歴史の話ー。
今日は8月28日、「8・28(は・にわ)」の日ということで
古墳時代などの「埴輪(はにわ)」の話を。
前置き。
「埴輪(はにわ)」というと、社会科で見る土の人形ですね。
なんか面白い顔をしてたりするアレですが。
何でああいうものを作ったのか?というと、色々説があるようなのですが。
その一つに「殉死者(じゅんししゃ)の代わり」という説があるようです。
ここでいう「殉死(じゅんし)」というのはざっくり言うと「生け贄として死ぬ」とか、「偉い人と一緒に死ぬ」ということですね。
なぜこういうことをするかというと。
古代だと、日本に限らず世界でもよくあるのですが、
偉い人が死ぬときに、他の人も一緒に死ぬシステムが結構あったりするのです。
「あの世でも寂しくないように」とか「あの世でも部下を使えるように」って感じですかね。
(古代では一般市民の命は割と軽かったり、宗教儀式で失われたりします)
それをまあ「殉死(じゅんし)」とか「殉死者(じゅんししゃ)」というわけです。
で、埴輪の話に戻りますと。
Wiipediaによれば日本書紀の一部に記述があるようで。
昔の皇后「日葉酢媛命(ひばすひめのみこと)」という方が亡くなり、その陵墓(りょうぼ)/お墓を作ることになったと、
その時「野見宿禰(のみのすくね)」*1という人が、「殉死者」を埋める代わりに土で作った人馬を立てることを提案した、ということらしいです。
これが埴輪(はにわ)の起源とされているようです。
もっとも、埴輪の変化の仕方からすると、この説が本当だとは限らないらしいですが。
でももしかすると、「埴輪」のおかげで「殉死者」が出なくて済んだこともあるかもしれません。
社会の資料集などで見ると、「埴輪(はにわ)」は結構とぼけた顔をしたりしてますが。
それによって救われた命があるかもしれず、
またひょっとすると、「我々の祖先」の誰かを救っていたかもしれないと考えると。
実は埴輪は、「今の我々」の命をも、救ってくれているのかもしれませんね。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに埴輪と似ているものとして、中国の「兵馬俑(へいばよう)」というものもあります。
人や馬をかたどったものですね。こちらも殉死者の代わりになったようです。
秦の始皇帝(しこうてい)の兵馬俑が有名ですね。
かつては色も塗られていたようです。なんかフィギュアっぽいですね。
あとエジプトでも副葬品(ふくそうひん)…つまり死者と一緒に埋められたものとして
「ウシャブティ」というものがあるそうです。(漫画『遊戯王』にも出てきたりします)
それぞれ「古代なのでそういう宗教があった」と言ってしまうこともできますが、
死者を弔う時にただ埋めるのは寂しくて、何かお供を作った、ということなのかもしれません。
現代のお葬式でも故人が好きだったものを棺に入れたり、火葬したりするので、そのあたりの気持ちは結構通じるのかもしれません。
◆用語集 (人名等敬称略)
・埴輪(はにわ):
土の人形。
英語では「clay image(クレイ・イメージ)」など。
似たものに「土偶(どぐう)」もあるが、また少し違うもの。
馬に乗った人の姿や、家の姿の埴輪などもある。
もっとも何かの形をまねたものばかりでもなく、「円筒*2形」のものもあるようだ。
Wikipediaによれば「朝顔形埴輪(あさがおがたはにわ)」というものがあり、普段の「はにわ」というよりはほぼ「壺(つぼ)」という感じの見た目である。
ちなみに埴輪は昔のゲーム『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』(PCエンジン)では敵として登場したりしていた。焼いた土でできている割に柔軟に襲い掛かってくる。
またカードゲーム『遊戯王』ではそのまま《はにわ》という名前でモンスターカードとなっている。そしてこれに外見がよく似た《岩石の精霊》というカードもあるが、はにわではないらしい。
関連用語:「古墳(こふん)」*3、「土器(どき)」*4、「博物館(はくぶつかん)」*5、「審神者(さにわ)」*6、「アサガオ(朝顔)」*7、「発掘(はっくつ)」*8、「盗掘(とうくつ)」
関連人名:「ムンク」*9
・土偶(どぐう):
古墳時代などに作られていたと思われる、土の人形。
英語では「clay figure(クレイ・フィギュア)」など。
Wikipediaによれば「人間」(特に女性)や「精霊(せいれい)」を模して作られたと見られているらしい。
有名なものに「遮光器土偶(しゃこうきどぐう)」がある。
また、「縄文の女神」と呼ばれるものもあり、国宝に指定されている。
しかし顔が彫られていないっぽいので、写す角度によってはロボットやクトゥルフ神話っぽくもある。またSF方向の想像が広がってしまいそうだ。
・遮光器土偶(しゃこうきどぐう)
縄文時代につくられた土偶の一種。
目の部分が遮光器(スノーゴーグル)のようにも見えることから、この名前がついたらしい。
またこれをもとに「古墳時代に宇宙人がいた」という説もあったりする。
Wikipediaによれば儀式などで腕や足を切断して使っていたと見られているが、切断面に「アスファルト」*10が付着しており、接着しては繰り返して使用していたかも、とする考えもあるようだ。
ちなみに昔のゲーム『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』(PCエンジン)では敵ボスの一体として登場したりしていた。
またカードゲーム『遊戯王』ではそのまま《どぐう》という名前でモンスターカードとなっている他、遮光器土偶がモデルだと思われる《先史遺産マッドゴーレム・シャコウキ》というカードもある。こちらはスタイリッシュなボディだが、でも《どぐう》の方が単純な攻撃力は高かったりする。
関連名称:「アラハバキ」*11
・殉死(じゅんし):
主人・主君などの後を追いかけて死ぬこと。
英語では難しいが、「follow to the grave(フォロー・トゥ・ザ・グレイブ)/お墓までついていく」という訳はある意味わかりやすかった。
ちなみにある職業の人が仕事中に死ぬ場合は「殉職(じゅんしょく)」と言う。特に警察官や軍人が死んだ場合、このような表現が使われたりする。
関連用語:「死(し)」*12、「犠牲(ぎせい)」*13、「犠牲者(ぎせいしゃ)」、「義人(ぎじん)」*14
・日葉酢媛命(ひばすひめのみこと):
古代の時代の、 「垂仁天皇(すいにんてんのう)」の皇后(こうごう)、つまり奥さん。
・垂仁天皇(すいにんてんのう):西暦???年
第11代天皇*15。
父は「崇神天皇(すじんてんのう)」。
子はヤマトタケルの父でもある「景行天皇(けいこうてんのう)」(第12代天皇)。
*1:「野見宿禰(のみのすくね)」については 4/5 体+社:神vs神、神vs人の格闘技!? ~相撲(すもう)の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「円筒(えんとう)」については 1/28 理+英他:「メスシリンダー」の「メス」とかの話(※主に紹介用記事であり説明は不完全) - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「古墳(こふん)」については 7/20 英+ゲーム:「エルダードラゴン」は「先輩ドラゴン」ですか? ~ハーブと竜と先輩の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「土器(どき)」については 6/18 歴史:マテリアル&ヒストリー ~素材(そざい)と文明と歴史~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「博物館(はくぶつかん)」については 8/17 英語:「博物館(はくぶつかん)」に関する英語7つ+α! ~今週の英語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:名前が似ている「審神者(さにわ)」については 3/28 歴+国:難しい古代語で勉強が進む!? ~「審神者(さにわ)」、「盟神探湯(くかたち)」、古代の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:植物の「アサガオ(朝顔)」については 7/7 理+社:「アサガオ」は「牽牛(けんぎゅう)」で「織姫(おりひめ)」ですか? ~「アサガオ(朝顔)」と「七夕(たなばた)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「発掘(はっくつ)」や「盗掘(とうくつ)」については 12/19 英+学他:「受験生(じゅけんせい)」は毎日「dig(ディグ)」してますか? ~「dig/こつこつ勉強する(等)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:代表作『叫び』の顔がはにわっぽい画家「ムンク」については 10/30 美術:本『絵画の楽しみ方ガイド』で紹介されてた絵メモ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「アスファルト」については 7/5 英語:「土嚢(どのう)」 is 「サンドバッグ」!? - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:古代日本の一部で信仰されていたとされる神「アラハバキ」については 4/11 国+理:「つば」は「つば」でも「ツバクラメ」!? ~ツバメと色んな「つば」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*12:「死(し)」については 11/19 美+歴:「死(し)」を思う態度 ~ヴァニタス、ニヒリズム、そして一休さん~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*13:「犠牲(ぎせい)」や「犠牲者(ぎせいしゃ)」については 8/26 歴史:戦争と2つの「V」の話 ~勝利(victory)と犠牲(ぎせい/victim)~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*14:犠牲を払う人のイメージもある言葉「義人(ぎじん)」については 5/13 理+歴他:「ズレたクチバシ」は「勲章(くんしょう)」ですか? ~鳥の「イスカ」と「イエス・キリスト」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*15:「天皇(てんのう)」については 3/18 社+国:天皇(てんのう)さんと五穀(ごこく)の祭り! ~祈年祭(としごいのまつり)、新嘗祭(にいなめのまつり)~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。