のっぽさんの勉強メモ

主に中学の学習内容と、それに絡みそうな色んなネタを扱っています。不定期更新ですー。あ、何か探したいことがある場合は、右の「検索」や記事上のタグやページ右にある「カテゴリー」から関係ある記事が見られたりします。

3/5 国+歴:「有識者」≠「有識者」!? ~「有識者(ゆうそくしゃ)」と「有識者(ゆうしきしゃ)」の話~

 国語+歴史の話ー。
 タイトルは数学っぽくなってしまいましたが、数学ネタではありません。


 漢字は同じでも読みも意味も違う
 「有識者(ゆうそくしゃ)」と「有識者(ゆうしきしゃ)」という言葉についての話です。




 昨日はブログで平安時代*1などの「襲の色目」*2(かさねのいろめ)という、服の色の組み合わせについて書きましたが。
 このいっぱいある「色目(いろめ)」の、名前と実際の色がどう対応するか?というのは、なかなか難しいものです。

 で、Wikipediaによれば、ここら辺の内容については「有職故実(ゆうそくこじつ)」という知識の一つであったらしいです。
 …まあ専門知識(せんもんちしき)として扱われるくらいには難しかったってことですね。
 今回はこの「有職故実(ゆうそくこじつ」などの話から。


 「有職故実(ゆうそくこじつ)」とは、Wikipediaを参考にしつつざっくり言うと
 「昔から、朝廷や公家、武家の行事や格好はどういう風にしてきたのか?」みたいなことに関する知識です。
 礼儀とかファッションの歴史に関する知識、みたいな感じですね。
 基本、平安時代など、昔の時代であるほど、昔からのことを「守る」というのが大事になるので、
 昔についての知識である「有職故実」は重要だったと思われます。


 ちなみにWikipediaによれば、
 「有識(ゆうそく)」とは、過去の先例に関する知識を指し、
 「故実(こじつ)」とは、公私の行動の是非(ぜひ)に関する説得力のある根拠(こんきょ)*3・規範(きはん)とか、を指すらしいです。


 つまり「今まで礼儀とかどうやってきたのよ?」という知識に関するものが「有識(ゆうそく)」であり、
 「それに照らし合わせて、今の行動とかはどうなのよ?」という知識・判断が「故実」みたいな感じですかね。


 で、この「有職故実(ゆうそくこじつ)」に詳しい人は「有識者(ゆうそくしゃ)」と呼ばれたらしいです。
 言葉にするなら「昔のことをよく知っていて、それをもとに今のことを判断できる人」みたいな感じでしょうか?



 ところで「有識者」というと、現代では「有識者(ゆうしきしゃ)」という読みもありますが。
 Wikipediaによればこちらは「知識人(ちしきじん)」というような意味らしいですね。
 つまり「知識のある人」であり、ざっくり言うと「物知り」です。

 時々テレビやニュースで「有識者会議(ゆうしきしゃかいぎ)」という言葉が出たりしますが、
 これは要は「物知りな人を集めて、ある問題について相談します」ってことですね。


 「有識者(ゆうそくしゃ)」と「有識者(ゆうしきしゃ)」はちょっと意味が違うので、
 色々省いてしまうと、有識者」≠「有識者みたいな変な式が作れるかもしれません。
 もちろん昔のことも今のことも知っている方は、「有識者(ゆうそくしゃ)で有識者(ゆうしきしゃ)」ってこともあるでしょうが。



 今は新しいものがどんどん出る時代なので、
 昔のことを知る「有識者(ゆうそくしゃ)」の重要性は下がっているかもしれません。
 ですが、もし誰かに「この新しいものは昔のものとどう違うの?」と聞かれたとき、
 昔のものを全く知らない人では、うまく答えられなさそうですね。


 なので新しい知識だけでなく古いことも知っておくと、より活躍の幅は広がりそうですね。
 それはある意味では、「有識者(ゆうそくしゃ)で有識者(ゆうしきしゃ)」になる…ということなのかもしれません。




 まあそんな感じで~。



 
追記
 ちなみに上記の「有職(ゆうそく)」についてですが、
 料理の一種には「有職料理(ゆうそくりょうり)」といったものもあるようです。
 また漢字の読みの一つに「有職読み(ゆうそくよみ)」というものもあるようで。
 結構色んな所に使われている言葉ですね。



◆用語集(人名等敬称略)
有識者(ゆうそくしゃ):


有識者(ゆうしきしゃ):
 関連用語:「生き字引(いきじびき)」*4、「コンサルタント*5


有職故実(ゆうそくこじつ):
 Wikipediaによれば「古来の先例に基づいた、朝廷や公家、武家の行事や法令・制度・風俗・習慣・官職・儀式・装束などのこと。また、それらを研究すること」。色々な人々がこれを研究しているようだ。
 例えば江戸時代*6以前では、順徳天皇(じゅんとくてんのう)が『禁秘抄』、後醍醐天皇(ごだいごてんのう)が『建武年中行事』、一条兼良(いちじょう・かねよし)が『公事根源』、「北畠親房(きたばたけ・ちかふさ)」が『職原抄』を記している。これらは歴史の教科書や、大学受験の時に出てきたりもするので、覚えておくといいかも。
 江戸時代では「田安宗武(たやす・むねたけ)」、「松平定信(まつだいら・さだのぶ)」、「塙保己一はなわ・ほきいち)」など、これまた歴史や国語の資料集で名前を見るような人物などが関わっていたりするようだ。


有職料理(ゆうそくりょうり):
 Wikipediaによれば中国「唐(とう)」の「台盤料理」が日本に伝わって、平安時代の貴族により花開いた料理。
 ただ現代「有職料理」と呼ばれているものは、「本膳料理(ほんぜんりょうり)」の影響も受けており、平安時代の様式そのままではないらしい。
 Wikipediaによると奈良時代*7くらいから接待料理はあったらしい。またこの過程で神さまに捧げる「神饌(しんせん)」が発達したり、盛大なおもてなしである「大饗料理(だいきょうりょうり)」といったものが現れたりしたようだ。
 ただ鎌倉時代になって政権が武士に移り、あんまりお金を使えなくなって「本膳料理」の方が整ってくる。それをある程度受け入れつつ貴族は「有職料理」の形式を整えていった…みたいな感じであった。なので有職料理としての「発祥(はっしょう)」と「整ってきた時」、また「名前が付けられた時」には、それぞれ時間の開きがあるかもしれない。
 …ところでこれに関するWikipediaの関連ページには「四条流庖丁道(しじょうりゅうほうちょうどう)」や、「大草流庖丁道(おおくさりゅうほうちょうどう)」など、なんかとてもカッコいい用語が見つかったりした。


・神饌(しんせん):
 Wikipediaによれば、日本神社(じんじゃ)や神棚(かみだな)に供える供物(くもつ)のこと。
 「御饌(みけ)」あるいは「御贄(みにえ)」とも呼ばれるらしい。
 神様に捧げる者の名で調理時に気を付けることなどの多かったようだ。例えば調理には「忌火(いみび)」という清浄な火を使うこと、また「注連縄(しめなわ)」で外界(がいかい)と区切ったりすることなど。
 しかし捧げる料理の中には「唐菓子(とうがし)」という、油で揚げるものもあったようだ。
 関連用語:「幣帛(へいはく)」*8、「御幣(ごへい)/幣(ぬさ)」、「紙垂(しで)」
 関連作品:『一華後宮料理帖(いつかこうきゅうりょうりちょう)』*9


・忌火(いみび)」
 神道において、清浄(せいじょう)とされる火のこと。
 「忌」には「忌まわしい」とか「にくい」とか、マイナスイメージがある場合もあるが、この場合は「清浄な」という意味の「忌」。どうやら意味がいくつかあるようだ。
 関連用語:「死火(しか)」*10


・唐菓子(とうがし)/唐菓物(からくだもの):
 Wikipediaによれば、中国の唐(とう)から伝えられたとされる菓子。
 米粉や小麦粉などの粉類に「甘葛(あまずら)」の汁など甘味料を加えてこね、果物の形を造った後、最後に油で揚げた製菓をさす、とのこと。いわゆるフルーツとしての「果物」が入っているというわけではない。
 ちなみにこの中の種類の一つには、現在でもよく知られる「煎餅(せんべい)」があったりする。


・大饗(だいきょう):
 Wikipediaによれば、平安時代に内裏(だいり)*11、または大臣の邸宅で行った大規模な饗宴(きょうえん)。
 ざっくり言うとパーティ。またはそれの大きく派手なものと言ったところか。
 Wikipediaによれば野菜を「下品な食べ物」とみなして摂取しなかったらしい。そのため栄養バランスは悪かったのだとか。
 少し話がずれるが、ギリシャやローマでも貴族にはパーティの習慣があったらしい。結構派手にやったり珍しいものを食べていたり、またそれで体調悪くしたりしていたようだ。…詳細は分からないが、なんか貴族や金持ちって似るのかなーみたいな感じもする。


・饗宴(きょうえん):
 もてなしの酒盛り。お祝いのパーティ。
 ちなみに古代ギリシャの哲学者「プラトン」の著作に『饗宴』というものもある。


四条流庖丁道(しじょうりゅうほうちょうどう):
 Wikipediaによれば、平安時代から始まると伝えられる日本料理の流派*12
 ちなみに全然関係ないが戦車アニメ『ガールズ&パンツァー*13には「西住流戦車道(にしずみりゅうせんしゃどう)」と呼ばれるようなものも存在する。もっとも、語呂で思い出しただけなので本当に関係はない。


・大草流庖丁道(おおくさりゅうほうちょうどう):
 食儀礼(日本料理)及び礼式の流派の一つ。
 こちらは室町時代に、室町幕府奉公衆の「大草三郎左衛門公次(きんつぐ)」により創始されたらしい。


有職読み(ゆうそくよみ):
 Wikipediaによれば、日本において古来からの慣例に従って、漢字で書かれた語を特別な読み方で読むこと。
 「故実読み(こじつよみ)」ともいうらしい。
 例えば「笏(こつ)」を「しゃく」と読んだりするものこれらしい。
 また人物の名前を音読みするのもこれに入るらしく、Wikipediaには

 ・「小野道風(おののみちかぜ)」を「おののとうふう」と読む
 ・「源頼光(みなもとのよりみつ)」を「みなもとのらいこう」と読む
 ・「安倍晴明(あべのはるあき・はるあきら)」を「あべのせいめい」と読む

 などの例が載っていた。
 「安倍晴明」は「あべのせいめい」の読みの方が有名だったりするので、現在有名な多くのもの・人名も実は「有職読み」されている可能性もある。




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*1:平安時代(へいあんじだい)」については 11/10 歴+英:平安時代の「デーモンズゲート」!? ~「鬼門(きもん)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。

*2:「襲の色目」(かさねのいろめ)や「色目(いろめ)」については 3/4 国+歴他:平安コーディネートは命がけ!? ~「襲の色目」(かさねのいろめ)の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。

*3:「根拠(こんきょ)」については 2/4 生+英:「推理ドラマ」では「エビデンス」が大事? ~「evidence(エビデンス)」と「証拠(しょうこ)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。

*4:色んな事を知っている人「生き字引(いきじびき)」については 11/19 国+英他:「物知り(ものしり)」な人は「歩く辞書(じしょ)」ですか? ~「生き字引(いきじびき)」と「walking dictionary(ウォーキング・ディクショナリー)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。

*5:コンサルタント」については 11/28 社+英:「コンサルタント」は「コンサルタント」じゃない!? ~「consultant(コンサルタント)」と「consult(コンサルト)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。

*6:「江戸時代(えどじだい)」については 12/7 英語:「I am」でたらめ翻訳(ほんやく)のお遊び - のっぽさんの勉強メモを参照。

*7:奈良時代(ならじだい)」については 8/7 歴+ゲーム:ゲーム『茜さすセカイでキミと詠う』の話 ~聖徳太子に鑑真さん~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。

*8:神饌以外の捧げ物を表したりする語「幣帛(へいはく)」や、「御幣(ごへい)/幣(ぬさ)」、「紙垂(しで)」については 11/1 国+社:「幣」と「弊」では大違い!? ~「幣(へい)」と「弊(へい)」の違いの話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。

*9:『一華後宮料理帖(いつかこうきゅうりょうりちょう)』については 4/18 歴史:奥さんが多くて争いが起きる!? ~「後宮(こうきゅう)」や「四夫人(しふじん)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。

*10:死を火に例えた仏教用語「死火(しか)」については 7/16 国語:「しっかり」を漢字で書けますか? ~「しっかり」、「しかし」、「しかも」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。

*11:「内裏(だいり)」については 3/2 国+歴:ひな祭り/「お内裏様」も「お雛様」!? ~テレビ番組『チコちゃんに叱られる!』の内容から~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。

*12:「流派(りゅうは))」については 7/11 生+歴:「刃物(はもの)」を研ぐ(とぐ)にも「流派(りゅうは)」あり! ~研ぎ師(とぎし)と「藤阿彌神古流(ふじあみしんこりゅう)」(テレビで見た紹介ネタ)~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。

*13:アニメ『ガールズ&パンツァー』や「戦車(せんしゃ)」については 5/26 歴史:ちょこっと「戦車(せんしゃ)」メモ - のっぽさんの勉強メモ を参照。