社会+こころ+中国語+英語+国語の話―。
「俺にかかったら、国家運営なんて楽勝だぜ!」的な話ではありません。
仁徳(じんとく)…思いやりで国を治(おさ)める①「王道(おうどう)」と、
「楽(らく)な道(みち)*1」の意味があるらしい②「王道(おうどう)」の話を。
(※本記事中、人名等敬称略。あと今回ちょっと本文が長いです、すみません)
前置き。
まず①「王道(おうどう)」の意味の一つは、国(くに)の治(おさ)め方の一種、という感じですね。
国語辞典では、「権力(けんりょく)・武力(ぶりょく)によらず、仁徳(じんとく)を基(もと)として国を治める方法」とありました。
ざっくり言うと「無理やりじゃなくて、思いやり(仁徳)で国を治めるやり方」みたいな感じですかね。
(ちなみに「治(おさ)める」とは統治(とうち)…国などを支配(しはい)して、政治(せいじ)などを行うことですね。
あと「仁徳(じんとく)」はちょっと難しいので、以下では「思いやり」の方をメインにして書いています)
ちなみにWikipediaによれば、上記の①「王道」は儒教(じゅきょう)の用語のようです。
「儒教(じゅきょう)」とは、昔の中国の「孔子(こうし)」を始祖(しそ)とする宗教・考え方であり、
また上記の①「王道」…つまり「思いやり(仁徳)で国を治めること」は、理想とされたこともあるようですね。
(ちなみに上記「王道」から発生した、マンガとかの「王道」(「王道展開」など)については、後の「追記3」で)
まあ「理想」とはいっても、
「思いやり(仁徳)」(だけ)で国を治めるのは、なかなか「難しそう」ですが。
(少なくとも筆者にとっては難しそう)
しかし「王道」の訳し方によっては、とても「楽(らく)」に見えるかもです。
何故なら「王道」には、「楽(らく)な道(みち)」の意味もあるらしいので。
…といっても、同じ「王道」が複数の意味を持つのではなく。
ヨーロッパ由来などの、また違う②「王道(おうどう)」という語があるようです。
国語辞典によれば、こちらの②「王道(おうどう)」は、
「らくな道(方法)」と説明されておりました。
またWikipediaによれば、こちらの②「王道」は、昔の「学問(がくもん)に王道なし」という言葉から発生したようです。
(由来の話は長くなるので、後の「追記」で)
なので、①「王道(思いやりで国を治めること)」と、
②「王道(楽な道)」はかなり意味が違うのですが。
…でも日本ではどちらも「王道」となってややこしいですね。
なので誰かが①「王道(思いやりで国を治める)」をイメージしつつ、
「①『王道(思いやり)』で『国を治める』のが理想だよね…」と語ることはありそうですが。
でも②「王道(楽な道)」をイメージした人がそれを聞くと、
「『楽な道(②王道)』で『国は治まる』の…?」なんて、誤解(ごかい)したりするかもですね。
※
まあ現代の政治で、特に①・②の「王道」を聞いた覚えはないので、
あまり誤解して困ることはないかもですが。
それでも、「思いやり」自体は政治に大事な気はしますし、
国の政治は、「楽な道」と言うよりむしろ大変そうです。
なので、もしあなたが政治系で何かしたかったら。
「②『王道(楽な道)』じゃなくて、①『王道(思いやりで国を治めること)』を意識してみるか~」
なんて思ってみるのも、いいかもですね。
まあそんな感じで~。
追記
②「王道(楽な道)について」本文で書いた「学問に王道なし」という言葉についてですが。
Wikipediaによれば諸説あるらしいのですが、流れをざっくり言うと、
①古代ギリシャの「エウクレイデス」(「ユークリッド」読みでも有名)という人が、
②王様「プトレマイオス1世」に「幾何学(きかがく)*2を学ぶのに『原論』よりも近道はないか?」と聞かれた
(ちなみに『言論』はエウクレイデスが書いた)
③エウクレイデスが「幾何学に王道なし」(近道は無いです)と返した
…みたいな感じらしいですね。
(※ただWikipediaによれば、エウクレイデスの存在含め諸説ありらしいです。
あと「幾何学(きかがく)」とは、図形や空間についての数学、という感じですね)
まあ、上では「幾何学に王道なし」と「学問に王道なし」で、少し違ったりしてややこしいですが、
とりあえずこの「学問(幾何学)に王道なし」という言葉から、
こちらの②「王道」が、「楽な道」という意味とされた…という感じですかね。
現代で言うと「ショートカット」、「裏技(うらわざ)」、「時短(じたん)テク」、場合によって「チート」みたいな感じでしょうか。
追記2
ちなみに国語辞典によれば②「王道(楽な道)」は、
「royal road(ロイヤル・ロード)の訳」とも書かれていました。
また英和辞典で調べたら、確かに「royal road」に「王道」や「楽な方法」という意味がありました。
ちなみに「royal(ロイヤル)」*3は「王の」、「王室(おうしつ)の」
「road(ロード)」は「道」などの意味を持つ言葉ですね。
まさに「royal(王の)」+「road(道)」→「royal road(王道)」という感じです。
追記3
冒頭でチラッと書いて略しましたが、
まず筆者が③「王道」と聞いてイメージするのは、③「有名(ゆうめい)な、スタンダード*4なやり方」みたいな感じですね。
Wikipediaによれば「定番(ていばん)」とか「定石(じょうせき)」とも言い換えられるようです。
ちなみにこの③「王道(定番)」は、Wikipediaによれば①「王道(思いやりで国を治めること)」から生じたらしいです。
(なのでWikipediaによれば①「王道(思いやりで国を治めること)」→③「王道(定番)」という順番っぽいです)
③「王道」の例としては、
例えばバトルマンガ等で、「主人公のピンチに仲間が駆けつけて、逆転(ぎゃくてん)!」とか、
スポーツマンガで「序盤で強豪校に敗北し、リベンジを誓う」などが、「王道(な展開(てんかい))」と呼ばれるイメージですかね。
…まあ一歩間違えると「ベタ」と呼ばれてしまったりもしそうですが。
追記4
ちなみに昨日の記事で書いた「鳳凰(ほうおう)」や「麒麟(きりん)」は、
「瑞獣(ずいじゅう)」とも捉えられているようです。
「瑞獣(ずいじゅう)」とは、中国等において、仁や徳のある政治がなされていると出てくる、幸せなことの証や「しるし」としての獣…って感じですかね。
なので今回紹介した①「王道/仁徳で国を治めること」の時は出てきてくれるかもですが、
逆に②「王道/楽な道」の方では、あまり出てきてくれないかもですね。
◆用語集(※人名等、敬称略)
・王道(おうどう)【国の治め方】:
関連用語:「天(ティエン)」*5【中国語】
似てる語:「王の道」*6【ペルシャ】、「正道(せいどう)」*7
逆っぽい語:「覇道(はどう)」、「邪道(じゃどう)」
関連記事:『道を表す外国語セブン』*8
・王道(おうどう)【楽な道】:
関連用語:「幾何学(きかがく)」
・王道(おうどう)【定番】:
関連用語:「お約束(おやくそく)」*9、「スタンダード」、「フラグ」
逆っぽい語:「アヴァンギャルド/アバンギャルド」(*10、「前衛(ぜんえい)」
・エウクレイデス【人名】:
*1:「道(みち)」については 7/27 英語:色んな「ロード」の話! ~road,load,lord,~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*2:図形や空間の性質についての数学「幾何学(きかがく)」については 1/9 数+歴:中国数学に関わるすごいメンバー! ~神様、皇帝、戦争が強い学者~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*3:英語「royal(ロイヤル)」については 9/17 英+ゲーム:2つの「ロイヤル」! (『シャドウバース』のロイヤルについての訂正記事) - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*4:「スタンダード」や「フラグ」については 8/23 英語:ここでもそこでも「旗(はた)」が立つ!? ~「フラグ」、「スタンダード」、「バナー」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*5:イメージ的に「王道」と関係がありそうな中国語「天(ティエン)」については 4/24 中+理:「天(てん)/天(ティエン)」に関わる中国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*6:古代ペルシャにあった「王の道」については 2/5 歴史:「王様の耳」は超すごい!? ~「王の耳」と「ダレイオス1世」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*7:「正道(せいどう)」や「覇道(はどう)」、「邪道(じゃどう)」については 3/6 社+国他:「王道(おうどう)」の「逆(ぎゃく)」って何ですか? ~「王道(おうどう)」と「覇道(はどう)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*8:記事『道を表す外国語セブン』については 5/28 社+諸外:「道(みち)」を表す外国語7つ+α! ~今週の外国語セブン~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*9:「お約束(おやくそく)」については 1/8 国語:実はテーマごとに『お約束』がある、ということ - のっぽさんの勉強メモ を参照。
*10:「アヴァンギャルド/アバンギャルド」や「前衛(ぜんえい)」については 10/8 国+数:「傾いた(かぶいた)」ものは魅力的ですか? ~「傾き(かぶき)」と「傾き(かたむき)」の話~ - のっぽさんの勉強メモ を参照。