英語+国語の話ー。
「祖国(そこく)」という言葉についての話です。
前置き。
先日和英辞典をめくっていると「祖国(そこく)」という言葉を見つけたのですが。
その英訳は複数ありまして
「fatherland(ファーザー・ランド)」「mother-land(マザー・ランド)」、「mother country(マザー・カントリー)」などがありました。
「father(ファーザー)」が「父親」、「mother(マザー)」が「母親」*1のことなので、
同じ言葉に「父」と「母」二つの訳し方があることになりますね。なかなか面白いです。
「祖国(そこく)」というのは自分の生まれ故郷とか、帰りたいと思う土地のことです。
外国に行った先で、自分の故郷をそう呼ぶのがわかりやすい例ですが、
生まれた土地が必ず「祖国」になるわけでもありません。
例えば昔、家族や一族が望まぬ事情で外国に移住した…という場合、
その外国で生まれた子であっても、いつか帰るべき土地として、元いた国を「祖国」と呼ぶ場合もあります。
当人の意識の問題が強そうですね。
「祖国」に似た言葉としては「母国(ぼこく)」というものもありますが、
「父祖(ふそ)の土地」といういい方もあるみたいですね。
なのでやっぱり父も母もどっちもあるみたいです。
つまり、英語で「祖国」という言葉を使いたい時、
例えば「ファーザーランド」を使うか「マザーランド」を使うかは人次第ってことですね。
まあ父・母だからと言って男性・女性とは限らない気もしますが、あえて質問にすると
あなたの『祖国』は男性でしょうか、女性でしょうか?
…ってことも言えそうです。
英語で話すとき、そういうことも考えてみると、ちょっと面白いかもしれませんね。
まあそんな感じで~。
追記
外国で新しく生まれてきた子にとって、時に「祖国」の問題(というか当人にとっての悩み)は難しいものもあるようです。
日本だと特に「在日コリアン」「在日朝鮮人」、「在日ブラジル人」「在日フィリピン人」…などと呼ばれる方々に関係する話題であるように思います。
もちろん日本人が外国で生まれ、暮らして行った場合も同様で、この場合はいわゆる「日系二世、三世」という方に関する問題となります。
これは「アイデンティティ」*2、つまり自分が何者であるか、ということに関して、時に国や人種の問題が関係する(本人にとってもともと重要でなくとも、例えば周囲がそれを理由に差別することもあり、それによって重要な要素になってしまう)ということがあるようです。
追記2
「祖国」の問題に興味がある方は、「イスラエル」などの国ができるまでについて調べてみるとよいかもしれません。
◆用語集
・祖国(そこく):
関連用語:「愛国心(あいこくしん)」*3、「帰省(きせい)」*4
関連記事:『家族を表す外国語セブン』*5
*1:「母親(ははおや)」や「母(はは)」については 5/13 社+理他:母の日の「カーネーション」と「ナデシコ(撫子)」の話 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「アイデンティティ」については 11/29 国+こころ:自分の「顔(かお)」は一つじゃない!? ~こころといろんな「面」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「愛国心(あいこくしん)」については 8/9 社会:愛国心(あいこくしん)と「愛・他国・心」!? ~「愛・自国・心」と「愛・他国・心」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「帰省(きせい)」については 12/17 生+国:そういえば「帰省(きせい)」って何ですか? ~「帰省」と「反省(はんせい)」と「省(せい)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:記事『家族を表す外国語セブン』については 2/24 生+諸外他:「家族(かぞく)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。