数学の話ー。
変な数学シリーズです。
また「確率(かくりつ)」*1の話でございます。
普通に考えれば「1/6(ろくぶんのいち)」×6=1になるはずなんですけどね。
「逆数」*2のところでもそう説明しましたし。
でも確率に出てくる「分数(ぶんすう)」は、それとはちょっと違う扱い方が必要になります。
あと今回の記事は前後半スタイルになります。
【前半】「1/6」×6が1じゃない話
まあぶっちゃけると
「確率6分の1のものを6回やっても出る(「1」になる)とは限らない」っていう話なんですけどね。
(ここでいう「1」ってのは「100%」ってことです。「必ず出る」レベル*3ですね)
例えばサイコロ*4の目。
それぞれの目の出る確率は「6分の1(1/6)」なわけですが。
この「6分の1」という確率はサイコロを「6回ふれば必ず出る」という訳ではありません。
試しに筆者が手元のサイコロを振ってみたところ。
1~6の目が全部出るまでに13回かかりました*5。
つまり、仮に筆者が「4」を出したくて
「6回降れば出るだろー」とか思ってても、出なかったと。
今回は最後の13回目にしか出ませんでしたので。
普通の分数なら「6分の1」は6つ集めれば「1」になります。
「6分の1」+「6分の1」……でもいいですし、「6分の1」×6でもいいです。
さながらピースを組み合わせるように、いつか「1」になるでしょう。
でも、確率の場合はちょっと事情が違います。
サイコロは1回1回で、出る可能性のある目が減ることはありません
ずっと「1~6」のどれかなので、つねに「1/6」です。
それは1回1回ごとにリセットさせるので、
「確率6分の1のものを6回やっても出る(「1」になる)とは限らない」訳です。
1回前のサイコロの目は、次のサイコロの目には関係ないため、
「足し算」にもなりませんしね(回数を重ねれば確率が高まっていくわけではない、ということ)。
まあ全体が減っていくものならやがて「1/1」=→「1」のタイミングが来ますし
あるいは1度にひける数が増えていけば「6/6」→「1」のタイミングが来るんですけどね。
サイコロではそれは望めない、ということです。
【後半】「絶対ない」*6の向こう側の話
で、この「1~6すべての目を揃える」という作業は
無駄なく「ジャスト6回」でできたら気持ちいいですが、やってみるとなかなか厳しいことになります。
試しに見てみましょう。今回は順番は問わないことにします。
まず1回目はどの目でもいいです。1~6の好きな数字*7を出してください。
言ってみれば「6/6」です。オールオッケー。
ですが、次からちょっと変わります。
他の目を出さなくてはなりません。1回目で3を出していたら、もう3を出せません。
6回ではできなくなってしまうので。
なので2回目に出せる目は5種類。でる結果(1~6)の内5つがセーフなので
確率は「5/6」ということになります。
樹形図(じゅけいず)で書くと
(①は「一回目」、②は2回目、という感じで表します)
①3-②3以外○(例えば4)―③3と4以外(例えば2)……
\②3× \③3×
\③4×
で、表にするとこんな感じで変化します。
1回目:「6/6」
2回目:「5/6」
3回目:「4/6」
4回目:「3/6」
5回目:「2/6」
6回目:「1/6」
で、連続する場合の確率は「足し算」ではなく「かけ算」で処理することになります。
「前の結果に成功した上で、この結果を出す」みたいな感じで続いていきます。
ゲームで言うコンティニューですね。
なので計算としては
「6/6」×「5/6」×「4/6」×「3/6」×「2/6」×「1/6」
「720/46656」=「1/324」
って感じになります。
つまり最短の6回で1~6の目をコンプリートできる確率は、「1/324」と。
まあ大きいのか小さいのかわからない数字ですが、
少なくとも「6回やれば全部揃う」と簡単には言えないレベルですね。
パーセントで言うと「0.3%」くらいですし。
さらに6回で「1、2、3、4、5、6」を順番に出そう、となるとかなり厳しい話になります。
一回一回で出さなければならない目が決まっているので
確率はそれぞれ「1/6」(それ以外はアウト)ということに。
樹形図で言うと
1-2-3ー4ー5ー6
\×\×\×\×\×
分かりづらいかもですがまあ「ルートは一本だけだよ」ってことです。
だから6種類の出目に対して、成功ルートの場合の数は「1」。
でそれを6回繰り返すので
①「1/6」×②「1/6」×③「1/6」×④「1/6」×⑤「1/6」×⑥「1/6」
=「1/46656」
って感じですか。
……かなりすごい数字になりましたね。
世の中には「絶対にない」ということで
「万が一(1/10000)にもあり得ない」(0.01%)
という言葉がありますが、それどころじゃないですね。
パーセントで言うと「0.002%」くらいですし。
言ってみれば「絶対ない」と思われるもの、その「絶対」の領域を超えるものが、
意外とサイコロという身近なところにもある……という話でした。
まあそんな感じで~。
追記
つまり「絶対ない」という言葉は数字でいうと「0%」に思えますが、
それが「万が一」というくらいであれば、「0.01%」なので実は0%ではない、ということになります。
例え「0.000000000000001%」でもまだ「0」とイコールではないので、
実は「0%」というのは思った以上に達成困難だったりします。本当に起こりえないことになるので。
極端な話、「1兆分の1」でも「1兆回繰り返せば1回ありえる」ってことですし。
*1:「確率(かくりつ)」については 4/19 数学:確率(かくりつ)の話メモ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「逆数(ぎゃくすう)」については 6/10 数学:「逆数(ぎゃくすう)」の話 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「レベル」については12/1 数学:「文章題(ぶんしょうだい)」は難しい - のっぽさんの勉強メモを参照。
*4:「サイコロ」については 3/14 こころの話:人生(じんせい)/君と道を行くRPG - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:出た目の記録は「3、3、6、6、1、6、5、3、1、2、1、3、4」で、全13回でした
*6:「絶対(ぜったい)」や「絶対ない」については 12/10 世界史:正義(せいぎ)は変わるし、性別(せいべつ)も変わる。…え、性別? - のっぽさんの勉強メモ も参照。
*7:「数字(すうじ)」については1/5 数学:なぜ「1+1=2」ができるのか(雑考) - のっぽさんの勉強メモを参照。
*8:競馬の「3連単」については 6/9 社+国:「推し(おし)」は「推し」ても、「押し」出すな!? ~好きな物、そしてそれを伝えること~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。