生活+国語+中国語(※主に追記に関係)の話―。
ややこしいタイトルでお送りしておりますが。
食材(しょくざい)などを細く切る①「千切り(せんぎり)」と、
何かを「ちぎる」ことや「ちぎった」物を指す語②「千切り(ちぎり)」の話を。
「ちぎる(千切る)」の語を参考にしつつ。
前置き。
まず普段、「千切り」という語を目にすると、
料理の①「千切り(せんぎり)」をイメージする方が多いのでは、と思います。
①「千切り(せんぎり)」とは、食材(しょくざい)等を細かく切ることですね。
例えば「キャベツの千切り」は、よくトンカツなどに添えられているイメージがあります。
ですが、「千切り」という表記は上の①「千切り(せんぎり)」だけではなく、
他にもう一つ、身近な行為を表したりもします。
それが②「千切り(ちぎり)」ですね。
まず「ちぎる」というと、手で何かを(荒めに)裂(さ)くことですが。
国語辞典によれば、これは漢字で「千切る(ちぎる)」とも書くようです。
なので「ちぎったもの(で作った)」という意味の「ちぎり」も(例:「ちぎり絵」など)、
②「千切り(ちぎり)」と書くことがありえる訳ですね。
やっていることの内容に関しては、
①「せんぎり(千切り)」と②「ちぎり(千切り)」はけっこう違うのですが。
でも文章だと「『千切り(せんぎり)』と『千切り(ちぎり)』は違う!」となり、
「すごくややこしいな…」となるのが面白いですね。
※
まあ普段「ちぎる」や「ちぎり」はひらがな表記で、
「千切り」と書くと①「千切り(せんぎり)」が多いかと思います。
なので誤解(ごかい)することは意外となさそうですが。
でも今度、料理のレシピ等で、
「千切り(せんぎり)」や「ちぎる(千切る)」などの言葉を見たら。
「大根の『千切り(せんぎり)』はできても、『千切り(ちぎり)』は無理…」と、
混ぜて考えてみても、面白いかも?
まあそんな感じで~。
追記
ちなみに世の中には、同じ食材を、
「千切り(せんぎり)」にすることも、「ちぎる」こともありえたりします。
例えば「キャベツ」は「千切りキャベツ(せんぎりキャベツ)」も
「千切りキャベツ(ちぎりキャベツ)」も わりとありえそうですね。
追記2
ちなみに国語辞典やWikipediaによれば、
「千切り」は「繊切り(せんぎり)」と書いたりするようです。
(普段よく見る表記は「千切り」ですが、「繊切り」の方が後述のルーツに近そうではあります)
また大根(だいこん)を細く切った物に「千六本(せんろっぽん)/繊六本」というものがあり、
それは大根を細く切ったものを指す中国語、「鍼蘿蔔」にルーツがあるようですね。
(「鍼蘿蔔」の発音はWikipediaでは「鍼蘿蔔(チェンロープ)」、国語辞典では「センラフ」とされていました)
また「ちぎる」の方ですが、
国語辞典によれば、「千切る(ちぎる)」という表記は借字(しゃくじ)のようです。
追記3
ちなみに日本語で言う①「千切り(せんぎり)」は、
Wikipediaによれば、中華料理では「絲(スー)」と呼ばれるようです。
日本でも中華料理の「青椒肉絲(チンジャオロ-スー)/肉とピーマンの細切り炒め」でよく見る字ですね。
追記4
ちなみに約束(やくそく)することに関して「ちぎり」や「ちぎる」などの語もありますが、
そちらは「契り(ちぎり)」や「契る(ちぎる)」なので、また別の語ですね。
「契約(けいやく)」の「契(けい)」の字が入ってる、と考えると分かりやすいかもです。