社会+英語+生活の話―。
「あそこのテナント、昨日から農業始めたらしいよ」的な話ではありません。
現代日本では「借りる*1場所」という印象もある語、「テナント(tenant)」と。
土地(とち)を借りて農業(のうぎょう)をする人、
「小作農(こさくのう)/tenant farmer(テナント・ファーマー)」の話を。
遅くなってしまったので簡単に。
前置き。
昨日「コーポ」という、建物(たてもの)に関わる語を書いた流れで、
同じく建物系でよく聞く語、「テナント」を調べてみました。
※
まず今「テナント」というと、「借(か)りる場所」みたいな印象のある語ですね。
その場所・土地(とち)を完全に買(か)うのではなく、一時的に借りる感じです。
例えば、町中・店前には「テナント募集(ぼしゅう)」というポスターがあったりする印象ですし、
またネットでは「空きテナント」などの語も見られました。
で、よく見る「テナント」は、
ビルなどの「空いている場所・スペース」について言われる印象です。
なので大きな土地が必要そうな、「農業(のうぎょう)」とは合わなさそうですが…。
しかし実際には「テナント」は、かなり「農業」とも関わっていたりするようです。
というのも「tenant farmer(テナント・ファーマー)/小作農(こさくのう)」という語があるからですね。
まず「小作農(こさくのう)」とは、自分で土地を持たず、地主(じぬし)から土地を借りて農業をする人のことですが。
(代わりに地主に「小作料(こさくりょう)」を払う訳ですが)
和英辞典や英和辞典によれば、この「小作農」は英語で「tenant farmer(テナント・ファーマー)」ともいうようです。
「farmer(ファーマー)」は農家(のうか)さん…、農業をする人、という意味なので、なるほどという感じですね。
そして、英和辞典によれば「tenant(テナント)」は、
「(土地・家屋・部屋などの)貸借人(たいしゃくにん)」、「借地人(しゃくちにん)」、「借家人(しゃくやにん)」などの意味のようです。
つまり「場所」ではなく、土地などを借りている「人(ひと)」の方を指す語のようですね。
「土地を借りている人(tenant)である農家さん(farmer)」→「小作農(tenant farmer)」って感じでしょうか。
ただWikipediaによれば、現代日本で「テナント」の意味は、元の英語と変わっており、
また店舗(てんぽ)…お店の方を指すこともあるようです
なので、筆者が冒頭で書いた「テナント=場所」的なイメージはこれ絡みかもですね。
深く知らぬままに(元の語から)誤解(ごかい)していたともいえるので、反省です。
ちなみに歴史などを考えると、
現代の「テナント」より、「小作農/tenant farmer」(人)などの語が先にありそうですが。
…でも今、「tenant farmer(テナント・ファーマー)」という語を聞くと、
やはり冒頭に書いたような、「(ビルなどの中の)借りるテナント」のイメージもあるので、
「(ビルの)『テナント(tenant)』で『農家さん(farmer)』が働いてるの!?」って感じもして、面白いですね。
ビルのコンクリートでは野菜がうまく育たなさそうですが
※
まあ町中の「テナント(tenant)」が、いきなり農場に代わり、
「農家さん(farmer)」が働いている…なんてことはあまりないかもですが。
でも今度どこかで「テナント(tenant)」の文字を見たり、
または歴史の教科書で「小作農(tenant farmer)」などの言葉を見たら、
色々つなげてイメージしてみるのも、面白いかもですね。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに「ビルのテナントでの農業」についてですが。
筆者がけっこう前に見たテレビ番組でさえ、
「土の地面を使わず、水や光を使った農業」が紹介されていました。
なので実際には、「テナントでの農家」は別に不可能ではなく、(地面抜きで)十分やれるかも…と思われます(※より難しかったり、コストがかかったりはするかもですが)
*1:「借りる(かりる)」や「貸す(かす)」については 6/6 国語:「ふざける」等を漢字で書けますか? ~「漢字クイズ」と「借字(しゃくじ)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。