国語+社会+生活+こころの話―。
嫌(いや)なものを取り去るイメージの語、「払拭(ふっしょく)」と。
そのまた別の意味、
「君主(くんしゅ)から大切(たいせつ)に扱(あつか)われること」の話を。
遅くなってしまったので簡単に。
前置き。
まず「払拭(ふっしょく)」とは、嫌(いや)なものを払(はら)いのけるイメージの語ですね。
国語辞典でも、「そこにあって欲(ほ)しくないものを、すっかり取(と)り去(さ)ること」と説明されていました。
例えば「不安(ふあん)を『払拭』する」とか、
「かけられた疑(うたが)いを『払拭』する」などと言う感じですね。
ちなみに「払拭(ふっしょく)」という語には、
「払(はら)う」や「拭(ぬぐ)う」など、掃除(そうじ)っぽい漢字が入っていますね。
なので「払拭」は、サッと掃除するかのように何かを消(け)す…というイメージのようです。
で、上記のように「払拭」というと、
基本「何か(嫌なもの)をはらいのける」イメージだったのですが。
しかし調べてみると、意外と逆(ぎゃく)っぽい意味もあるようです。
というのも、漢和辞典によれば「払拭(ふっしょく)」は、
「君主(くんしゅ)からたいせつ(大切)にあつかわれる(扱われる)こと」という意味もあるらしいからですね。
(「君主(くんしゅ)」とは、王様(おうさま)などのことですね)
…でも「消す/はらいのける」と「大切に扱う」では、かなり逆っぽい言葉ですね。
何故「払拭」にこれらの意味があるのか、詳細は不明なのですが。
でも例えば、君主が宝物(たからもの)の汚れやホコリを掃除するように、
相手…部下(ぶか)などのことも、ピカピカにする感じで大切にする…という意味合いで「払拭」なのかもしれません。
(※あくまで筆者の仮説なので、ご注意を)
なのでその場合は、
おそらく「君主が部下自身を(汚れのように)『払拭』する」のではなく、
「君主が部下についた汚れなどを『払拭』する」→「君主が部下などを大切に扱う」
→(受け身形になって)「君主から大切に扱われること(払拭)」
という関係かと思われますが(※やはり筆者の仮説なのでご注意を)。
…でも今は「不安を払拭(ふっしょく)」というと、
やはり「『嫌なもの』を『払拭』する」イメージが強いですね。
なので、仮に(君主のいる国などで)誰かに、
「あなたは、君主に大切にされていますね」という意味で、
「あなたは『君主』に『払拭(ふっしょく)されて(大切に扱われて)』ますね」と言ったら。
…相手には「私、そんなに嫌われてたの…!?」なんて、逆(ぎゃく)のことを思われてしまいそうですね。
その悪いイメージを「払拭」しないと
※
まあ、今の「払拭(ふっしょく)」は大体「嫌なものを消す」方の意味ですが。
でも、例えば昔の時代の記録(きろく)…特に古代の中国(ちゅうごく)等の記録などでは。
もしかすると「払拭」が「大切に扱う」方で使われているかもしれません。
で、例えば昔の記録の、
「○○の国の民は、君主に『払拭されて(大切に扱われて)』いた」という文を、
「まさか…嫌われた民が…『消されて(払拭されて)いた』…!?」と誤解(ごかい)すると大変そうなので。
歴史や中国史などに興味がある方は、
「『払拭(ふっしょく)』の意味は一つだけ!」というイメージは、
一応、「『払拭』して(取り去って)」おくと良いかも?
まあそんな感じで~。