歴史+ゲームの話ー。
「戦争*1で犠牲者(ぎせいしゃ)を『出す』ときの気持ちってどんなんだろう」みたいな話です。
サブタイに書いてあるように
「勝利(しょうり)」は英語で「victory(ヴィクトリー)」、
「犠牲者(ぎせいしゃ)」は英語「victim(ヴィクティム)」と言います。
人によってはおぞましく、嫌な内容が含まれると思われます。ご注意を。
そしてごめんなさい。
夏*2になると戦争関係の意見や記事がよく見られます。
特に過去の「犠牲者(ぎせいしゃ)」を悼みつつ、
「戦争は人を人として扱わない」、
あるいは「人や兵(へい)*3はただの数とみなされた」ということが多く言われる印象です。
その検証は、もちろん大事なことだと思います。
その上で、ここでは「なぜそうなるのか?」をちょっと考えてみたいと思います。
「何故戦争において命(いのち)は数(かず)*4として扱われやすいのか?」ということです。
筆者も戦争には詳しくないので想像が多いです、すみません。
◆「全体の勝利」と「個々(ここ)の勝利」
で、いきなりちょっと話がそれますが、
先日カードゲーム*5をやっていてふと
「『全体の勝利』と『個々の勝利』はまた違うなあ」ということを思いました。
「個々(ここ)」というのは個人としてそれぞれ、という意味です。
例えばカードゲームではキャラとかモンスター*6を使って戦ったりします。
でも、犠牲を出さないで戦うのはとても難しいですね。
もちろんモンスターが破壊されないように、大事にしながら戦うこともできます。
でも、全てのモンスターを大事にしていると、逆に勝てないこともあります。
カード『シャドウバース』*7だと、フォロワーを攻撃しなくても、相手プレイヤーを直接攻撃できますしね。
「将棋(しょうぎ)」*8で言うと、他のコマをどんなに守っても、王将を取られたら負けとなりますし。
これは「ゲームが悪い」とかじゃなくて、いろんなことには「勝利条件」や「敗北条件」があるということです。
つまり、個々の戦闘に多く「勝利」することが、全体の勝利につながるとは限らない、ということです。
むしろある戦闘で全力を尽くしてしまった結果、それ以降は勝てない、ということもありえます。
ひどい言い方をすると、ある兵士たちを「とても大事にしてしまった結果」、
「戦争に勝てなくなった」ということもありえるのです。
(もちろん「逆に大事にして勝った」ということもあり得ますが)
ということは。
逆に言えば、全体の勝利のために、個々の戦闘を見捨てる、ということがあり得ます。
それは言ってみれば(わざと)「犠牲(ぎせい)」を出すということです。
(ここでは善悪は置いておき、戦術*9の話です)
これは望まずに行うこともありますし、時にわざと行うこともあります。
将棋とかでもわざとコマを取らせることはありますし。
ここまで読まれて「どんな形でも犠牲を出すことは許されない!」と思われるかもしれません。
その考えは正しいと思われます。
しかし例えば
「300人を助けているうちに3万人が死にそう」とか
「10人を犠牲にすることで戦争に勝てるかもしれない」という場合、あなたはどうするでしょうか?
(そもそも戦争をやらなければいい、ということは置いておいて)
判断は人それぞれでしょうが、
人によっては「少ない方を見捨てる」ことが、可能性に入ってくるかもしれません。
(数字の上では「大のために小を切り捨てる」という形になります。非情に思われるかもしれませんが)
冒頭に書いたように
「勝利(しょうり)」は英語で「victory(ヴィクトリー)」、
「犠牲者(ぎせいしゃ)」は英語で「victim(ヴィクティム)」といいます。
言ってみれば、戦争にはこの2つの「V」の要素があり、
「勝利の為に犠牲を払う」ということがあるわけです。
もっとも、犠牲を出したからと言って勝てるとは限らないのですが…。
とまあ、そんな感じのことが、いわゆる「人が数として扱われる」時にちょっとあるかもしれません。
だからといって「犠牲を出してもいい」と言いたいわけではありません。
筆者も犠牲はない、もしく少ない方がいいと思っておりますし、
ここで行っているのは気持ちの想像と説明であって、善悪とはまた別の話です。
悪人や、望んで非情になった人だけが「数として扱う」「犠牲を出す」ことをするなら、そういう人に対処すればいいのですが。
でももし、日常や、自分の中に「数として扱う」「犠牲を出す」ことが選択肢としてあるならば、
あるいはその「根っこ」や、あるいは「そうせざるを得ない状況」があるならば、
「悪人」に注意しているだけでは不十分といえるでしょう。
自分の足元に「犠牲を生むこと」の根っこがあるわけですからね。
それに対処するならば、日常の気持ちを考えることが重要かもしれません。
例えば、あなたは何かを強く願ったことは無いでしょうか?
「何を犠牲にしてでも勝ちたい」と思ったことは無いでしょうか?
あるいは何かを諦めた、見捨てた経験は?
時間がなくて何かをあきらめた経験は?
少ないものより多くのものを取った経験は?
そして戦争において、あなたが指導的な立場にあったなら。
あなたは優先順位をどこに置き、何を選ぶのでしょうか。
ひどい言い方をするならば、自分は何を「犠牲にする」と思いますか?
重ねて言いますが、何かを責めたいわけではありません。すみません。
またその気持ちを感じたからと言って、戦争の犠牲を批判しちゃだめというわけでもないです。
「その時の流れを理解する役に立つかもしれない」位の話なので。
それらの気持ちを理解し、うまく対処できたなら、
戦争における色んな事が、より理解しやすく、
そして望むなら、止めやすくなるかもしれません。
良かったら考えてみて頂ければ幸いです。
まあそんな感じで~。
◆用語集
・勝利(しょうり):
相手に勝つこと。スポーツ*10、ゲーム、戦闘など色々な所で使う言葉。
英語では「success(サクセス)」、「victory(ヴィクトリー)」、「winning(ウィニング)」、「win(ウィン)」、「triumph(トライアンフ)」など。
ちなみに日本には「ウイニングチケット」という名前の競走馬もいたりする。
関連用語:「ニケ」*11、「ウィクトーリア」、「Vサイン」*12
・犠牲(ぎせい):
関連用語:「殉死(じゅんし)」*13、「後宮(こうきゅう)」*14、「義人(ぎじん)」*15、「テロ/テロリズム」*16、「暴力(ぼうりょく)」
*1:「戦争(せんそう)」については 11/2 社会+国+こころ:愛と平和、と戦争 ~言葉の食い違いから考える~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「夏(なつ)」については 7/5 学習:夏休みの自由研究メモ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「兵(へい)」こと「兵士(へいし)」については 8/7 英+歴:「ソルジャー」は「サラリーマン」ですか? ~「給料」と「兵士」の関係~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「数(かず)」こと「数字(すうじ)」については 1/5 数学:なぜ「1+1=2」ができるのか(雑考) - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「カードゲーム」については 4/4 数学:メモ/数学とカードゲーム - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:「モンスター」については 7/26 英語:treat/モンスター、ハロウィン、そしてトリートメント! - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:『シャドウバース』については 7/14 数+ゲーム:『シャドウバース』で確率を考える! ~投入カード枚数と初期手札編~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「将棋(しょうぎ)」については 1/27 英語:翻訳(ほんやく)を利用して魔王(まおう)を女子にする、だと…!? - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「戦術(せんじゅつ)」については 3/23 学習:「不退転(ふたいてん)」、「撤退戦(てったいせん)」、「全力撤退(ぜんりょくてったい)」 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「スポーツ」については 3/27 こころの話+体育:不自由(ふじゆう)だからゲームは面白い!? - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:勝利の女神「ニケ」や「ウィクトーリア」については 9/18 歴+英:「靴」と「女神」と「ミサイル」の話!? ~女神「ニケ」「ナイキ」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*12:「Vサイン」については 9/25 生+英他:「ピースサイン」と「Vサイン」は違いますか? ~「peace(ピース)/平和(へいわ)」と「victory(ヴィクトリー)/勝利(しょうり)」などの話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*13:「殉死(じゅんし)」については 8/28 歴史:「埴輪(はにわ)」は命を救ってる!? ~「殉死(じゅんし)」と「埴輪」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*14:「後宮(こうきゅう)」については 4/18 歴史:奥さんが多くて争いが起きる!? ~「後宮(こうきゅう)」や「四夫人(しふじん)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*15:犠牲を払う人のイメージもある言葉「義人(ぎじん)」については 5/13 理+歴他:「ズレたクチバシ」は「勲章(くんしょう)」ですか? ~鳥の「イスカ」と「イエス・キリスト」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*16:「テロ/テロリズム」や「暴力(ぼうりょく)」については 9/11 社+英他:「テロ」と「恐怖(きょうふ)」の話 ~「テロリズム(terrorism)」と「terror(テラー)/恐怖」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。