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体面(たいめん)・評判(ひょうばん)に関わる…といった意味の語、「沽券(こけん)に関(かか)わる」と。
代金(だいきん)などが書いてあって、今の「レシート」っぽくもあったらしい、
土地売買(とちばいばい)の書面(しょめん)、「沽券(こけん)」というものの話を。
前置き。
まず「沽券(こけん)」とは、体面(たいめん)や品位(ひんい)等のことですね。
ざっくり言うと、人前(ひとまえ)で守りたい自分の「評判(ひょうばん)」とか、
「メンツ」や「プライド」…といった語になるかと思います。
他人(たにん)が自分をどう見るか、というのに関(かか)わる語ですね。
例えばマンガとかでは、怖(こわ)そうな敵(てき)キャラなどが、
「このまま引き下がっちゃ、俺の『沽券(こけん)』に関(かか)わる…」的なことを言ったりもしますが。
これは、「このまま引き下がったら、自分の評判が悪(わる)くなる」→「だから引き下がることはできない」ということですね。
で、「沽券」はだいたい上記の「沽券に関わる」で聞く印象もあるので、
個人的には「沽券」には、「ケンカ(喧嘩)でよく使われそう」なイメージもあったのですが。
しかし調べてみると、「沽券」の由来はまた違う場面…、
「買い物」などに関わるものだったりするようです。
というのも、「沽券」はある意味「レシート」的なものでもあったらしいからですね。
まずWikipediaによれば、「沽券(こけん)」とは、
「家屋敷(いえやしき)の売渡し(うりわたし)を証(しょう)する書面(しょめん)」であり、
その時の「売買代金(ばいばいだいきん)」も記されていた…とのことです。
つまり、「沽券」は家や土地を買うときの書類(しょるい)であり、
またその時の代金も載っていた、ということですね。
で、この代金が書かれた「沽券」が、
「土地の価値(かち)」を証明(しょうめい)するものとされたようで。
(つまり沽券に「この土地を200万円で買った」と書いてあったら、その土地のだいたいの価値が分かる訳ですね)
こういったことから、上記の「沽券に関わる」という言葉が生まれたようです。
しかし、「沽券」に土地売買の代金が書かれていた…ということは。
現代で買い物をしたときにもらえる、
「レシート」(買い物の内容と値段が書いてある紙)っぽい、とも言えそうですね。
(もちろん「沽券」には他の役割もあったりするのですが)
そう考えると、マンガのケンカ場面等での、
「これは、俺の『沽券(こけん)』に関わる話だからよ…」的なセリフが、
「これは、俺の『レシート(沽券)』に関わる話だからよ…」って感じに聞こえて、ちょっと面白いですね。
レシートを持ってきて返品してもらう話っぽい
※
ちなみに、ちょっと話は変わりますが。
マンガ等でやたら「俺の沽券に関わる~」とか、
「ナメやがって…!」など言い過ぎるキャラは、
逆に「弱(よわ)そう」とか、それこそ「安(やす)っぽい」と言われてしまう印象もあります。
そう考えると、その人の取ってきた行動は、
後から「レシート(沽券)」のように見返(みかえ)されてしまう…ということもありそうですね。
そして場合によっては、上記のように「安っぽい」などと思われて、
それこそ「沽券(評判)に関わる」事態になってしまうかも?
「沽券(こけん)」や評判、プライドなどは大事な物かもですが。
それらに「関わる」語の扱いは、ちょっと気をつけた方が良いのかもですね。
まあそんな感じで~。
◆用語集
・沽券(こけん):
関連用語:「因習(いんしゅう)」*1、「因習村(いんしゅうむら)」
*1:「因習(いんしゅう)」や「因習村(いんしゅうむら)」については 7/14 ゲーム+英他:この「村(むら)」には「コンベンション」がありますか? ~「因習(いんしゅう)/convention(コンベンション)」と、イベントの話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。