生活+国語の話―。
何かの肉(にく)、また身が厚(あつ)いことを表す語、「肉厚(にくあつ)」と、
それと逆っぽく見えるのにまた違う意味の語、「肉薄(にくはく)」の話を。
遅くなってしまったので簡単に。
前置き。
まず「肉厚(にくあつ)」とは、何かの肉(にく)・身(み)が厚(あつ)い様子ですね。
例えば動物や植物について使ったり(「肉厚な葉(は)」とか)、
またネットで見た感じでは、部品(ぶひん)の厚みに関して使ったりする語のようです。
そしてグルメでは、料理や素材に対して使われることも多い気がしますね。
さて、「肉が厚い」ことが「肉厚(にくあつ)」ならば、
逆に「肉が薄(うす)い」ことは「肉薄」と書きたくなるかもですが。
でも、そこでちょっと注意が必要かもしれません。
何故なら「肉薄(にくはく)」という、違う語があるからですね。
国語辞典によれば「肉薄(にくはく)」とは、
ざっくり言うと、戦争で相手の陣地(じんち)に(生身で)迫(せま)ったり、
あるいはスポーツで、相手の選手と激戦(げきせん)を繰り広げる…みたいな意味のようです。
また漢和辞典によれば、「薄(はく)」には「薄る(せまる)」という読みもあり、
その場合は「近づく」という意味を持っているようです。
そして上記の「肉薄」は、この「近づく」意味の関連語として載っていました。
(あるいは、相手との差(さ)が「薄い(うすい)」所まで「近づく」と考えても分かりやすいですが)
なので「肉薄(にくはく)」は別に「肉が薄い」意味ではないので、
「『肉厚(にくあつ)』の逆は『肉薄(にくはく)』ではない!」ということになりますが。
…よく「『厚い』の逆は『薄い』」とされたりしているので、ちょっと不思議な感じもしますね。
※
ちなみに、グルメにおいて「肉厚」…「肉が厚い」ことは「ほめ言葉」っぽいですが。
でも逆に「肉が薄い」ことをパッとほめる言葉は、
筆者はあまり思い当たらないですね。
(一語より長文でほめられているイメージです)
まあ探せば、「肉厚(にくあつ)」のような専用の言葉があるかもですが。
でも今度あなたが、いい感じに「薄(うす)い」お肉(牛豚鳥以外に、魚や貝等でも)の料理に出会ったら。
「この『肉』のいい『薄さ』を、どう表現しよう…」
なんてオリジナルの表現を考えてみるのも、面白いかも?
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに漢和辞典で見た「薄」の関連熟語には、
「肉薄」以外に「近づく」意味の語は見られませんでした。
ほとんどがそれ以外の意味…特に「薄い」意味が多かったので、
ちょっと「やはり『肉薄』は『肉が薄い』ことなのか…?」という気分になってしまいますね。