国語+英語+こころの話ー。
「義理人情(ぎりにんじょう)」や「義理チョコ」などで聞く、
「義理(ぎり)」と言う言葉についての話です。
英語で調べたり、「義務(ぎむ)」*1と比べたりしつつ。
前置き。
まず「義理(ぎり)」のざっくりしたイメージは、
「人づきあいの上での、正しいこと」みたいな感じですね。
約束を守る感じの、ちょっと堅そうなイメージです。
関連語には例えば「義理堅い(ぎりがたい)」とか「義理人情(ぎりにんじょう)」という言葉があり、
またバレンタインデーの「義理チョコ」、血のつながってない「義理の家族(かぞく)」などで聞いたりしますが。
そんな「義理」を和英辞書で調べてみると、
英語では「duty(デューティ)」や「obligation(オブリゲーション)」となっておりました。
それぞれの意味としては、
「duty(デューティ)」は「義務(ぎむ)」、「職務(しょくむ)」、「税金(ぜいきん)」であり、
「obligation(オブリゲーション)」は「義務(ぎむ)」、「責務(せきむ)」、「拘束(こうそく)」という感じです。
…なんか言葉が固く、どちらもイヤイヤ(嫌々)やっている感がすごいですね。
どちらにも「義務」という言葉が入っているので、英語では「義理=義務」と理解されているのかもしれません。
まあそもそも「義理」という言葉については、
国語辞典でも「自身の利害(りがい)に関わりなく、人として行う道」とか、
「交際上、いやでもしなくてはならないこと」と書いてありました。
なので「イヤイヤ/あんまり乗り気でない」ということ…つまり「義務」的なことは、もともと「義理」に含まれているのかもしれません。
(乗り気だったら義理と言わず、「喜んで」とか「積極的に」と言えばいいわけですしね)
今まで何となく「義理と義務は違うもの」と思っていましたが。
思った以上に「義理」と言ったら「義務」的な所があるのかもしれません。
※
…と言っておいてなんですが、
一方で、言葉としての「義理」と「義務」の響きは少し違う気もします。
例えば先述した「義理人情(ぎりにんじょう)」という言葉がありますが、
それを「義務人情(ぎむにんじょう)」と言い換えると…ちょっとイメージが違う気もしますね。
他にも「義理チョコ」を「義務チョコ(ぎむチョコ)」に、
「義理の家族」を「義務の家族(ぎむのかぞく)」と言い換えられるかもですが…。
…なんか途端に世知辛さが増しますね。イヤイヤやっている感がすごい。
「義理」を全部「義務」に呼び変えたらいい、というわけでもなさそうです。
同じ「しなければならないこと」でも、呼び方によって気分は変わるのかも?
例え「義務」と内容がかぶっているとしても、
やはり「義理」は「義理」として呼ぶのが、いいのかもしれませんね。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに話はズレますが、
国語辞典によれば「ぎりぎり」という言葉は「限(きり)」という言葉を二つ重ねたものらしいです。
なので全部漢字で書くと「限限」とか「限々」って感じになるかもしれません。
…「ぎりぎりセーフ」を「限々セーフ」と書くのも、なかなかシュールな気もしますが。
◆用語集
・義理(ぎり):
付き合い上、しなければならないことなど。
英語では「duty(デューティ)」や「obligation(オブリゲーション)」など。
また「義理の親子」などの場合は法的な関係*2などを意味する。これらは「義理の○○」としてマンガなどに出てくることも多い。
関連用語:「倫理(りんり)」*3、「コネ」*4、「絆(きずな)」*5、「外交(がいこう)」*6、「契約(けいやく)」*7、「距離(きょり)」*8、「腐れ縁(くされえん)」*9、「お人好し(おひとよし)」*10、「兄弟(きょうだい)」*11、「兄(あに)」、「弟(おとうと)」
関連記事:『絆を表す外国語セブン』*12、『兄弟を表す外国語セブン』、『家族を表す外国語セブン』*13
・「義理の○○」:
法的な関係などで、血のつながっていない、あるいは両親の片方が違う相手との関係など。
マンガやゲーム、ドラマで扱われることも多く、その場合は、
①シリアスな場合:「本当の」家族・親子との違いがテーマ。「血もつながってないくせに!」とか言ってケンカになる。
②恋愛・コメディの場合:「ある日突然イケメンが義理の兄弟になって…」などの場合。主人公にとっては嬉しかったりする。
③義兄弟などの場合:仲が良いので、義理の兄弟とかになろうぜ、と決めた(中国の『三国志』のような場合)
などがある。
②の恋愛漫画などにおける「義理」の場合は、「血がつながってないし、パートナーとしてOKやろ」とみなされることも多い。
が、相手が頑張って「本物の家族・兄弟っぽくなろう…」としている場合、ニーズがかみ合ってなくてケンカになるかもしれないので注意。
・人情(にんじょう):
人としての感情、心、優しさなど。
しかしどこからどこまでが人情に入るのかは、人によって考えが違うかもしれない。
・「義務人情(ぎむにんじょう)」:
「義理人情」を言い換えたもの。
作られた優しさみたいな感じがシュールである。
・「義務チョコ(ぎむチョコ)」:
「義理チョコ」を言い換えたもの。
渡す方の顔がかなりどんよりしていそうである。
・「義務の家族(ぎむのかぞく)」:
「義理の家族」を言い換えたもの。
やらされている感がすごい。国から指定されていそうである。
でもなんか逆に絆のようなものも生まれそうな気もする。
ちなみに昔のライトノベル『狂乱家族日記(きょうらんかぞくにっき)』(2005)はわりとそんな感じのスタートであった。
・「義務の○○」:
上記「義理の○○」をさらに言い換えたもの。
義務の兄、義務の姉、義務の母など。「義務の母」のワードの辛さがヤバい
でも(男性向け)マンガやライトノベルでは無理やりこちらを「お兄ちゃん」や「お父さん」と呼んできたりするヒロインもいたりする。「おじいちゃん」と呼んでくるケースはあんまりない気がする。要追加調査
断ると何かを破壊しようとするヤンデレ*14だったりもするので、そういう場合は頑張って「義務の兄」などを演じなければならないのかもしれない。
…しかしそんな場合でも大抵は相手は美少女で、なんだかんだ役得だったりするが。
まあだからといって「相手を好みではなくイケメンでもない性格も悪い年上のおっちゃんおばちゃんに変更してくれ!」と言いたいわけではないので、美少女や美少年でいいのかもしれない。
*1:しなければならないことである「義務(ぎむ)」、またできることである「権利(けんり)」については 7/7 社+英:色んな「ライト」の話! ~「権利(けんり)」と「光(ひかり)」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「関係(かんけい)」については 12/26 英語:単語/関係(かんけい)を意識してみる ~石と山とか、朝と夜とか~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「倫理(りんり)」については 9/21 ゲーム+理+社:「寿命(じゅみょう)」と「倫理(りんり)」の話 ~犠牲の魔術~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「コネ」については 6/2 社+英他:その「コネ」は未来に「つながり」ますか? ~「connection」と「就職(しゅうしょく)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「絆(きずな)」については 7/15 国+英他:この「絆(きずな)」は実は「呪縛(じゅばく)」ですか!? ~「絆(きずな)」、「束縛(そくばく)」、あと「ボンド」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:「外交(がいこう)」については 9/25 理科:「笹(ささ)」と「パンダ」と「パンダケーキ」! - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:「契約(けいやく)」については 11/13 英語:「結婚(けっこん)」に関する英単語 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「距離(きょり)」については 12/18 数学:速度と思ったらソシャゲだった!? - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「腐れ縁(くされえん)」については 9/30 国+こころ:「腐れ縁(くされえん)」は「鎖(くさり)」の「縁(えん)」ですか? ~「腐れ縁」と「鎖縁(くさりえん)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「お人好し(おひとよし)」については 12/31 こころ+英他:「お人好し(おひとよし)」は「ソフト」な「ハート」ですか? ~「お人好し/softhearted person(ソフトハーテッド・パーソン)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:「兄弟(きょうだい)」や「兄(あに)」、「弟(おとうと)」、記事『兄弟を表す外国語セブン』については 2/10 生+諸外他:「兄弟(きょうだい)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*12:記事『絆を表す外国語セブン』については 4/23 こころ+諸外:「絆(きずな)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*13:記事『家族を表す外国語セブン』については 2/24 生+諸外他:「家族(かぞく)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*14:「ヤンデレ」については 10/23 社+こころ:これは「日本(にほん)」ですか?それとも? ~「こんなん○○じゃない」って言いたくなる時のアレ~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。