国語+社会+英語の話―。
何かを支配(しはい)する者を表す語、「支配者(しはいしゃ)」と、
似ているけれど「部下(ぶか)」っぽい語、「支配人(しはいにん)」の話を。
遅くなってしまったので簡単に。
前置き。
何日か前に「支配者(しはいしゃ)」について書いてから、
似た語の「支配人(しはいにん)」が気になったので、その周りの話を。
※
まず①「支配者(しはいしゃ)」とは、何かを支配(しはい)する者のことですね。
例えば国(くに)では王様、会社では社長などの「トップ」を指す感じです。
苦労も多そうですが、色んなことを好きに決められる部分もあるので、
「権力(けんりょく)がある」とか「偉(えら)い」感じもしますね。
で、上記の①「支配者」に似た語では、
②「支配人(しはいにん)」という語もあったりするのですが。
しかし、この②「支配人」は①「支配者」と、大きく違ったりするようです。
というのも、手元の国語辞典で②「支配人(しはいにん)」は、
「使用人(しようにん)のうち、主人(しゅじん)に代わって営業(えいぎょう)に関する一切のさしずや取締りをする最高責任者(さいこうせきにんしゃ)」と書かれておりまして。
まあざっくり言うと、「使用人の中の偉い人」という感じですね。
つまり②「支配人」も偉い立場ではあるのですが、
「使用人のうち」とか「主人に代わって」と書いてあるように、「主人そのものではない」訳ですね。
辞典の解説に従うなら、あくまで使用人…「部下(ぶか)」の一人という感じです。
一方で「支配者」というと、立場が一番上の人やトップっぽい…、
つまり「主人」っぽい感じもします。
なので、「『支配者(主人)』と『支配人(部下)』では大違い」…、
両者の文字に注目すれば、
「『者(もの)』と『人(ひと)』では大違い!」と言えるかもですね。
※
まあ、だからといって「支配人は偉くない!」という訳では無いのですが。
ただ、普段「者(もの)」と「人(ひと)」は大体同じとされる印象なのに、
その違いによって、「主人(支配者)⇔部下(支配人)」っぽい違いが出てくるのは面白いですね。
他にも「者」と「人」などの字を入れ替えると、
大きく意味が変わる語が結構あるかも?
気が向いたら色々探して遊んでみると、
ちょっと「文字の支配者」になったみたいで、楽しいかもですね。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに和英辞典では、
「支配人(しはいにん)」に対応する英語として「manager(マネージャー)」が載っておりました。
本記事では「支配者」と「支配人」の違いについて書きましたが、
英和辞典によれば「manager(マネージャー)」には「経営者(けいえいしゃ)」という意味もあるようです。
なので「支配人」を「manager(マネージャー)」と読み替えると、いつのまにか「支配者」の側っぽくもなりますね。
(「支配者」≠「支配人」だったのが、「支配人」≓「マネージャー」≓「支配者」みたいになる不思議)
言葉のトリックみたいで面白いです。
…しかし個人的には「マネージャー(manager)」というと、
アイドル等のスケジュール管理とかで苦労してそうなイメージもあります。
(詳しくはないので、あくまでマンガやアニメ等からの勝手なイメージですね)
なので誰かが、「俺はこの会社の『経営者(マネージャー)』なんだぜ!」という意味で、
「俺はこの会社の『マネージャー(経営者)』なんだぜ!」と言ってきたら、
「地位が高いんだな…」というより、「あっ、お疲れ様です…」という印象になってしまうかもですね。