こころ+国語の話―。
悩むほど何かを頑張(がんば)る、的な意味の語「腐心(ふしん)」と、
「腐(ふ)」という漢字の、「心をいためる(痛める)」意味などの話を。
前置き。
まず「腐心(ふしん)」とは、何かをとても頑張(がんば)る、的な意味の語ですね。
ざっくり言うと「気になる事について、頑張ったり悩(なや)んだりする」みたいな感じです。
また漢和辞典で「腐心」は、「心を痛めなやます(悩ます)」と説明されていたので、
とりあえず「悩む(ほど頑張る)」という意味合いがあるようですね。
で、そんな「腐心」についてですが。
「腐(ふ)」と言えば「腐(くさ)る」…時間(じかん)が経って物が悪くなる意味も有名なので、
「『腐心』はどの辺りが『腐って』いるのだろう…?」と気になったのですが。
しかし調べてみると、「腐心」は「腐る」こととはあまり関係がないようです。
(少なくとも、直接的に腐る意味合いではなさそうです)
というのも漢和辞典によれば、
「腐(ふ)」という漢字の説明欄に「心をいためる」という意味がありまして。
また「腐心」の説明欄には、(言い換えられる言葉として)「苦心(くしん)」とも書いてあったので、
「腐心」の「腐」は「物が腐る」というより、「(心が)苦しい」的な意味かと思われます。
なので日常的な意味…「食べ物が腐(くさ)って悪くなる」的な意味合いでは、
「『腐心(ふしん)』は『腐(くさ)って』ない!」と言えそうですが。
…でも文の見た目としては、矛盾(むじゅん)感がすごいですね。
ちょっと違いますが、「青空は青くない!」と言われたみたいな感じもします。
※
ちなみに、「心」が「腐ったり」、「心」が「無かったり」したら、
特に「心の痛み」などは感じない気もします。
その意味では、心を痛めるほど頑張る「腐心」は、
むしろ「心が腐る」ことの、「逆(ぎゃく)」の意味と言えるかもですが…。
…とはいっても、あまり何かを頑張りすぎると、
疲れ果てて、本当に「心が腐(くさ)ってしまう」こともあるかもなので。
何か「腐心(ふしん)する/とても頑張る」時は、注意しておくと良いかも?
まあそんな感じで~。