生活+理科+こころの話ー。
「同性愛(どうせいあい)」*1に関する発言から考える
「性別(せいべつ)」というものの在り方、組み合わせについての話です。
※デリケートな話題ですので、落ち度があったらすみません。
前置き。
新聞やニュースなどで見たのですが、
自民党の「谷川とむ」衆議院議員が、あるネットの番組で、
「同性婚(どうせいこん)」や「夫婦別姓(ふうふべっせい)」に関して「趣味みたいなもの」と発言したようですね。
「夫婦別姓」に関しては筆者は不勉強なので、まだ詳しいことは延べられないのですが
「同性婚」については昔、筆者が習ったこととちょっと違うようなーという感じがしたので、
とりあえず今回はちょっとそのメモを。
まず、「性別(せいべつ)」というと一個の要素や基準っぽく見えますが、
実際にはいろんな要素が組み合わさったもののようです。
筆者が知っているだけでも
(※以下では過去を思い出しつつWikipediaを参照しています)
①「(生物的な)性別(せいべつ)」…染色体*2など、肉体の生物的なもの
②「性同一性(せいどういつせい)」…自分がどういう性別に属していると思うか
③「性的指向(せいてきしこう)」…どんな相手を好きになるか
という三つの要素があったかと。
これらの組み合わせで、色んな「性別」とか「自分をどういう性別と思うか」、「誰を好きになるか」というのができているわけですね。
ちなみに「同性愛(どうせいあい)」と「性同一性障害(せいどういつせいしょうがい)」というのは結構一緒にされがちのようですが、
上でも書いたように
「性同一性障害」は①「(肉体的)性別」と②「性同一性」の組み合わせに関わる話で、
「同性愛」などは①「(肉体的)性別」と③「性的指向」の組み合わせに関わる話なので、また違う話だったりします。
社会では「男性」*3「女性」と、わりとシンプルに言ったりしますが、その内容に含まれる人々、あるいはその区別では表しきれない人々にはけっこうバリエーションがあるわけですね。
ちなみに筆者は区別的には「男性」ですが、それは言ってみれば単なる「男性」というわけでなく。
①性別は「男性」で、②性同一性は「男性」で、③性的指向は「異性である女性」というわけです。
いわゆる「女性を好きになる」タイプの男性ですが、
それも単なる組み合わせのパターンの一つ、なのかなーと思います。
皆さまや身の回りの方はどうでしょうか?
2020年には東京オリンピックで「自分と違う国の人」について考える機会は増えるでしょうが、
それだけでなく、「自分と違う性別の人」について考えてみるのも良いかもしれませんね。
目指せ、心のグローバル・オリンピック!(適当発言)
まあそんな感じで~。
関連用語:「愛(あい)」*4、「性転換(せいてんかん)」*5、「個性(こせい)」*6、「アイデンティティ」*7、「魅惑(みわく)」*8、「魅了(みりょう)」*9
追記
上の3つの要素のちょっと細かい説明を一応載せておきます
①「(生物的な)性別(せいべつ)」…染色体など、肉体の生物的なもの
…英語では「sex(セックス)」と呼ばれるもの。
例:「生物的には男性/女性」など。
ちなみに男性器・女性器の両方を持つ「半陰陽(はんいんよう)」、「両性具有(りょうせいぐゆう)」という場合もあるようです。
②「性同一性(せいどういつせい)」…自分がどういう性別に属していると思うか
…英語では「gender identity(ジェンダー・アイデンティティ)」
例:「自分は男性の体に生まれたが、女性に属していると思う」など。このように「性別」と違う場合は「性同一性障害(せいどういつせいしょうがい)」と言ったりする。
ちなみにもちろん「自分は男性の体に生まれたし、男性に属していると思う」という場合もあり、その場合は「性別」や「性同一性」は余り区別して考えなくなりがちかも。
③「性的指向(せいてきしこう)」…どんな相手を好きになるか
…英語では「sexual orientation(セクシャルオリエンテーション)」。
例:「自分は女性に生まれたが、(同性である)女性が好きである」など。
このように性別と同じ性の相手を好きになる場合は「同性愛(どうせいあい)」という。
違う性の相手を好きになる場合は「異性愛(いせいあい)」*10という。
両方の性別の相手を好きになる場合は「両性愛(りょうせいあい)」という。
ちなみにこれらはまだ一部であり、正確にはもっとたくさんの組み合わせがある。
また似た言葉で「性的嗜好(せいてきしこう)」という言葉もあるが、こちらはもっと広い趣味の話。
「こういう服の人が好きー」といかそんな感じの話である。
追記2
ちなみにインターネットで調べたら、
タイでは性別の分け方(性的指向なども含めたものですが)が、「18種類」あるそうです。
すごいですね…。
複雑で載せられませんでしたが、分け方が勉強になるので見てみるのも良いかもしれません。
数学の「組み合わせ」とかの参考にもなります。
いろんな可能性を網羅(もうら)したり、考えておくのは大事ですね。
追記3
ちなみにこういう話題になると「同性を愛するのは不自然」とか「人間だけ」という意見も時々見ますが、
調べてみたら「動物の同性愛」、結構ありました。自然界すげえ。
…Wikipediaのページではなんか山のように動物の名前が載ってました。外れる動物を探すのが難しいくらいには。
とりあえずすごいです。個人的には「キリン」と「ボノボ」の事例がすごかったです。
見ても大丈夫~という方は見てみるとちょっと驚けるかもしれません。
あと魚などの生物・動物では途中で生物学的な「性別」が変わったりするものもいます。
これもすごいですね。
追記4
ちなみに要素の組み合わせを数学的に考えることもできます。
「場合の数」などの感じですね。
例えば今回は①性別、②性同一性③、性的指向の「3つ」の要素を紹介しました。
それらについて仮に「男性」「女性」の「2つ」の場合があるとすると、表にすると
①生物的に男性である/生物的に女性である
②性同一性が男性である/性同一性が女性である
③性的指向が男性に向いている/性的指向が女性に向いている
って感じでしょうか。
全体の場合の数は2×2×2=8、全部で8種類の場合があり得ることになりますね。
仮にでシンプルにやりましたが、これでも「男性/女性」区分の4倍の数になっています。
本文で紹介した筆者はこのなかの1パターンなので、「8分の1」のケースですね。
実際にはここにまだ他の要素も絡んできたりします。
例えば
④「服装(ふくそう)」…どんな性別の格好をするか。
自分と違う性別の格好をすることは「異性装(いせいそう)」*11、クロスドレッサーなどどいう。
いわゆる「男装(だんそう)」「女装(じょそう)」はここに関わる話。
⑤「振る舞いや言葉」…どんな性別の行動・言葉を使うか
(※分けるべきかもですが、今回はまとめました)
なども考えられます。
これを含めますと要素は「5」、そのため2×2×2×2×2=32。
つまり全体の数は「32」になります。
筆者は「①生物的に男性で②性同一性が男性で在り③異性である女性が好きであり④男性の格好をして⑤男性の言葉を喋っている」わけですが、これは32分の1ケースということになりますね。
あとそもそも「男性/女性」以外の場合もあり得るわけです。
追記で書いたように「両性愛」など両方の性別が好きな場合もありますし、服装に関してもその場合もあります。また「両性具有」という場合もあります。
あと特に誰も好きにならない「無性愛(むせいあい)」という場合もあるみたいなので、
それらとの組み合わせを考えると、さらに全体の数は増えていく、と言えるでしょう。
よくLGBTの方はマイノリティ(小数派)という扱いをされたりもしますが、全体の組み合わせ数からするといわゆる「男性」…「女性が好き(以下略)な男性」の方がマイノリティとも言えます。そうでない方が多いわけですしね。
なので筆者などはある意味、限られた「確率」*12の中で生まれてきた、ということもできます。
ちなみにこの時の数学的な組み合わせや場合の数え方については、過去記事の「愛国心(あいこくしん)」*13、「『ぼっち』という言葉について考える」*14などで扱っていたりもします。違うテーマでも考えたい、という方はどうぞ。
◆用語集
・性別(せいべつ):
関連用語:「おてんば(お転婆)」*15、「男勝り(おとこまさり)」、「雌雄(しゆう)」*16、「雌(めす)」、「雄(おす)」
・性同一性(せいどういつせい):
自分がどんな性別に属していると思うか。
ところで、性別的に男性でも性同一性が「女性」、つまり自分が女性だと思う人物がいた場合、その人にとって「男性」を好きになることは別に「同性愛」ではないことになる。
「女性として男性を好きになることは「異性愛」になるからだ。
むしろ女性を好きになれと言われたら、その人物にとっては「同性愛」を要求されていることになるだろう。
そこら辺もあって、「性同一性障害」と「同性愛」はけっこう違う物である。ここら辺はタイの性別の18分類を見るとわかりやすいかもしれない。
ところでマンガやアニメなどではよく人物のキャラクターの「入れ替わり」が起こることがある。
(例:アニメ映画『君の名は』)
これはお互いの意識や性格とともに、「性別」、「性同一性」、「性的指向」が交換されている事態とも言える。
例えば男性Aが女性Bと入れ替わり、「女性A(仮)」になったとしよう。
そのあと、その人がある男性から「付き合って欲しい」と言われることは女性A(仮)にとっては男性―男性の「同性愛」となる。
そして「女性A(仮)」がある女性に「付き合ってほしい」ということは彼にとっては「異性愛」である。、
だが周囲からは女性ー女性の「同性愛」とみられるだろう。
関連用語:「男色(なんしょく)」*17、「若気(にやけ)」
・両性具有(りょうせいぐゆう):
男性・女性の両方の性別を肉体的に持っていること。
英語では「hermaphroditism(ヘルマフロディティズム?)」。
ギリシャ語*18の「androgynos(アンドロギュヌス)」の方が有名かもしれない。
日本語では「半陰陽(はんいんよう)」と呼ばれたりもする。
昔から神話などでは結構出てくる。「天使」がこの形をとっていることも(あるいは「無性別(むせいべつ)」)。
錬金術では、生物としての「完成」とみなされていた時期もある。また日本語の「半陰陽」という呼び名にも、男性が「陽(よう)」、女性が「陰(いん)」と置かれ、それが合わさった…という考えが下敷きにあると思われる。
マンガとかゲームだと結構よくでてくる。特にファンタジー系など。
関連用語:「両性モデル」*19
・性的指向(せいてきしこう):
・性的嗜好(せいてきしこう):
その人の持つ、性的な(強い)こだわり。
英語では「sexual preference(セクシャル・プリフェレンス)」。
恋にしろ性にしろ、人によって好みはあったりするものだが、
あんまり度が過ぎていると「性的倒錯(せいてきとうさく)」と呼ばれることもある。
自分の強い好みをパートナーにいきなり押し付けることは、相手を傷つけることになるかもしれないので注意。
ちなみに時代や国によってモテる人はけっこう変わる。調べてみるのも面白いかも。
関連用語:「文化(ぶんか)」*20、「脂肪(しぼう)」*21
*1:「同性愛(どうせいあい)」や「LGBT(エルジービーティー)」については 1/31 国語:言葉と色(いろ)のイメージ ~赤っ恥、青二才~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:「染色体(せんしょくたい)」については 12/22 理+英:理科の細胞(さいぼう)や「生殖(せいしょく)」に関わる単語英訳メモ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:「男性(だんせい)」や「女性(じょせい)」については 10/13 英語:ジェントルマンと「ジェントルウーマン(gentlewoman)」の話! - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「愛(あい)」については 4/9 社会:お金と価値と愛(あい)の話 ~give me money, give me love~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:「性転換(せいてんかん)」については 12/10 世界史:正義(せいぎ)は変わるし、性別(せいべつ)も変わる。…え、性別? - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:「個性(こせい)」については 11/10 英語:個性(こせい)、この分かちがたきもの - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:「アイデンティティ」については 11/29 国+こころ:自分の「顔(かお)」は一つじゃない!? ~こころといろんな「面」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:「魅惑(みわく)」については 12/6 英+歴:「魅惑(みわく)」的なものにはご用心!? ~fashion、fascination、fascism~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「魅了(みりょう)」については 10/3 英語:ゲームの「ステータス異常」についての英語 - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「異性愛(いせいあい)」については 10/13 英+こころ他:「異性愛(いせいあい)」は「異端(いたん)」ですか? ~「heterosexual(ヘテロセクシャル)」と「heterodox(ヘテロドックス)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*11:「異性装(いせいそう)」については 4/30 理+国語:「変形(トランスフォーム)」してテストを迎え撃つ!? ~日々にあふれる「変形(へんけい)」~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*12:「確率(かくりつ)」については 4/19 数学:確率(かくりつ)の話メモ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*13:「愛国心(あいこくしん)」については 8/9 社会:愛国心(あいこくしん)と「愛・他国・心」!? ~「愛・自国・心」と「愛・他国・心」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*14:「ぼっち」という言葉やその関連記事については 9/28 こころの話:「ぼっち」という言葉について考察メモ ~行動と思いの9分類~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*15:主に女性に対して使われる表現「おてんば(お転婆)」、「男勝り(おとこまさり)」については 2/16 国+オラ他:「おてんば(お転婆)」は「転んだお婆ちゃん」…ではない!? ~「おてんば」と「ontembaar(オンテンバール)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*16:「雌雄(しゆう)」、「雌(めす)」、「雄(おす)」については 12/6 理+国他:「メス(雌)・オス(雄)」は勝負(しょうぶ)で決まりますか? ~「雌雄(しゆう)」と「雌雄を決する」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*17:男性同性愛を表す「男色(なんしょく)」、「若気(にやけ)」については 1/28 国+こころ:「にやける」の語源は「BL(ビーエル)」ですか? ~「若気(にやけ)」と「男色(なんしょく)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*18:「ギリシャ語」については 12/18 社+ギリ他:なんだか強そうなギリシャ料理の名前! ~ドルマダキア、スジュカキア、バクラヴァス~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*19:男女両方のモデルをする「両性モデル」については 6/30 国語:気になった単語の適当メモ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*20:「文化(ぶんか)」については 12/23 英語:お遊び/ファンタジー的な英文例 ~魔王と、呪われし名の勇者~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*21:「脂肪(しぼう)」については 11/18 歴+美:「愛」と「脂肪(しぼう)」の物語 ~時代による美しさの基準~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。