国語+社会の話ー。
何となく「古い」とか「新しい」ということについて、
技術やオリジナリティ、といった言葉を使って考える話です。
※ふわっとしてる上にかなり雑文です。すみません。
前置き。
先日、テレビ番組で「昭和的(しょうわてき)」と言う言葉を聞きまして。
まあ要するに「古い」ということですね。
来年には「元号(げんごう)」も変わるようなので、
もうすぐ昭和だけでなく「平成(へいせい)」も「古い」ことの象徴になってしまうのか…という気もしますが、それはともかく。
で、その「昭和的」という言葉から色々考えたんですが、
よく何かが「古い」とか「新しい」といわれる時。
その新しい方が「全く新しい、見たこともないオリジナルのもの」ということは、意外とないですね。
例えば新しい技術の「自動車(じどうしゃ)」が作られても、言ってみれば、それは「自動車」の枠組みを超えていません。
あくまで古い「自動車」の上にあるのであって、古い「自動車」というものを否定しているわけでもないのかなーと。
同様に新しい使いやすいスマホは、スマホという枠から出ていませんし、面白い画期的なアプリも、「アプリケーション」という枠を超えていません。
(それらが「発明(はつめい)」されたときに比べたら、衝撃は少ないのかもしれません。これは価値の大小とは別ですが)
もちろん、だからといって「新しいものには意味がない!」とか「古いものをありがたがれ!」という訳ではないです。ただなんとなく面白いな、と。
なので、今の世の中では新しいものを求めている一方で、
古いものを「否定(ひてい)」する・しきることは、意外としてないし、できていないのかなと。
何かを「時代遅れ」といいつつも、それに足元を支えてもらったり、頼っている面があると。
まあ人が発明したものをまったく使わないようにすると、
自分ひとりが「原始時代」から物を作るようなもので、大したものはできないかもしれません。
例えば野山で木を集め、火を起こし、他人の知識も頼らず、と。
それはある意味オリジナリティに溢れた生活かもしれませんが、なかなか大きなものは作りにくそうです。
貧弱な筆者なら、家を作れるかどうかですね。
その意味で、まったく新しいものに思える「発明(はつめい)」も、大体が今までの技術の積み重ねの上にあるのかな、と。
それ一つがいきなり生まれてきたわけでもないと。
とすれば、何かに「オリジナリティ」を出す、ということは、
どこか矛盾するようですが、ある程度「何かの真似をする」ことをも求められているのかな、と。
例えば「オリジナリティのある自動車」を作ることは、上記の「原始時代」みたいなオリジナル生活からは困難です。
電気を起こすだけで精一杯ですね。
その意味では、ある程度何かを真似し、人の発明した技術を使って、ようやく「自動車」が作れるようになる。
そしてそこから工夫して、「オリジナリティのある自動車」が作れるようになるかもしれない、と。
まあ以前ブログで書いた「形無し」*1や「形破り」の話からすると、ある意味納得なのですが、
オリジナルのためにコピーが必要、という字面は、やはりなんとなく面白いですね。
なのであるものが「古い」「時代遅れ」と呼ばれる時は
それが「重要ではない」とか「全く意味を持たない」とか「通用しない」というよりも、
単に「使い古された」とか、「あるのが当たり前の」とか、「刺激が少ない」という話であるのかもしれません。
便利だし生活を支えてもらってるけど、それはもう当たり前だから、「時代遅れ」みたいな。
まあそれはそれでいい気もしますが、何か災害が起きたときなどに、新しいものは使えなくなることもあります。
例えば全世界で電気が使えなくなったら、コンピュータが使えないですね。
言ってみれば、「新しい技術」というのは今までの積み重ねであることが多いので、クリアしなきゃいけない「条件」が多いと。
例えば最新の便利なプログラムは、電気だけでなく、多くのメモリと優秀なコンピュータを必要とするかもしれません。
者が無い状態では、それはちょっと動かしにくいわけですね。
その一方で「古い」シンプルなものは使いやすかったりします。
例えばメモ帳や鉛筆、自転車とかは電気なくても使えます。その意味ではコンピュータや自動車よりは、使うための「条件」はゆるそうです。
まあ重ねて言いますが、だからといって古いものの方が良い、というわけでもありません。
新しいものは便利ですし、一長一短かと。
ただ新しいものが好きな方は、一度それを支えている「条件」を確認してみてもいいかもです。
いつか何かで環境が激変したとき、あなたの好きなものが全部使えなくなってしまったら、悲しいですからね。
できればそれに「できるだけ近い」ものや「ちょっとだけ古い」ものをチェックしておくと、
同じトラブルに逢っても、楽しい生活が送りやすいかも?
まあそんな感じで~。
関連用語:「オールドファッション」*2
追記
ちなみに「古い時代には作れたけど今は作れない」というものもあったりするそうです。
一部の「名刀(めいとう)」と呼ばれる日本刀の作り方もそうらしいですね。
それらは「ロストテクノロジー(失われた技術)」と呼ばれたりもします。
この時、大事な技術が「ロスト(喪失)」してしまうと、結構大変です。
例えば「コンピュータで色々プログラム作る職業」が最先端だからといって、みんながその職業になってしまうと、
そもそもの「コンピュータを作る人」がいなくなってしまい、技術が失われてしまうかもしれません。
すると「コンピュータで色々プログラム作る職業」の人も、最後には失業してしまいますね。
「ロストテクノロジー」とはまた違いますが、日本の「食料自給率(しょくぎょうじきゅうりつ)」に関しては似たような問題が起こっていたりします。
農家など、食べ物に関する職業が少ない、ということですね。
海外から食べ物を輸入*3できているうちはいいのですが、戦争や災害、海面上昇などで輸入が困難になると、食べ物がなくなってしまうわけで。
「誰かが作ってくれるだろう」と思っていると、誰も食べ物を作る人がいなかった…なんてことになってしまうかもしれません。
追記2
今の新しいものも、古い技術を下敷きにしている、という意味では、
ある意味でそれらは「温故知新(おんこちしん)」的にならざるをえない、ということが言えるかもしれません。
まあそれは昔の記録を完璧に引き継ぐ、ということではないのですが…。
まさにプログラムの「アップデート」という言葉がふさわしいかもしれませんね。
昔の技術を記録しておく・伝える、というのはゲームで言うところの「セーブ」に似ているかもしれません。
もし最新のゲームデータで行き詰った(最新技術が使えなくなった)時に、古いデータ(古い技術)を残していないと、最初からやり直し(文明や生活の崩壊)、ということがありえるわけです。
◆用語集
・オリジナリティ:
(同じ種類の似たような)他のものと違うこと、独自性(どくじせい)。
英語のスペルでは「originality(オリジナリティ)」。
どちらかというと誉め言葉として使われる。
当然だが、あまりにセンスが独特すぎると「オリジナリティがあるね」というより「ちょっとよくわからない」とか言われる可能性もある。
自分は頑張ったつもりでも「もっと○○のこと勉強した方がいいよ」とか「自己満足じゃない?」とかいわれる可能性もある。オリジナリティがあれば何でも許されるわけではないのでご注意を。
これに関しては養老孟司(ようろう・たけし)氏の『バカの壁』という本に書いてある話が面白い。
関連用語:「固有(こゆう)」*4、「天才(てんさい)」*5、「才能(さいのう)」、「狂気(きょうき)」*6、「ベタ」*7、「お約束」*8、「アイデンティティ」*9、「指紋(しもん)」*10、「声紋(せいもん)」、「奇想(きそう)」*11、「奇想天外(きそうてんがい)」
・食料自給率(しょくりょうじきゅうりつ):
その国の中で、その国の食べ物を用意できている率(りつ)、割合(わりあい)。
英語では「food self-sufficiency rate(フード・セルフ・サフィシエンシー・レート)」など。
「self(セルフ)」というのが「自分自身」ということなので、まさに「自分の所で食べ物を用意できている割合」みたいな感じである。
関連用語:「フードマイレージ」*12、「出生率(しゅっしょうりつ)」*13、「死亡率(しぼうりつ)」、「比(ひ)」*14、「パーセント」*15
・ロストテクノロジー:
現代では失われた技術。特に高い技術を指す。
英語のスペルでは「lost technology(ロスト・テクノロジー)」。
SFなどではしばしばこれが見つかり「昔の方が技術力が高かった、だと…!?」とか「人間の前に、超古代文明*16が存在した!」みたいな話になったりもする。
それらの技術が使われた一品は時に「オーパーツ(時代にそぐわないすごいもの)」*17とか「アーティファクト(すごい人工物)」*18と呼ばれたりもする。
関連用語:「遺産(いさん)」*19、「骨董品(こっとうひん)」*20、「アンティーク」、「掘り出し物(ほりだしもの)」*21、「発掘(はっくつ)」*22、「盗掘(とうくつ)」、「掘る(ほる)」
関連記事:『古いを表す外国語セブン』
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