歴史+数学の話ー。
ギリシャ*1・ローマの神話に出てくる「ディ―ドー(Dido)」という女性についての話です。
どこかの参考書で見た覚えがある話なのですが、見つからなかったので自分で調べてました。
※主にWikipedia参考です、ご了承下さい。
上記の「ディ―ドー(Dido)」という女性は、「カルタゴ」という国*2を建国したとされる人です。
彼女はもともとフェニキア*3(現在のシリア)という国の王女だったのですが、
父が死んでから、財産目当ての兄に夫を殺され、自分の命も狙われ、アフリカの「チュニジア」まで逃げたそうで。
そこで彼女は現地の王「イアルバース」に土地*4を譲ってくれるように頼んだのですが、
返事は「牛の皮一枚で覆える土地ならあげてもいい」というものでした。
皮一枚、と言うとすごく狭そうですが、そこで諦めなかったディ―ドーさん。
牛の皮を細かく裂き、ひも状にして「ピュルサの丘」を取り囲み、砦を築ける広さを得たそうです。
それが後の「カルタゴ」という国に繋がった、という伝説になっています。
表現できる「面積」*5を最大にした…と考えるととても数学的な話ですね。
しかし、頭のいい「とんち」*6っぽい話ですが、これがルール違反でないかは微妙かと。
ひもで「囲んで」はいても「覆って」はいないわけですし。
まあ現地の王イアルバース的にはOKだったようで、土地はもらえたっぽいですね。
この話からは「厳しい条件でもあきらめず知恵を使おう」ということも言えますが、
相手によっては怒って約束を破られる、または殺されてしまう、という可能性もあると言えます。
ディ―ドーと同じ事をやっても「ルールは破ってないからOKだろ~!?」みたいな煽りをすると
それだけでアウトになってしまうかもしれません。
いくら「正解」を出しても、よりひどいことが起こっては本末転倒。
みなさまが知恵を使う時は、くれぐれもご注意を。
まあそんな感じで~。
追記
一説ではイアルバースはディ―ドーの才能にほれ込んで、求婚したらしいのですが。
亡き夫に「再婚しない」と誓った彼女は、炎に身を投げて死んでしまったらしいです。
ちなみに別バージョンの『アエネーイス』という物語でもディ―ドーさんは出てきます。
ちょっと違った人生を歩んでいたりするのですが、こちらも最後は炎に身を投げて死んでしまいます。
なんか最後だけ共通してますね…。
追記2
ちなみに平べったいものも、細かくするとなんか広がったり、食感が増して「食べてる感」が出たりします。
「うどん」とかの麺類がそんな感じですね。
小麦粉の塊を食べるのと、それを細かく裂いて「うどん」とかにして食べるのではちょっと違いますし。
(まあそれは味のしみやすさとかあるのですが。ちなみにそこには表面積とかが絡んで面白いですが、長くなるのでここでは略。)
◆用語集
・ディ―ドー【名称】:
関連記事:『女王を表す外国語セブン』*7
・チュニジア(フランス語: République tunisienne):
アフリカの北部にある国。西にアルジェリア、南東にリビア。
首都*8は「チュニス」(Tunis)。
・チュニス:
チュニジアの首都。
ちなみにイスラーム世界の有名な学者「イブン・ハルドゥーン」はチュニス出身。
・「イブン・ハルドゥーン」(アラビア語*9: ابن خلدون, 英語: Ibn Khaldun,):1332-1406年。
イスラーム世界で有名な歴史家、思想家、政治家。
・カルタゴ:
古代の都市国家。現在でいうアフリカのチュニジアにあった。
Wikipediaによれば名前はフェニキア語の「カルト・ハダシュト(Kart Hadasht=「新しい町」)に由来するとされる。
なので日本語で言う「新町」「新都」、英語でいう「ニュータウン」みたいな感じか。
関連人名:「ハンニバル」*10
・『アエネーイス(古典ラテン語: Aeneis)』:
古代ローマの詩人「ウェルギリウス」の叙事詩。
イーリアス(トロイア)*11滅亡後の英雄「アエネーイス」の物語。
・アエネーイス(Aeneis):
トロイアの英雄。
名前は日本語だと「アエネーアース」とか「アイネイアース」とか色んなパターンがあってちょっとややこしい。
(※ここではウェルギリウスの作品タイトルにちなんで、「アエネーイス」とする)
母親は女神「アプロディテ」*12(ウェヌス)とされる。
妻は「クレウーサ」といい、過去記事で書いた「ヘクトール」*13の妹に当たる。
作品『アエネーイス』によれば、祖国トロイアが滅んだ後、アフリカで女王*14をしていた「ディ―ドー」に出会う。
二人は愛し合うが、トロイア再興のため神々がアエネーイスに警告し、アエネーイスは去り、ディ―ドーは自殺してしまう。
・ウェルギリウス:紀元前70?-紀元前19年。
ギリシャの詩人*15。
上記の叙事詩『アエネーイス』の作者でもある。
ちなみにゲーム『グランブルーファンタジー』ではこの「ウェルギリウス」の名前を持つ槍も出てくる。
カードゲーム『遊戯王』には《彼岸の詩人 ウェルギリウス》というカードもある。
関連人名:「ダンテ」*16
*1:「ギリシャ」については 12/18 社+ギリ他:なんだか強そうなギリシャ料理の名前! ~ドルマダキア、スジュカキア、バクラヴァス~ - のっぽさんの勉強メモ を参照、「ギリシャ神話」については 12/5 英語:ミュージック(music)の由来とギリシャ神話 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「国(くに)」については 9/2 英+社:国(くに)に関する英語メモ - のっぽさんの勉強メモ を参照
*3:「フェニキア」については 12/10 英語:medium(ミーディアム)/巫女(みこ)さんとステーキ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「土地(とち)」については 12/16 地理:「そこどんな土地(とち)なのさー」って想像する - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「面積(めんせき)」については 12/1 数学:「文章題(ぶんしょうだい)」は難しい - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:「とんち」については 11/19 美+歴:「死(し)」を思う態度 ~ヴァニタス、ニヒリズム、そして一休さん~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:記事『女王を表す外国語セブン』については 10/13 社+諸外他:「女王(じょおう)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「首都(しゅと)」については 9/29 英語:色んな「キャップ(cap)」の話! ~首都(しゅと)、キャプテン、そして見出し~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「アラビア語」については 4/7 歴史:イスタンブールはビザンティオンですか? ~はい、コンスタンティノープルです~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「ハンニバル」については 11/8 歴史:「隻眼(せきがん)」の将、隻眼の神 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:「イーリアス」・「イリアス」または「トロイア」については 6/10 英+音:「アウトロ」、「ビントロ」、「トロットロ」!? ~色んな「~トロ」という言葉~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*12:「アプロディテ」や「ウェヌス」「ヴィーナス」については 11/6 歴史:愛と美の女神、ヴィーナスの話 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*13:「ヘクトール」については 9/3 社+ゲーム:ゲームで見た歴史・神話的な名前メモ ~「オルクス」と「ヘクトール」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*14:「女王(じょおう)」については 10/15 英語:レース場にいる「女王(じょおう)」! ~「レースクイーン」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*15:「詩人(しじん)」については 7/2 国語:ジ・オグラ・アンソロジーとポエムズ ~百人一首~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*16:「ダンテ」については 11/24 国+歴:「レンガ(煉瓦)」と「煉獄(れんごく)」、「救い」と「努力」 - のっぽさんの勉強メモ を参照。