歴史の話ー。
「奇術(きじゅつ)」と書いてイリュージョンと読んでるのはカッコつけです。すみません。
特撮(とくさつ)*1映画*2の最初期の人物「ジョルジュ・メリエス」と、
彼に影響を与えたとされる「ジョン・ネヴィル・マスケリン」、
そして彼の孫で戦争を変えた「ジャスパー・マスケリン」についての話を。
(※本記事中、人名敬称略)
前置き。
昨日の記事で発明王「エジソン」*3に関わる人物として
「ジョルジュ・メリエス」という人物の名前を書きましたが、
そこから調べると色々面白かったのでそこら辺をメモ。
ちょっと複雑ですがご容赦を。
まず「ジョルジュ・メリエス」(1861年 - 1938年、以下「メリエス」)という人物は、フランスの映画製作者で、
Wikipediaによれば「SFX(エスエフエックス)」、つまりいわゆる「特撮(とくさつ)」映画の創始者とも言われています。
(特撮というのは今でいう『ゴジラ」とか『仮面ライダー」とか『スター・ウォーズ』とかですね)
まあ「SFX」のページを見ると、他の人物が創始者になってるっぽいので難しいですが、
とりあえずメリエスが最初期の人物というのは言えそうです。
彼は作家「ジュール・ヴェルヌ」の小説『月世界旅行』をもとに、映画『月世界旅行』という作品を作ったりしています。
ジュール・ヴェルヌもSFの父と呼ばれている人物なので、ここら辺は色々と最初期ですね。
で、そんなメリエスなのですが、Wikipediaによれば
小さいころに奇術師「ジョン・ネヴィル・マスケリン」のイリュージョン…つまり舞台でやるような大がかりなマジック、手品(てじな)とか奇術(きじゅつ)を見たそうで。
彼自身もしばらくそういう舞台マジック、「ステージ・マジック」に熱中したそうです。
自分でも色々マジックを考えたりしたらしいですね。
その後、「SFX」を使って映画を作る時も、色々仕掛けを利用したらしいので、
多分「イリュージョン」とか「ステージ・マジック」の経験が生きたのかなと思います。
で、この「ジョン・ネヴィル・マスケリン」というイギリスの奇術師なのですが。
孫に「ジャスパー・マスケリン」(以下「ジャスパー」)という人がいまして。
このジャスパーも奇術師なんですが、それだけではありません。
第2次世界大戦中に無敵といわれたドイツの将軍を破るきっかけになった人物でもあります。
ざっくり言うと
①第2次世界大戦中に、イギリスのジャスパーは自分の技術を使えると考え、軍隊の工兵隊に参加
②認められ、その当時無敵といわれたドイツの「ロンメル将軍」と戦う作戦に挑むことに。でも敵からはめっちゃ見張られている。
③そこでイリュージョンの技術を使って「カモフラージュ」し、こっそり味方の戦車とかを運ぶことに。これが成功し、有利な形で戦争を始めることができた
④その後の(あるいはそれを含む)「エル・アラメインの戦い」で、ロンメル将軍を破ることに成功。これは第2次世界大戦の転換点(てんかんてん)の一つといわれている
みたいな感じです。
ジャスパーがイリュージョン使ってなかったら、第2次世界大戦の結果が変わってた可能性もあると考えると、かなりすごいことですね。
ちなみに映画制作者の「メリエス」の話に戻りますが、
「SFX」に連なる映画としては有名作『2001年宇宙の旅』や、『スター・ウォーズ』シリーズなどがあります。
これらの誕生にメリエスのおかげがあったとすると、
そのメリエスに影響を与えた「ジョン・ネヴィル・マスケリン」のおかげもあるかもしれず。
しかも「ジョン・ネヴィル・マスケリン」の孫のジャスパーは上記のように戦争に影響を及ぼしているという。
(本当はジョン自身についてももっと書きたかったのですが、Wikipediaにページがありませんでした。残念)
なので、「ジョン・ネヴィル・マスケリン」が奇術(イリュージョン)をやっていなかったとしたら、
それだけで世界は今とはずいぶん違うものになっていたかもしれない、といえるのかもです。おじいちゃんすごい
奇術や手品は「本物(リアル)じゃない」とか「偽物」みたいなイメージもありますが。
実は案外それに、今の現実世界(リアル)も影響を受けていたのかも…?
なんてことが、言えるかもしれませんね。
まあそんな感じで~。
◆用語集
・奇術(きじゅつ):
奇妙な術。手品(てじな)のようなものを指すことも多い。
英語では「conjuring tricks(コンジャリング・トリックス)」、「magic(マジック)」など。
日本でも「手品」を「トリック」*4や「マジック」と呼ぶことは多いので、分かりやすいかもしれない。
ちなみに奇術を行う人は「奇術師(きじゅつし)」という。
関連用語:「ショー(show)」*5、「奇跡(きせき)」*6、「外見(がいけん)」*7、「奇想(きそう)」*8、「奇想天外(きそうてんがい)」
・奇術師(きじゅつし):
奇術を行う人。
英語では 「conjurer(コンジャラー)」、「juggler(ジャグラー)」、「magician(マジシャン)」など。
「コンジャラー」についてはTRPG『ソードワールド』系を遊んだことのある方は、知っているかもしれない。
ちなみにバーチャルライバーにはマジシャンの「夜見れな」という方もおられる。
関連用語:「魔法使い(まほうつかい)」*9
・イリュージョン:
現代ではよく「手品」と同じように使われたりする言葉だが、
本来の英語の「illusion(イリュージョン)」は「幻(まぼろし)」*10、「幻覚(げんかく)」、「幻影(げんえい)」、「幻視(げんし)」などといった意味。
なので意外とこれ自体が「手品」という意味ではないが、現代で「イリュージョニスト」という言葉は「手品師(てじなし)」と似たような意味で使われたりする。
関連用語:「phantom(ファントム)/幻影」*11
・「ジョルジュ・メリエス(Georges Méliès)」: 1861年 - 1938年。
フランスの映画製作者。
彼の作品で特に有名なのが映画『月世界旅行』と1904年の映画『不可能を通る旅』らしい。Wikipediaによれば映画『月世界旅行』の方は、公開前にエジソンに違法コピーされて勝手に売られたとのこと。
また「ジャンヌ・ダルク」の映画を作ったりしている。
そして歴史的な事件「ドレフュス事件」(ユダヤ人の軍人が冤罪で逮捕された事件)を映画化し、そこではドレフュス派の立場を取っていたようだ。
ちなみにゲーム『Fate/Grand Order』においては…?
・ドレフュス事件:
1894年にフランスで起きた、冤罪*12逮捕事件。
当時、軍の中にスパイがいるとして、フランス陸軍の参謀本部(さんぼうほんぶ)に勤めていたユダヤ人の大尉(たいい)「アルフレド・ドレフュス」が逮捕された。
ドレフュスは無実を訴え、そうこうしているうちに、別の人物「エステルアジ少佐」が真犯人として捕まった。
だが、軍はもみ消しを計り、ドレフュスを有罪とした。
このことに一部の人々が怒り、また一方では軍の立場に立つ人々がおり…と、フランスは大きく2分されたようだ。
(背景には当時のフランスなどに広まっていた「反ユダヤ主義」があるらしい)
ちなみにドレフュス側に立った人物として、作家の「エミール・ゾラ」がいる。
・「エミール・ゾラ」(Émile François Zola):1840年 - 1902年。
フランスの小説家。「自然主義文学(しぜんしゅぎぶんがく)」というものを定義した人であるらしい。
作品は『ジェルミナール(芽月)』、『居酒屋』、『ナナ』など。
Wikipediaによれば上記の「ドレフュス事件」では大統領に質問状を送ったり、軍部を批判したりした。その後名誉棄損で訴えられ、一時イギリスに亡命するほどであったという。
小説家として国語の資料集にも載っている人物であり、世界史の用語集では上記の「ドレフュス事件」に関する人物としても出てくる。
また、画家の「ポール・セザンヌ」とは小さいころから友達で、一時同居もしていたらしい(ある時に絶交してしまったらしいが)。
・SFX(エスエフエックス):
特殊撮影技術(とくしゅさつえいぎじゅつ)を意味する言葉。日本でいう「特撮(とくさつ)」。
英語の「special effects(スペシャル・エフェクツ)」(特殊効果)の略らしい。
・「ジョン・ネヴィル・マスケリン」:
彼自身は奇術師。
彼も多分自分のイリュージョンを見た人物(メリエス)がSFX映画を作ったり、彼の孫(ジャスパー)が戦場でイリュージョン使ったりするとは思わなかったであろう。
・「ジャスパー・マスケリン」:1902年 - 1973年。
イギリスの奇術師。由緒ある奇術師の家系だったらしい。
戦場でイリュージョンを使って貢献したというすごい人物。
本文でも紹介したロンメル将軍相手の「バートラム作戦」以外にも、ドイツの爆撃機(ばくげきき)*13を欺いて違うところを爆撃させる、というすごいことをやっている。
ちなみに彼の所属していた部隊の名前は「マジックギャング」だったという。かなりファンキーな名前である。
バートラム作戦では当時のイギリスの首相「ウィンストン・チャーチル」にも褒められたそうな。
だが作戦が終わり、部隊解散後は、ジャスパーはあまりうまくいかなかったようだ。哀しい話である。
ちなみに彼については『ニコニコ動画』の動画『【ゆっくり解説】世界の奇人・変人・偉人解説【ジャスパーマスケリン】』もわかりやすくて面白い。
ちなみに本記事は、しばらく前にこの動画を見て、今回メリエスを調べてたらたまたまマスケリン(祖父)という名前を見つけ、調べたらジャスパー・マスケリンにつながっていたという喜びと興奮の下に書かれている。
ジャスパーについては主にWikipediaを見つつ書いたが、内容的にも動画で紹介しておられたネタとだいぶ重複してしまっているかもしれない。その点は申し訳ない。
・「エルヴィン・ロンメル」:1891年 - 1944年。
ドイツの陸軍軍人。めっちゃ強かったらしい、
Wikipediaによれば、敵対する側のイギリス首相「チャーチル」に「ナポレオン以来の戦術家」と言われたそうだ。
砂漠が多いアフリカで戦っていたため、「砂漠の狐」という異名もついた。
・「ジュール・ヴェルヌ」:1828年 - 1905年。
フランスの小説家。
「ハーバート・ジョージ・ウェルズ」と共にSF(サイエンス・フィクション)の開祖であるとされ、「SFの父」とも呼ばれる。
生まれはフランスの「ナント」。
作品には『月世界旅行』『海底二万里』*14などが有名。
Wikipediaによれば彼にちなんで命名された小惑星「ヴェルヌ」というものがあるらしい。
関連用語:「サスケハナ号」*15
関連作品:『海底二万哩(かいていにまんマイル)』【映画】
・「ハーバート・ジョージ・ウェルズ」: 1866年 - 1946年。
イギリスの著作家。「H.G.ウェルズ」とも。
上記の「ジュール・ヴェルヌ」とともに「SFの父」として知られる。
作品は色々あるが、『タイム・マシン』、『透明人間』、『宇宙戦争』などがとくに有名。
・タイムマシン:
SFなど出てくる、時間を移動できる機械。
英語のスペルでは「time machine(マイム・マシン)」。「時(について)の機械」ということである。
Wikipediaによれば、これが初めて小説にでたのはスペインの作家「エンリケ・ガスパール・イ・リンバウ」の作品であり、その次にも「マーク・トウェイン」が書いているのだが、それらはあまり有名にならなかったらしい。
有名になったのは上記の「ハーバート・ジョージ・ウェルズ」:の『タイムマシン』以後とのこと。
ちなみにこの機械はマンガ・アニメ『ドラえもん』*16、にも出てくる。
「タイムスリップ」*17と似た言葉であるが、「タイムスリップ」の方は自分の思い通りにはならない「現象(げんしょう)」という感じ。自由にできるならば「タイムトラベル(時間旅行)」と呼ばれる感じ。
関連ゲーム:『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』*18
関連記事:『歴史を表す外国語セブン』*19
・夜見れな【バーチャル】:
にじさんじ所属のバーチャルライバー(バーチャルYoutuerのような存在)の方。
アイドルマジシャンのようだが、マジックの腕は…?
関連人名等:「葉加瀬冬雪(はかせ・ふゆき)」*20【同期】、「加賀美ハヤト(かがみ・ハヤト)」*21【同期】
*1:「特撮(とくさつ)」については 5/8 社+生:本から仕事を考えてみる? ~職業とファンタジー、趣味とマンガ~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「映画(えいが)」については 10/27 英語:英語でお化けを道案内するゲーム! ~「ハロウィン・ゴーストガイド」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「エジソン」については 9/10 理+社:この電気は「直流(ちょくりゅう)」?「交流(こうりゅう)」? ~「電流(でんりゅう)」の種類の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「trick(トリック)」については 12/30 国+英:「隠し芸(かくしげい)」もまた「トリック」ですか? ~「trick(トリック)」と「parlor trick(パーラー・トリック)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「ショー(show)」については 11/20 英+フラ:「ショー」はいつでも「温かい(あたたかい)」ですか? ~「show(ショー)/出し物」と「chaud(ショー)/温かい」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:「奇跡(きせき)」については 8/21 こころ+諸外:「奇跡(きせき)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:「外見(がいけん)」については 3/23 社会:「外見」を変えるのは、「着替え」より楽!? ~「なりすまし詐欺」、「プリクラ」、「バーチャルYoutuber」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「奇想(きそう)」や「奇想天外(きそうてんがい)」については 7/26 国+理:その「植物(しょくぶつ)」は「奇想天外(きそうてんがい)」ですか? ~植物の「ウェルウィッチア/キソウテンガイ(奇想天外)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「魔法使い(まほうつかい)」については 7/19 英+ゲーム:「ファンタジー世界の職業」に関する英語7つ+α! ~今週の英語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「幻(まぼろし)」については 11/26 理+国他:「幻(まぼろし)」の「太陽(たいよう)」って何ですか? ~「幻日(げんじつ)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:同じく「幻影(げんえい)」といった意味を持つ言葉「phantom(ファントム)」については 12/9 英語:色んな「phantom(ファントム)」 ~怪人、自動車、戦闘機~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*12:「冤罪(えんざい)」については 8/24 英語:「電車(でんしゃ)」に関する英語7つ+α! ~今週の英語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*13:「爆撃機(ばくげきき)」については 8/25 歴史:日本の「特攻兵器(とっこうへいき)」の話 ~「桜花(おうか)」、「回天(かいてん)」、「震洋(しんよう)」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*14:小説『海底二万里』、またそれをディズニーで映画化した『海底二万哩(かいていにまんマイル)』については 9/13 社+英他:「マイル」・「マイラー」・「マイレージ」! ~距離(きょり)の単位と、旅で溜まるポイントの話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*15:ヴェルヌの『月世界旅行』にも出てくる船「サスケハナ号」については 12/13 歴史:「ペリー」を乗せてきた船、「サスケハナ号」! ~「黒船来航(くろふねらいこう)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*16:マンガ・アニメ作品『ドラえもん』については 12/8 英語:「基本5文型(きほんごぶんけい)」って何さ? +四天王(してんのう) - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*17:「タイムスリップ」については 7/3 学習:先に後悔(こうかい)して勉強する方法!? ~「なんちゃってタイムスリップ」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*18:ゲーム『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』については 9/15 国+社:「以後(いご)」は「未来(みらい)」で「過去(かこ)」ですか? ~「以後」と色んな時間の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*19:記事『歴史を表す外国語セブン』については 11/25 社+諸外:「歴史(れきし)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*20:にじさんじ所属のバーチャルライバー「葉加瀬冬雪(はかせ・ふゆき)」さんについては 8/30 理科+家庭科:本の紹介/火山とココアパウダー ~美味しい実験~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*21:にじさんじ所属のバーチャルライバー「加賀美ハヤト(かがみ・ハヤト)」さんについては 1/12 英語:「CEO(シーイーオー)」についてメモ - のっぽさんの勉強メモ を参照。