国語+こころの話―。
趣味(しゅみ)など、一つのことに熱中(ねっちゅう)すること「没頭(ぼっとう)」と、
逆に趣味が無(な)いことを表す語、「没趣味(ぼつしゅみ)」、
そして「おぼれる」や「ない(無い)」などの意味を持つ、「没(ぼつ)」という字の話を。
前置き。
まず「没頭(ぼっとう)」とは、何か一つのことに熱中(ねっちゅう)することですね。
ちょっと集中(しゅうちゅう)*1するというより、
(一時的に)他のことをしなくなるとか、時間(じかん)を忘れるレベルという感じです。
例えば「仕事(しごと)に没頭する」とか、「趣味(しゅみ)に没頭する」などといいますね。
で、上記の「趣味に没頭する」は、割とある言い回しかと思いますが。
しかし実は、これの周りはちょっとややこしかったりもします。
というのも「没趣味(ぼつしゅみ)」という言葉があるからですね。
国語辞典によれば「没趣味(ぼつしゅみ)」とは、
「趣味の無い様子」、あるいは「趣味の感じられない様子」のことのようです。
いわゆる「無趣味(むしゅみ)」とか「無個性(むこせい)」みたいな感じですね。
…「趣味に没頭」とは、ちょうど逆っぽいのが面白いです。
では「趣味に没頭」と「没趣味」、似ているのに何故違うのか?というと。
漢和辞典によれば「没(ぼつ)」という字には、
①「おぼれる(溺れる)」という意味と、②「ない(無い)」という意味があるようです。
そのため、
「『頭(思考)』が『趣味』に①『溺れる(没)』」→「『趣味』に『没頭』する」
「『趣味』が②『無い(没)』」→「没趣味」
…みたいな感じで、違いが出ているのかもですね。
(※あくまで筆者の仮説なので注意)
まあ「『没頭(ぼっとう)』と『没趣味(ぼつしゅみ)』は違う!」といっても、
「言葉が違うんだから、当たり前でしょ?」と返(かえ)されそうな感じですが。
でも上記の「趣味(しゅみ)に『没頭』する」という語を見てからだと、
ちょっと「『没』とか『没頭』って…?『没趣味』って何だっけ…?」みたいに、混乱(こんらん)しそうなのが面白いですね。
※
まあ最近は「没趣味」よりも「無趣味」という語を聞く気がするので、
「没頭」と「没趣味」が並んでややこしい…ということは、あまり起きないかもですが。
でも、もしあなたが「趣味(しゅみ)」に熱中して、
ついつい時間を忘れた…ということがあったら。
「『趣味』に『没頭』してた…ってことは、『没趣味(無趣味)』じゃないな!」
なんてあれこれ考えてみても、面白いかも?
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに「没個性(ぼつこせい)」という語もあります。
これは「個性が無い」という意味なので、この場合の「没」は「無い」という意味と思われます。
…でも「没」には「おぼれる」とか「水中(すいちゅう)に沈む(しずむ)」といった意味もあるので、
ちょっとだけ「私の個性が沈んだー!?」って感じもして、シュール面白いですね。マンガとかである「能力を封(ふう)じる能力」っぽい
◆用語集
・没頭(ぼっとう):
・没趣味(ぼつしゅみ):
*1:「集中(しゅうちゅう)」については 10/4 英+学:「集中(しゅうちゅう)」と「ジュース」の関係!? ~「concentrate(コンセントレイト)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。