5/6 国＋社：「『消えた（きえた）』もの」を「絶つ（たつ）」ことはできますか？　～「消息（しょうそく）」や「消息を絶つ」等の話～

　国語＋社会の話―。

　ある人の様子や、あるいはその人との連絡などを表す語「消息（しょうそく）」や、
　「消息を絶つ（たつ）」等の言い回し、
　そして何かを切る*1・終わらせる意味もある語、「絶つ（たつ）」などの話を。

　前置き。

　まず「消息（しょうそく）」は、ある人の様子（ようす）など、という印象の語ですね。
　例えばある人の事情（じじょう）や、それを連絡（れんらく）によって知っていること、という感じです。
　なので「消息を知る」は、その人が行った先や、生活を知っている感じで、
　逆に「消息を絶つ（たつ）」は、ある時からその人の情報が入ってこなくなる…的なイメージですね。

　で、上で書いた「絶つ（たつ）」という語は、
　何かを「切る（きる）」とか、「分散（ぶんだん）する」、
　あるいはそれで何かを「終わらせる」といった意味ですが。
　（例えば「連絡を絶つ」とか、「お酒を絶つ」など）

　そこで、筆者は「消息」や「消息を絶つ」について、
　「『消息』を『消えた（きえた）』『息（いき）』*2と書くのは何でだ…？」とか、
　「すでに『消えた』ものを『絶つ（終わらせる）』って矛盾（むじゅん）っぽいな…？」などと思いまして。
　気になったので調べてみました。

　まず漢和辞典によれば、「消息（しょうそく）」は色々意味があるようで。
　上に書いたような「連絡」、「ようす（様子）」、「事情（じじょう）」などの他に、
　「消えることと生（しょう）じること」、といった意味がありました。

　この「消えることと生（しょう）じること」の意味の場合、
　「消息」は「白と黒」や「明と暗」のような、反対語の組み合わせということになりますね。
　「消えた息」や「息が消えること」じゃなくて、「『消（消えること）』と『息（生じること）』」って感じですかね。

　またそれら以外にも、上記のように「連絡」などの意味があるので、
　「消息」（例えばその人との連絡）を「絶つ」ことは、特に矛盾しない、ということになりそうですが。

　…でも筆者は「消○」という語について、
　「消火（しょうか）*3／火を消すこと」のように「それ自体が消える」イメージが強いので。
　つい「（『消息を絶つ』は）すでに『消えた』ものを『絶っている』…！？」と見えてしまいますね。
　…マンガとかライトノベルの異能力ものでは、似た感じで「『死』を『殺す』」とか「『終わり』を『終わらせる』」、「『無（む）』を斬る」とかありそうですね。

※

　ところで、ある人が「消息を絶っている」…連絡・情報が無い状況でも、
　その人は全く問題なく元気、ということもありそうですが。
　でもその状況だと、周りの人は心配するかもですね。

　例えば、実家（じっか）を出て一人暮らしなどをしていると、
　こまめな連絡は面倒になったり、
　連絡・会話の中身に悩んだりするかもですが。

　でもこだわり過ぎて「消息を絶つ（連絡が無い）」感じになるよりは、
　それこそ「『息（生きてること）』だけ伝えるか～」って感じで、
　軽めに自分の「消息（様子）」を伝えてみるのも、いいかも？

　まあそんな感じで～。

追記
　ちなみに漢和辞典によれば「消息」には、「時が移り変わること」という意味もあるようです。
　また「消息通（しょうそくつう）」や「消息筋（しょうそくすじ）」という語もあり、これらは「ある人物の行動などについて、よく知っていること・人」を表すようです。
　（「事情通（じじょうつう）」などに近い意味っぽいですね）
　かなり色々な意味があるものです。

◆用語集（※人名等、敬称略）
・消息（しょうそく）：
　関連用語：「手紙（てがみ）」*4、「挨拶（あいさつ）」*5、「噂（うわさ）」*6、「報連相（ほうれんそう）」*7、「ＢＦＦ（ビーエフエフ）」*8、「ズッ友」、「contact（コンタクト）／連絡」*9、「連絡員（れんらくいん）」
　似てる用語：「消極（しょうきょく）」*10
　関連記事：『手紙を表す外国語セブン』*11