生活(家庭科)+国語+社会の話ー。
「板が宙に浮いて、料理を作り出した…!」的なファンタジーではありません。
日本料理の料理人「板前(いたまえ)」と、
その地位に絡む名称の一つ「立板(たていた)」、
あとは立てた板としての「立て板(たていた)」の話を。
(※以下では「板前」の名称に絡めてジョーク話をしていますが、
攻撃や見下しの意図はないので悪しからずです。でも不快でしたらすみません)
前置き。
先日「一枚岩(いちまいいわ)」…板(いた)のような岩の話をしたことと、
明日は「ひな祭り」ということなどから。
今日は日本料理の料理人、「板前(いたまえ)」を調べてみました。
※
まず「板前(いたまえ)」とは、主に日本料理の料理人のことですね。
西洋料理を作る人は「コック」や「シェフ」と呼ばれるのに対し、
日本料理を作る人はこの「板前」と呼ばれる感じです。
(Wikipediaによればどれも「調理師(ちょうりし)」ということになるようですが)
ちなみに国語辞典で、板前を調べてみると
「俎(まないた)」…つまり「まな板」の前に立つ人、と載っていました。
料理するときに、まな板の上で食材を切ったりするイメージですかね。
単に「板(いた)の前」というと場所・空間のことですが、
(例えば駅の前の場所は「駅前(えきまえ)」と呼ばれますが)
「(まな)板の前によくいる人」→「(料理人としての)板前」という感じかと思われます。
そんな板前ですが、どうやら地位(ちい)等によって呼び名も違うようで。
Wikipediaによれば偉い人は「親方(おやかた)」や「板長(いたちょう)」なんて呼ばれたりもするようです。
で、その辺りは筆者も聞いたことがあったのですが、
店によって「花板(はないた)」や「立板(たていた)」という呼び名もあるようです。
…「板の前」から、「板(いた)」そのものっぽい名前になりましたね。
もちろん略称的な物だと分かっていますが、ちょっと面白い感じです。
特に「立板」に似ている「立て板(たていた)」は、普通の物の名前としてあったりします。
こちらは立てた板(縦に向けた板)のことですね。
ことわざでも「立て板に水(たていたにみず)」って言ったりしますし。
文字にしなければ(あるいはしても)、誤解してしまいそうです。
なのでもし「花板」や「立板」の意味を知らない人が、
「今夜はうちの『立板(料理人)』が料理を作るよ!」と言われたら。
「(物としての)『立て板』が料理を作るんですか…!?」なんて思うかもですね。
※
ちなみに上ではジョークっぽくしてしまいましたが、
「板前」になる修行は、長く厳しい…と聞いたことがある気がします。
いきなり料理を作らせてもらえる訳ではなく、
何年も掃除だったり、地味な作業をこなしたり…というのをマンガやドラマその他で見た気がします。
まあこれは筆者の古く曖昧(あいまい)な記憶なので、
今の板前・日本料理業界のしきたりはわかりませんが。
まず「まな板の前に立たせてもらえる!」というだけでも、かなりすごいことなのかもしれません。
なので、もしあなたが家で料理をする時や、
学校の調理実習などで、「まな板」の前に立つことがあれば。
「私は今、『板前(板の前に立つ人)』になっている…!」と思うと、
ちょっと楽しく、また気合いも入るかもしれませんね。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに本文では「板前」と「コック」を分けて書きましたが、
手元の和英辞典によれば、「板前」は「cook(コック)」と訳されていました。
区別したい場合は、前に「Japanese(ジャパニーズ)/日本の」などの語を付けるといいかもしれません。
追記2
ちなみに板前の役割の名前なども面白くて、
Wikipediaによれば焼き物を担当(たんとう)する人は「焼き場」、刺身を担当する人は「刺し場」と呼ばれたりするようです。
「担当」とか「~役(やく)」とかじゃなくて、「場」、場所の名称で呼ばれているのが興味深いですね。
一方で煮物担当の人は「煮方(にかた)」と、人物っぽい「方(かた)」で呼ばれているようです(※場所にもよるかもですが)。
この辺りの違いも興味深いですね。