国語+こころ+社会の話ー。
なかなかシュールなタイトルでお送りしておりますが。
人の代金(だいきん)を代わりに払ったりする、①「奢る(おごる)」と、
偉(えら)そうにすることなどを意味する②「驕る(おごる)/傲る」の話を。
前置き。
まず日常で「おごる」というと、①お金を代わりに払う意味が多い印象ですね。
例えば「先輩(せんぱい)が昼食(ちゅうしょく)をおごってくれた」というと、
自分(私)の昼食代を、先輩が代わりに払ってくれた…という感じです。
辞典等によれば、漢字では①「奢る(おごる)」と書くようですね。
で、「おごる」という響きだと、
他にも②「おごる(驕る、傲る)」という語があったりします。
これは「いい気になり過ぎる」とか「偉(えら)そうにする」…、
あるいは「わがままな行動(こうどう)を取る」といった意味合いですね。
この2つの①「おごる(奢る)」と②「おごる(驕る)」に対し、
筆者は今まで「似ていても、別の字だから…」と思っていたのですが。
しかし調べてみると、意外と近いようです。
というのも、①「奢る(おごる)」にも、「やり過ぎる」、「いい気になる」意味があるようなので。
まず国語辞典によれば①「奢る(おごる)」には、
「過度(かど)に、ぜいたく(贅沢)な状態になる」という意味もあるようです。
筆者は今まで「奢る」には「景気がいい」、プラスっぽいイメージしか無かったので、ここでマイナスめ*1な説明がされているのは、意外ですね。
また漢和辞典によれば、「奢(しゃ)」の字自体に、
「分に過ぎる」、「ぜいたくをする」、「たかぶる」、「ほこる(誇る)」といった意味があるようです。
ちなみに「たかぶる」は、「自慢(じまん)する」等の意味もある語で、
それこそ②「驕る」とイメージが近い感じですね。
よって、①「奢る」と②「驕る」は、意味・印象が近かったりもするようです。
これらのことを知ってからだと、
少し「①『奢る(おごる)』人は②『驕っている(おごっている)』…!?」みたいな風に思ってしまいそうですね。
※
まあ、相手を気遣(きづか)ってお金を払う場合もあると思うので、
誰かに①「おごる(奢る)」人が、全て②「驕っている」訳ではないと思いますが。
でもマンガとかだと、よくイヤミ(嫌味)なお金持ちのキャラが、
「好きなメニューを頼め!俺が何でも払ってやるよ!」と人に①「奢り」つつ、
まさに②「驕って(いい気になって)」いる場面もある気がします。
でも、周りからは嫌われていたり、密かにバカにされていたりもしますね。
普段の「おごり」では、そこまで行かないかもですが。
でも自分を、「人に①『奢っている(お金を払う)』いい奴」と思っていても、
周りからは「あいつ、人に②『驕っている(偉そうな)』イヤな奴だよなー」と思われていた…なんてことがないよう、
「おごる」ことには、少し気をつけてみてもいいかもですね。
まあそんな感じで~。
追記
それこそ①「奢る」と②「驕る」を合わせたような、
「驕奢(きょうしゃ)/ぜいたく」という単語も漢和辞典には載っていました。
この点から言っても、①「奢る」と②「驕る」はちょっと近いのかもしれません。
追記2
ちなみに少し違う気もしますが、
歴史の資料集には、「成金(なりきん)」…急にお金持ちになった人がお金に火を付け、明かりにしている絵が載っていたりもします。
これは何かを「①奢っている」訳ではないですが、②「驕っている」例っぽくはありますね。
◆用語集
・奢る(おごる):
・驕る(おごる)/傲る:
ちなみに「傲る」表記に関しては「傲慢(ごうまん)」といった語もある。
*1:「過度(かど)に」というのは「○○過ぎる」ということなので、マイナスな意味合いですね。