音楽+美術+国語+英語の話―。
歌舞伎(かぶき)の化粧(けしょう)である①「隈取(くまどり)」と、
色をぼかす日本画の技法、②「隈取(くまどり)」の話を。
遅くなってしまったので簡単に。
※ちなみにこのテーマについては、
すでにネット上に、面白い説明をしておられるサイト様がいくつもあったので、
興味がある方は、そちらを見てみるのも良いかもです。
前置き。
昨日「熊(くま)」を表す外国語について調べた流れから、
似た語の「隈取(くまどり)」という語が気になったので、調べてみました。
※
まず①「隈取(くまどり)」というと、歌舞伎(かぶき)の化粧(けしょう)として有名な語ですね。
ざっくり言うと、歌舞伎俳優の顔に書かれている赤色などの線、という感じです。
Wikipediaによれば、その色や形が役柄(やくがら)…、ざっくり言うと「そのキャラクターの役(やくがら))」を表しているようで、
例えば、赤色は正義側、藍色(あいいろ)はスケールの大きい敵役に使われたりするようですね。
で、筆者は「隈取」というと、上記の①歌舞伎の物しか知らなかったのですが。
国語辞典によれば、「隈取」という語は、もう一つあるようです。
それが② 日本画の「隈取(くまどり)」ですね。
こちらは国語辞典によれば、「(日本画で遠近(えんきん)を表すために)色をぼかすこと」らしいです。
例えば、実際の風景(ふうけい)でも、遠くにある物は「ぼやけて」見えたりするので、
上記②「隈取」は、その感じで色をぼかすことで、絵でも遠近感を表現しよう…みたいな感じのテクニックですかね。
という訳で「(①歌舞伎の)『隈取』と(②日本画の)『隈取』は違う!」ということになりますが。
しかし、①歌舞伎の「隈取」がかなり「派手(はで)」なのに対し、
②日本画の「隈取」は、色をぼかす…ある意味「派手でなくする(薄める)」みたいなことをしているので、
逆っぽい感じもするのが面白いですね。
※
まあ2つの「隈取」はそれぞれ出てくるところが違うので、
違いをきっちり覚えておく必要は薄いかもですが。
でも今度「歌舞伎」や「日本画」を見ることでもあれば、
それぞれの「隈取(くまどり)」の様子に注目してみるのも、面白いかもですね。
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに2つの「隈取」の違いは英語にも表れていて、
和英辞典によれば①歌舞伎の「隈取」は「makeup(メイクアップ、いわゆるメーキャップ)」、
②日本画の「隈取」は「shading(シェイディング)」や「gradation(グラデーション)」と、全く違う単語が使われていました。
なので上記の①「隈取」と②「隈取」のように、
「同じ/似た日本語があってややこしい…」と思った時は、
英語など、他の言語から調べてみるのも、分かりやすいかもですね。
追記2
ちなみに追記1で書いた英語「shading(シェイディング)」は、カタカナ語で書く場合「シェーディング(shading)」とされることが多いようです。
元となるっぽい語の「shade」も、「シェード(shade)」表記が多いようですね。
しかしネットで発音を聞いてみると「shade」は「シェイド」っぽくもあり、
また筆者が個人的に「シェイド」表記が好きなので(ゲームで見た覚えがあるので)、
「shade」は「シェイド」、「shading」は「シェイディング」とさせて頂いております。