国語+こころ+理科+美術の話―。
「青い(あおい)」ものを表すことでも有名な字、「蒼(そう)」と、
この字が持つ、ちょっと反対っぽい2つの意味、
「年老(としお)いた」と「青々(あおあお)とした」などの話を。
前置き。
まず「蒼(そう、あお)」とは、「青い(あおい)」意味で使われることも多い字ですね。
これ自体を「蒼い(あおい)」とも読みますし、
「蒼穹(そうきゅう)/青空(あおぞら)」などの言葉もあります。
といっても、2月の記事でも書いたように、まだ他の意味もありまして。
漢和辞典によれば「蒼」には「しらがまじりのさま」(白髪交じりの様子)などの意味もあるようです。
だからか「年老(としおい)いたもの」や「古いもの」に「蒼」の字が使われることも多く、
例えば「蒼古(そうこ)/ふるびている」や「蒼猿(そうえん)/年老いたさる(猿)」などの熟語もあるようですね。
で、こう書くと「蒼」の「年老いた」「古い」イメージだけが強くなりそうですが。
しかし一方で、これと少し矛盾(むじゅん)するかもな意味もあるようです。
というのも「蒼」には、「あおあお(青々)とした」という、(若くて)元気そうな意味もあるらしいからですね。
まず漢和辞典によれば「蒼(そう)」自体にも、
「近郊の草木の、青々(あおあお)としたさま」という意味がありまして。
で、関連熟語にも「蒼然(そうぜん)/草木のあおあおとしたさま」や、
「蒼潤(そうじゅん)/あおあおとして、うるおいがある」などがあるようです。
草木・植物が「あおあお」…「青々(あおあお)」としている状態は、
一般に「若い(わかい)」ものに多い気がするので、
上で挙げた「蒼」の「年老いた」イメージとちょっとギャップがあって、面白いですね。
(もちろん古い木や年老いた木も、元気がある事は多いですが、
ただ一般には「年老いる→枯(か)れる/茶色や白などに変色する→元気や潤いがなくなる」というイメージもある気もします)
なので合わせると
「『蒼(そう)』は『年老いて』(いる意味と)、『青々(あおあお)』としている(意味がある)!」
と言えるかもですが。
…こう書くと矛盾と言うよりも、「年を取ってもまだまだ元気!」という感じもして、微笑(ほほえ)ましい感じもしますね。
※
さて、ちょっと話は変わるのですが、
(今年の)今日3月11日は、「東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)」から13年ですね。
正直、地震のことはあまり思い出したくはないですが。
でもこの前の「能登半島地震(のとはんとうじしん)」などのことを思うと、
それぞれで得た教訓や感覚などは、「古い・年老いた(蒼)」状態にせず、
せめて「活(い)きた」状態…植物でいうと「青々とした(蒼)」ものにしておいた方が良いのかもしれません。
出来事の記憶は、時間が経てばどうしても「年老いて(蒼)」行くかと思いますが。
でもその中でもできるだけ、「青々とした(蒼)」ものに保(たも)てるよう、
(筆者は忘れっぽいので余計に)個人的に工夫が必要かも、と思った次第です。
まあそんな感じで~。