国語+社会+こころの話―。
「ずっと初心者扱いで、甘やかして欲しい…」的な話ではありません。
未熟(みじゅく)な人を表す、悪口っぽい語「ひよっこ(雛)」と、
「鳳凰(ほうおう)*1の雛(ひな)」や「将来見込みのある青年」という意味があるらしい、
「鳳雛(ほうすう)」という語についての話を。
前置き。
昨日は「ひな祭り」…「雛祭り(ひなまつり)」だったということで。
「雛(ひな)」周りで見つけた、ちょっと面白い話を。
※
まず「ひよっこ(雛)」は、まだ未熟(みじゅく)な人(ひと)、的な意味の語ですね。
これは国語辞典では、「ひよこ(雛)/ヒヨコ」…つまりニワトリ・鳥(とり)の子どもと同じ場所に載っていて、
「まだ一人前(いちにんまえ)になっていない人間」と解説されていました。
(なので手元の国語辞典では、「ひよこ」のバリエーションの一つが「ひよっこ」という感じでした)
そのため、「ひよこ(雛)」の方でも「未熟な人」の意味を表せそうですが、
でも「ひよっこ」という方が、よりバカにした感じが出る(というか「軽口(かるくち)」っぽい)気もするので、
より「人相手の悪口(わるぐち)」という気もします。
ところで、上でちょこちょこ出ている「雛」という字ですが。
「雛(ひな)」という語も、大体「ひよこ」と同じ意味だったりもします。
なので人を「雛(ひな)」と呼んだり、「雛扱い」(ひよっこ扱い的に)することも、悪口になりそうですが…。
…しかし世の中には、「雛(ひな)」とか「ひよっこ」と呼ばれて、嬉しい場合もあるかもです。
というのも「鳳雛(ほうすう)/鳳凰(ほうおう)の雛(ひな)」という語があるからですね。
まず「鳳凰(ほうおう)」とは、中国などで伝わる伝説の鳥なのですが。
漢和辞典によれば「鳳雛(ほうすう)」とは、この①「鳳凰(ほうおう)の雛(ひな)」のことを表したり、
また②「将来見込みのある青年(せいねん)」のことを表したりするようです。
(ちなみに現代的には、この「青年」は性別に関わらず使えるかと思います)
つまり②の場合、「あいつ将来、大物(おおもの)になるぜ!」という人について、
今は「雛(子ども、未熟)」だけど、将来「鳳凰」のようになる…ということで、
「鳳雛(ほうすう)/鳳凰の雛」って呼ぶ感じですかね。
基本、「ひよっこ/ひよこ/雛(ひな)」扱いは悪口になるかもですが。
でも「鳳雛(ほうすう)/鳳凰の雛」は言われたら嬉しいかもしれないので、
同様に「(鳳凰の)『ひよっこ(雛)』と呼ばれたら『嬉しい』…!」って感じかもですね。
※
まあ「私はすでに大物なのに…」と思っている方には、
「鳳雛(ほうすう)」扱いでも、まだまだ物足りないかもですが。
でも「今の自分から、さらに大きくなれる」と考えると、
「鳳雛」どころか、「ひよっこ(雛)」扱いでさえ、
ある意味「プラス」に捉えられるところがあるかも?
(今が「完成形」だと、それ以後は「もう成長しない」ですし)
なので、もしあなたが「ひよっこ」と呼ばれたら。
「鳳雛(将来の大物)」かどうかに関わらず、
「私はまだまだ成長できるって事だな!」と、
「嬉しがって」みるのも、面白いかもですね。
まあそんな感じで~。
追記(※人名等、敬称略)
ちなみにWikipediaによれば、
「龐統(ほうとう、ほう・とう)」という人が、今回紹介した「鳳雛(ほうすう)」と呼ばれていたようです。
この型は昔の中国の軍師(ぐんし)で、いわゆる「三国志(さんごくし)」に関わることでも有名な方ですね。
若い頃は理解されなかったが、後で才能を発揮した…ということで、この呼び方(「鳳雛」)をされたようです。
で、一方で似た語に「臥龍(がりょう)」、「伏龍(ふくりゅう)/伏竜」という語もありまして。
この名で呼ばれたのが、有名な「諸葛亮(しょかつりょう)」…つまり「孔明(こうめい)」(諸葛亮孔明)という方のことですね。
あと上記の呼び名は合わせて「伏龍鳳雛」と呼ばれたりするようです。
ちなみに話はずれますが、
日本の競馬レースには、「伏竜ステークス」や「鳳雛ステークス」というものもあるようです。
追記2
ちなみに「鳳雛」に似た語で、「麒麟児(きりんじ)」という言葉もあります。
これはやはり伝説の存在の「麒麟(きりん)」に例えて、
「才能のある少年(しょうねん)・若い人」を表した感じの語ですね。
(本文で注釈を加えた「青年」と同様、ここでの「少年」は、現代的には性別に関わらず使える意味かと思います)
*1:伝説の生物「鳳凰(ほうおう)」については 6/26 歴+生:サラマンダーと「ウーパールーパー」の関係!? ~四大とトカゲ、あと食材~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。