるようですね。
(ちなみに「鵠」だけでも、弓の的のほし…つまり狙いを付ける部分を表すようです)
なので、すでにどこか(漢字研究やネット等の議論)で、
どちらかが正しい…という結論が出ているとしても。
もし「あなたは『正鵠を射(い)る』を読めますか?」と聞かれたら、
少なくとも手元の辞典を調べた時点では、
①「『正鵠(せいこく)』を射る」
②「『正鵠(せいこう)』を射る」
のどちらでも良いのかも…という感じがした次第です。
※
まあ結局「読みは色々あったりするよね」という話なのですが。
しかし辞典によって微妙に意見(掲載する読み)が違ったりしたのが、
「『正鵠を射ていない(はっきりした要点がわかりにくい)』ぞ…!?」
なんて感じがして、妙に面白かったです。
正確さ・要点を押さえる感じを表す語の「正鵠を射る」周りなので、余計に。
そんな風に、一つの辞典より、複数の辞典を見てみると分かることもあります。
(もちろん、辞典を編集している会社様は頑張っておられると思いますが)
なので、あなたが大事なことを「辞典」や「サイト」などで調べる時は。
もちろん一つの辞典・サイトで分かることも多いのですが、
より「正鵠を射る(要点を押さえる)」ためにも、
複数の辞典やサイトなどを見てみるのも、良いかもですね。
まあそんな感じで~。