社会+国語の話―。
「我々は、ついに地下の財宝のありかを発見した!」的な話ではありません。
仏教において地下(ちか)、あるいは大地の上層(じょうそう)を表すらしい語、
「金輪(こんりん)」についての話を。
(追記で関連語の「金輪際(こんりんざい)」の話も)
金(きん)の輪(わ)などを表す語、「金輪(きんりん)」も参考にしつつ。
前置き。
さて当ブログでは、昨日は「銀輪(ぎんりん)」*1という、
自転車(じてんしゃ)の呼び名について書かせて頂きました。
新品の自転車の車輪が、銀色に輝いているイメージですね。
なので、そこから「金輪」という語を見ると、
「金色に輝く自転車(の車輪)か!」という感がするかもですが。
今回紹介する「金輪(こんりん)」は、また違う存在だったりします。
というのも「金輪(こんりん)」は仏教(ぶっきょう)において、
ある意味「地下に埋(う)まっている」ものらしいからですね。
改めて「金輪(こんりん)」についてですが、
国語辞典では「(仏教で)大地の上層(じょうそう)」」、
漢和辞典では(仏教用語で)「地底(ちてい)」と書かれていました。
読んでいて「『上層』で『底(一番下)』?」という気もしましたが、
合わせて考えると、仏教ではどうも大地・地底が以下のような構造と考えられているようです。
(※宗派や考え方によるかもですが)
①「地輪(じりん、ちりん)」(※しかしネットだと「地輪=金輪」という話も)
②「金輪(こんりん)」
③「水輪(すいりん)」
④「風輪(ふうりん)」
…って感じですかね。
なので①~④全体からすると、②「金輪」はわりと「大地(全体)の上層」ですが、
しかし普段人間が暮らしている世界(①「地輪」の上?)からだと、十分深い世界…、
つまり地下(ちか)とか「地底」ということになるのかもしれません。
なので、人の暮らす世界の「地下」には、
「金輪(こんりん)」というものがあるらしい、という感じなのですが…。
…しかし「金輪」という名前は、
アクセサリーの「金(きん)の輪(わ)」っぽく見える感じもしますね。
(昨日の記事と合わせるなら「ゴールドのリング」っぽいです)
漢和辞典によれば、また別語で「金輪(きんりん)」…それこそ「金の輪」を表す語もあるようですし。
なのでそれらの語を知ってから、
「仏教では、『地下』に『金輪(こんりん)』というものがあって…」という文を読むと。
「『地下』に『金の輪/金輪(きんりん)』が埋まってるの…!?」なんて一瞬思ってしまいそうですね。
思わず掘り返したくなりそうです。
※
まあ、残念ながら足元に「金の輪」が埋まっている訳ではなく、
そもそも「金輪」が埋まっているのは、「地底深く」なのですが。
でも、現代の科学的知識から考えても、
地下にはマントルとかプレート、色々大事な物があったりします。
そう考えると、仏教における「金輪」(地下、地底)は、
我々の生活を支える、金よりとても大事な物、と言えるかもですね。
まあそもそも「金輪」があると考えるかは、宗教・宗派・人によりそうですが。
でもクリスマスや年末に、
飾り付けやプレゼントで「金の輪/ゴールドのリング」を見ることがあれば。
地下深くに「金輪(こんりん)」の存在をイメージしてみても、良いかもですね。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに本編ではテンポ上略しましたが、
「金輪(こんりん)」は「金輪際(こんりんざい)」という言葉に絡む語だったりします。
「金輪際(こんりんざい)」は、何かが「絶対(ぜったい)にない」ことを表す語ですね。
(最近で言いますと、アニメ『推しの子』の第一期OP『アイドル』の歌詞に入っていたりしました)
例えば、何かを強く否定したいときは、スケールの大きい物が例に出されることもあります。
(例:「そんなことは、天地がひっくり返っても起こらない」とか)
なので「金輪」や「金輪際」…「人がたどり着けない深い地の底」を例えに使うことによって、
「それくらい(のスケールで)絶対に起こらない」と表現したかったのかもですね。
追記2
ちなみに、追記1で触れた「金輪際(こんりんざい)」は、
国語辞典で「大地の底」と書かれていましたが。
しかし筆者はその下に「水輪」・「風輪」があることを知り、
「一番下の『底』でもない…?」などと思ったりしました。
そしてネットを調べてみると、
「金輪際」の他にも「水輪際(すいりんざい)」とか「風輪際(ふうりんざい)」といった言葉もあるようでした。
(ただ、あまり「金輪際」(絶対~ない)的な意味では使われていない様です)
なので「金輪際」より絶対起こらないことを表すために、これらの言葉を使うのもアリかもですが…、
…そこまでやるとインフレが激しい気もするので、少なくとも普段は「金輪際」でいい気もしますね。
追記3
ちなみに「金輪(かなわ)」というものもあったりします。
これは「金属製(きんぞくせい)の輪」という感じですね。
「鉄輪(かなわ)」と書かれることもあるようですが、
そちらの場合は金属全体と言うより、「鉄(てつ)の輪」の感じが強まりますね。
◆用語集
・金輪(こんりん):
仏教において大地の上層、あるいは地下などを表す語。
・金輪際(こんりんざい):
金輪の際(きわ)、つまり大地の底などを表す語。
会話で使われるときは「金輪際ない」という風に、「決して~ない」という意味合いになる。
ちなみに和英辞典では「金輪際」の英訳に、「never(ネバー)/決して~ない」があった。「金輪際」がちょっと難しいと思ったら、こちらの語からイメージするのも良いかもしれない。
・金輪(きんりん):
「金の輪」などを表す語。
・金輪(かなわ):
・鉄輪(かなわ):
*1:「銀輪(ぎんりん)」については 12/10 生+国他:「自転車(じてんしゃ)」を「指(ゆび)」にはめられますか? ~「銀輪(ぎんりん)/自転車」と「シルバーのリング」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。