国語+英語+情報+社会の話―。
「お前のアカウントは、俺のトリックの犠牲になった…!」的な話ではありません。
知らない人に状況(じょうきょう)などを説明する「叙述(じょじゅつ)」と、
その叙述を利用したトリック、「叙述トリック(じょじゅつトリック)」、
そして「叙述」に対応する英語の一つ、「account(アカウント)」の話を。
遅くなってしまったので簡単に。
前置き。
まず「叙述(じょじゅつ)」とは、何かを説明(せつめい)することですね。
特に事情(じじょう)や状況(じょうきょう)を知らない人に対して、
「俺は田中。先日、彼女にフラれた所だ…」と詳しく説明するみたいな感じです。
小説(しょうせつ)などでよく聞く語の印象ですね。
ちなみに「叙述トリック(じょじゅつトリック)」という語もありまして。
これは主に推理小説(すいりしょうせつ)等で、
「叙述」…説明を使って、読者(どくしゃ)にトリック(罠(わな)、ひっかけ)を仕掛けることですね。
簡単に言うと、(嘘(うそ)ではなく、先入観(せんにゅうかん)を使って)読者をダマす、みたいな感じです。
例えば物語が、上記の「俺の名前は田中~」という叙述(説明)で始まると、
「あー、『俺(おれ)』って言ってるし、主人公は男性(だんせい)なんだな」と思いそうですが。
そう思わせておいて「実は女性(じょせい)!」ということが後で分かる感じです。
(例えば田中さんがお店で女性割引を受けていたり、女子トイレに入るシーンがあったり)
さてそんな訳で、響きも使い方も難しそうな「叙述」という語ですが。
しかし英語にすると、意外に身近(みぢか)に思うかもしれません。
というのも「account(アカウント)」と呼ばれることもあるからですね。
まず和英辞典によれば、「叙述」に対応する英語の一つに、
「account(アカウント)」がありまして。
英和辞典によれば、「account(アカウント)」は「報告(ほうこく)」や「記述(きじゅつ)」などの意味があるらしいので、
「事情/状況の『記述(account)』」→「叙述(account)」って感じですかね。
そして「アカウント(account)」という語は、
ネット上のサイトやアプリ、SNS等を利用する時、登録(とうろく)した情報(じょうほう)や口座(こうざ)を指したりもします。
なのでそれらを利用する方には、割と身近な語かもですね。
…しかし「叙述トリック」や「account(アカウント)/叙述」のことを考えると、
「『叙述(アカウント)』は『トリック』に使える!」という文を、
「『アカウント(叙述)』は『トリック』に使える!」と言い換えられるかもですが。
なんか一気に「ネット犯罪…!?」とか「偽アカウント作った…!?」みたいな感じもしてきますね。実は田中さんは一人称は俺だが性別は女性で、でもアカウント情報は男性にしていたんだよ!
※
まあ、日本では普段「叙述」と「アカウント」は区別されるので、
ごっちゃになって困る…ということはなさそうですが。
しかし、近年アカウントを狙うネット犯罪は多いですし、
まして推理小説内では、色んなタイプの犯罪やトリックが起きがちです。
なので推理小説が好きな方は「叙述(account)」に、
サイト等に登録している方は「アカウント(account)」に対し、
「これ、誰かの『トリック』に使われてないだろうな…」と、注意しておくと良いかも?
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに、文章を読んでいて気づいた方もおられるかもですが。
本文の「俺は田中。先日、彼女にフラれた所だ…」という文と、
後で出てきた「田中さんは女性」という話を組み合わせると、
「田中さんは女性で彼女持ちだった(だが先日フラれた)。あと一人称は『俺』」ということが判明したりします。そしてアカウント情報を男性と偽っていた可能性も
これは別にトリックではないですが、色んな叙述から気づくこと…みたいな感じですね。
近年は、色んなことが分かりやすく説明されたり、
定期的にまとめをはさんでくれる物語も多いですが。
しかし逆に、注意して読まないと分からないことが多いとか、
サラッと書いてあることを集めてようやく気づけることがある…みたいな物語もあったりします。
どちらもそれぞれの良さがありそうで、面白いですね。
(筆者はどちらも好きですが、カンが鈍いので難しいことは見逃しがちです)
◆用語集
・叙述(じょじゅつ):
・叙述トリック(じょじゅつトリック):
他にも「そもそも主人公が人間じゃなくて犬(いぬ)だった」という場合もありそう。
名前が「ペス」とかならすぐ気づけそうだが、「太郎(たろう)」だとちょっと怪しいかもしれない。